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「目には目を。歯には歯を。」の誤解 ~レビ記24章から~

2016年10月25日 | 人間について
レビ記は旧約聖書に書かれている、「創世記」「出エジプト記」に次いで3番目の書物であり、”モーセ五書”の一書に属するものと言われている。「レビ記」は、主に祭司に関する規定、そしてイスラエル人の民に関する規定で成り立っているが、この中の24章20節は、私達日本人も聞いたことがある言葉が書かれている。

「骨折には骨折。目には目。歯には歯。」

この言葉は、「目には目を。歯には歯を。」と書かれているハンムラビ法典から知る人も多いのではないかと思うが、この言葉はそもそも聖書から来ているものと思われる。

私は歴史学者でもないので、正確なことは言えないが、ハンムラビ法典が書かれたのは紀元前18世紀だということは分かっている。しかし、旧約聖書のレビ記がいつ、誰によって書かれたかについては諸説があり、はっきりしたことが分かっていない。しかし、分かっているのは、モーセがイスラエル人を率いてエジプトを脱出した時期を考えると、神様がモーセにレビ記に記載されているこれらの言葉を語られたのは、紀元前2000年くらいという説が有力であり、それを考えると、ハンムラビ法典が出る200年前には、既にこの言葉が神によって出たことが分かる。

この言葉を、多くの人は「やったらやり返せ」と解釈していると思うが、それはハンムラビ法典の影響からであろうと思われる。また、日本語訳の聖書を見ても、どうしてもその様にしか解釈できない。これは、日本語の誤訳であろうと思われるが、では英語ではどのように記載されているのだろうか。

”If anyone injures his neighbor, whatever he has done must be done to him: fracture for fracture, eye for eye, tooth for tooth."

完結した文章を記載する為、19節からの引用になっているが、アンダーラインの赤字で記載されている"he" "him"は、すぐ前の文節の、"anyone"を指している。つまり危害を与えた人であり、危害を加えられた人ではない。つまり、害を与えた人自身が、自分の目で持って、又は自分の歯で持って、相手に償いをしなさい、と言っているのである。悪いことをした人は、その張本人が、それと同程度の償いをしなさい、という意味なのである。


つまり、神様は「やったらやり返せ」とは一言も言っておらず、またあくまでも同程度の償いをしなさい、と言っていることから、それ以上の刑罰をしてはいけないのである。従って、3年前の「半沢直樹」のドラマで流行った「やられたらやり返す、倍返しだ」は、人として間違っていることなのである。この様な、人間のモラルを低下させるような言葉や言動をドラマで出して欲しくないのだが、この様な現象は、今、世界各国で蔓延しているのではないかと感じている。




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