○方法俳句628・形容名詞効果2-場所の「ところ」・岸田稚魚04・2023-07-10(月)
○「鬼灯市夕風のたつところかな」(『筍流し』1972)(→岸田稚魚04)
○季語(鬼灯市・晩夏)【→方法俳句-索引1・索引2・索引3・索引4・索引5】【→俳人一覧(あ・いい・いた・うえ・お・か・き・くけこ・さ・し・すせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や・ゆ~)】【→俳句結社索引】
【鑑賞】:今日は浅草の夏の風物詩「ほおずき市」。形容名詞「ところ」には場所と時間の「ところ」がある。圧倒的に場所の「ところ」が多い。時間の「ところ」は句の末尾につくことが多い。両者の区別は句意から判断するしかなさそうだが、掲句の「たつところ」は「ちょうど今たつところ(時間)」なのか「たつ場所」なのか判断がつかない。今まで取り上げた句をPickupにて考察してみる。
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■Pickup「形容名詞〈ところ〉の考察●句」(2023-07-10)
●場所の〈ところ〉(圧倒的に多い)
01「海に出て木枯帰るところなし」(『遠星』1947)(山口誓子)
02「青空の暗きところが雲雀の血」(『雲雀の血』1996)(高野ムツオ)
03「赤い根のところ南無妙菠薐草」(『秋』)(川崎展宏)
04「雁や河口は河の終わるところ」(『潟風』2012)(鎌田透次)
05「たましいの焦げしところにカンナ咲く」(蝶丸)
06「日の当るところ馬寄り黄落す」(村山古郷)
07「雁よりも高きところを空といふ」(『週末』1983)(今瀬剛一)
08「縁側は小春が寄つてゆくところ」(『春風』2013)(大島雄作)
09「水草生ふみづのせせらぐところより」(木津柳芽)
10「春障子重なるところやや昏し」(関口比良男)
11「身の暗きところを叩き天花粉」(嶋田麻紀)
12「麦藁帽ほつれしところ掌に熱く」(『雷光』2014)(鎌田透次)
13「傾いてゐるところより春野かな」(『跣足』1999)(藤本美和子)
14「つり鐘の蔕のところが渋かりき」(『俳句稿』1899)(正岡子規)
15「虫しげきところもつともくらきところ」(上井正司)
16「滴りのすぐのところに滴れり」(岬雪夫)
17「湖心とはヨット集まりゆくところ」(五十嵐哲也)
18「銀杏の潰されてゐるひとところ」(『接岸』2017)(鎌田透次)
19「雪降れり帰るところへみな帰り」(『石枕』2010)(谷川季誌子)
20「花衣の内なるところ肋骨」(榊原伊美)
21「大滝を拝むところに火の匂い」(杉浦圭祐)
22「耳奥にしづかなところ蟬しぐれ」(江崎紀和子)
23「日のあたるところざわめく大夏木」(藤本夕衣)
24「綿虫や戸口は母の待つところ」(佐藤小枝)
25「蚕豆剥く上がり框といふところ」(宮田正和)
●時間の〈ところ〉(句の末尾につく)
26「人に倦み青鬼灯を覗くところ」(岩木躑躅)
27「声を上げいま白鳥の翔つところ」(『白鳥』2014)(髙松文月)
28「虚子の忌の皿あたためているところ」(池田澄子)
29「夕立や幽けき廊下ゆくところ」(依光正樹)
30「空蟬に蟬が入ってゆくところ」(『のほほんと』2017)(野口裕)
31「白玉にゑくぼをつけてゐるところ」(『点る』2010)(小林苑を)
●どちらともいえる〈ところ〉
32「鬼灯市夕風のたつところかな」(『筍流し』1972)(岸田稚魚)
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