どんな人でも、年を取ってくると徐々に、多かれ少なかれ、骨が弱くなり、骨粗鬆症になってきます。
骨粗鬆症で起こる、骨折で最も多いのが、圧迫骨折です。圧迫骨折とは、脊椎の骨が脆弱化することにより、容易につぶれてしまう骨折です。多くは転倒や尻餅をつくことで発生しますが、知らず知らずのうちにつぶれていたという方もおられます。
圧迫骨折を起こすと、従来は変形を残したまま固まるのを待つというのが一般的な治療法で、約6週間のコルセットを装着して、骨癒合を待ちます。骨癒合が起これば、痛みは改善しますが、変形が残るので、場合によっては、背中が曲がったままになってしまうこともあります。
経皮的椎体形成術は、十分な保存療法を行っても、脊柱の変形や痛みが改善しない場合に行われます。
手術は全身麻酔下に行われます。
背中に5mmの切開を2箇所行い、神経に当たらないように、注意しながら、椎体前方に器具を挿入します。
圧迫骨折の部位に到達してから、バルーンを膨らませ、椎体の矯正を行います。
その上で、骨セメントを注入し、硬化を待ちます。
皮膚を縫合して終了します。
翌日より、歩行開始となります。
コルセットは新たな圧迫骨折の防止のため、6週間装着します。
骨セメントは術中に硬化していますので、麻酔が覚めた時点で、圧迫骨折の痛みはすでに消失しており、翌日から歩行できるようになります。
とてもシンプルな方法ですが、危ない面もあります。
まず、神経の近くをかすめて、器具を挿入する必要があること。
骨セメントを適切な位置に、適切な堅さで入れないと、脊柱管内や、腹腔内に骨セメントが漏れ出したり、肺塞栓を起こす可能性があること。
このような手術であるために、専用のトレーニングと試験があります。もちろん、わきだ整形外科の楊 昌樹はすでに認定を受けています。
手技に精通した医師が行えば、非常に有効な手術で、平成24年4月より保険適応となった手術です。
圧迫骨折を起こして、なかなか痛みが改善しない患者さんは一度、わきだ整形外科を受診してみてください。つらい腰痛から、解放される可能性があります。