1月14日(土)~15(日)、Nobさんと2人で、上高地の東に位置する「霞沢岳(2646m)」
を西尾根から登ってきました。
1/14(土)
3:30水戸出発~4:40三郷出発~8:30沢渡~9:10釜トンネンルスタート~10:10大正池~10:45西尾根取付
~15:15幕営地2080m 20:40頃就寝
今回のザックは軽量化を図り22.2kg。前回の「槍ヶ岳を目指して」は26kgだったので、20㌔
超でも軽いこと軽いこと。これには自分もびっくりでした。そう言えば、山に全く興味のな
かった大学生時代、背負子に石積んで起伏のあるキャンパスをひたすら歩いていた山岳部員
を見て、なんであんな馬鹿なことやってんだろうと思いましたが、今回その重要性を再認識。
ボッカトレってとっても大切なんだ。
暗い釜トンネル(1310m)内を進むNobさん。でも、照明がいくつか点灯しておりヘッデン
なしで大丈夫でした。
国土交通省砂防事務所手前の西尾根取り付きに到着。ワカンを装着してスタートです。
ところが、いきなりの大苦戦!!!! 雪が少ないためにワカンが笹の上を滑ってしまい、
キックステップも効かず、もがけどもがけど全然上に登れない。いやはや最初から参りまし
た。それでもなんとか笹を掴みながら腕の力で登り、たかが30mの標高を登るのに30分以上
もかかってしまい、こりゃぁアカンと言うことでアイゼンとピッケルにチェンジ。
とは言っても、フカフカの雪が積もった急斜面は、トレースを辿っていっても実によく滑り
ました。そこで登攀方法を変更し、ピッケルのヘッドとピックを両手で持ち、前方の斜面に
深く差し込み、両手で体を引きあげる方法を取り入れました。以前、飯豊の石転び沢の上部
急斜面でこの方法を見たことがあります。こうすると、さすがに足への荷重をかなり低減で
き、滑りは劇的に減らせました。
すごくエネルギーを消耗する登り方なので、燃費は最悪。ガス欠によりドラ焼き食べてエネ
ルギー充填です。
このような登りを繰り返し、なんとか予定の2,050m付近まで上がってきて、斜面を整地して
こんな所にテントを張りました。(写真は翌日スタート時)
10時45分に取り付き、テン場到着は15時15分。約500mの標高になんと4時間30分も費やしてし
まいました。ある方のヤマレコ報告では「バカ尾根」と表現していましたが、まさしくとん
でもないアホ尾根でした。
今回は前回の教訓を活かして早めにテントを設営できたので、私は雪で水を作り、Nobさん
はおでんの巾着の仕込み。巾着は出来合い物も沢山ありますが、一級建築士はそんな妥協はい
たしません。でもさぁ、山のテントの中で巾着仕込む人って、Nobさんしかいないよね(笑)
本日のディナーの前菜はキャビア!!! キャビアはキャビアでも、これはカスピ海産最高級
キャビアの「ベルーガ」。キャビアの知識なんて全くないのでちょっと調べてみたら、カスピ
海に生息するチョウザメの種類によって卵の粒の大きさとブランド価値が異なるそうで、大き
い順にベルーガ(Beluga、オオチョウザメ)、オシェトラ(Oscietra、ロシアチョウザメとシ
ップチョウザメ)、セヴルーガ(Sevruga、ホシチョウザメ)キャビアと呼ばれるらしいです。
たった20gのお値段は、槍ヶ岳山行で食したすきやき用神戸牛が倍買えるとのこと。持つべき
友は大社長ですね(^^)/
フランスパンをカットしてホワイトチーズを載せ、その上にブラックダイヤモンドのキャビア
をたっぷりと。なんと贅沢な!!!! こんなこと山のテントでやっていいのでしょうか。こ
れがNobシェフのこだわりです。
ビールもキャビアに合わせてキリリと冷えた高級エビス。
メインディッシュはお餅とウインナーが入った特製巾着入りの熱々おでん。たっぷり量があった
のに、ビールとホットウイスキーを飲みながら、4時間も山談義しながらほとんど食べ尽くしちゃ
いました。ご馳走様でした。翌朝はおでんの残りに稲庭うどんと野菜、卵を入れたアタック朝食。
1/15(日)
4:50起床、朝食~7:20幕営地スタート~9:20核心部岩場2,500m~10:00霞沢岳山頂2,646m~10:40核心部
~12:00テン場、小休止、撤収、13:30下山~15:40西尾根取付~16:50沢渡~20:40三郷~21:40水戸
前回の槍ヶ岳山行でピッケルを落としてしまったので、新たに購入したものがこれ。「ブラック
ダイヤモンド ベノムアッズウィズリーシュ」。なんだか舌をかみそうな名前(^^;) 今回の山行
ではこのピッケルが大活躍。
急峻な登りでは、昨日と同じく、目の前の斜面に深く突き刺し両腕を引き寄せ強引に登ったり、
手掛かりがないところではシャフトを握ってピックを斜面に突き刺し、それを引っ張って登りま
した。雪が前日よりは締まって登り易くなりましたが、上も呆れるほどの斜度でした。
核心部に接近。岩峰に先行パーティーのメンバーが立ってます。
厳しい寒さの中、ピッケルを突き刺し登るNobさん。そしてナイフリッジを渡り少し下ったと
ころで、先行者3人パーティーとすれ違いました。頂上を極め、核心部も無事クライムダウンして、
ザイルやギアを仕舞ってるところでした。ラッセルのお礼を言って、この先もさらに危険地帯が
あるか訪ねたら、ここだけが一番危険な場所とのこと。Nobさんと協議した結果、登りはノー
ザイル、下りは懸垂下降を実践することに決定。
核心部を登る私。
核心部を登りきり、ナイフリッジを無事通過。写真左は見事に切れ落ちていますが、右には潅木が
あるので恐怖感はそれ程ありません。
ガスガス強風の中、頂上を目指して登るNobさん。
そして核心部を通過30分後に霞沢岳山頂2646mに到着。万歳、万歳!!! しかし、ガスガスで何
にも見えません。本当は ↓ こういう景色を期待してたのに。
出典:ヤマレコ「霞沢岳のバカ尾根 西尾根バリエーション!」stkさん撮影【使用許可済】
寒くて居られないので、すぐに下山。
わずかな時間ですが、少し視界が開ける瞬間がありました。
核心部まで戻ってきました。
聳え立つ岩峰の先端で合図を送るNobさん。カッコいいですよ~(^_^)v
核心部の下山は、特訓で覚えた懸垂下降で極めて安全に降りました。安心感が全然違います。今回
の山行は絶景はだめでしたが、新たに揃えたギアを使って懸垂下降を実践できたことが最大の収穫
でした。
そんな2人が、今回まさにそんなスキルを使って自らの創意で危険回避した場所を最後に貼り付け
て、山行報告を終わります。幕営地のすぐ下です。下が崖というわけではありませんが、かなりの
斜度で長さもあり、雪がたっぷり付いて手掛かりが十分にはありません。来る時は20kg超ザック背
負ってビクビクしながら登ってきたのです。しかし、下りではかなりの確率で滑り落ちそうでした。
加速して木にぶつかったら、当然無傷ではすまないでしょう。お陰でとても安全に降りることがで
きました。
7時20分に活動開始して10時に山頂,テントに戻ってコーヒーで体を暖め,15時40分に国土交通省
砂防事務所の取り付き点に無事下山。
【総括】
絶景は無かったけれど厳冬期の厳しい条件で頂上に立てたこと、そして懸垂下降を実践できたこと
による満足感により、ある意味「厳冬期の槍ヶ岳を目指して」を超える充実した達成感のある山行
でした。それにしてもキャビア美味かったなぁ。Nobさん、次回はトリュフね(^_^)v
文責:cotton&Nobの合作
を西尾根から登ってきました。
1/14(土)
3:30水戸出発~4:40三郷出発~8:30沢渡~9:10釜トンネンルスタート~10:10大正池~10:45西尾根取付
~15:15幕営地2080m 20:40頃就寝
今回のザックは軽量化を図り22.2kg。前回の「槍ヶ岳を目指して」は26kgだったので、20㌔
超でも軽いこと軽いこと。これには自分もびっくりでした。そう言えば、山に全く興味のな
かった大学生時代、背負子に石積んで起伏のあるキャンパスをひたすら歩いていた山岳部員
を見て、なんであんな馬鹿なことやってんだろうと思いましたが、今回その重要性を再認識。
ボッカトレってとっても大切なんだ。
暗い釜トンネル(1310m)内を進むNobさん。でも、照明がいくつか点灯しておりヘッデン
なしで大丈夫でした。
国土交通省砂防事務所手前の西尾根取り付きに到着。ワカンを装着してスタートです。
ところが、いきなりの大苦戦!!!! 雪が少ないためにワカンが笹の上を滑ってしまい、
キックステップも効かず、もがけどもがけど全然上に登れない。いやはや最初から参りまし
た。それでもなんとか笹を掴みながら腕の力で登り、たかが30mの標高を登るのに30分以上
もかかってしまい、こりゃぁアカンと言うことでアイゼンとピッケルにチェンジ。
とは言っても、フカフカの雪が積もった急斜面は、トレースを辿っていっても実によく滑り
ました。そこで登攀方法を変更し、ピッケルのヘッドとピックを両手で持ち、前方の斜面に
深く差し込み、両手で体を引きあげる方法を取り入れました。以前、飯豊の石転び沢の上部
急斜面でこの方法を見たことがあります。こうすると、さすがに足への荷重をかなり低減で
き、滑りは劇的に減らせました。
すごくエネルギーを消耗する登り方なので、燃費は最悪。ガス欠によりドラ焼き食べてエネ
ルギー充填です。
このような登りを繰り返し、なんとか予定の2,050m付近まで上がってきて、斜面を整地して
こんな所にテントを張りました。(写真は翌日スタート時)
10時45分に取り付き、テン場到着は15時15分。約500mの標高になんと4時間30分も費やしてし
まいました。ある方のヤマレコ報告では「バカ尾根」と表現していましたが、まさしくとん
でもないアホ尾根でした。
今回は前回の教訓を活かして早めにテントを設営できたので、私は雪で水を作り、Nobさん
はおでんの巾着の仕込み。巾着は出来合い物も沢山ありますが、一級建築士はそんな妥協はい
たしません。でもさぁ、山のテントの中で巾着仕込む人って、Nobさんしかいないよね(笑)
本日のディナーの前菜はキャビア!!! キャビアはキャビアでも、これはカスピ海産最高級
キャビアの「ベルーガ」。キャビアの知識なんて全くないのでちょっと調べてみたら、カスピ
海に生息するチョウザメの種類によって卵の粒の大きさとブランド価値が異なるそうで、大き
い順にベルーガ(Beluga、オオチョウザメ)、オシェトラ(Oscietra、ロシアチョウザメとシ
ップチョウザメ)、セヴルーガ(Sevruga、ホシチョウザメ)キャビアと呼ばれるらしいです。
たった20gのお値段は、槍ヶ岳山行で食したすきやき用神戸牛が倍買えるとのこと。持つべき
友は大社長ですね(^^)/
フランスパンをカットしてホワイトチーズを載せ、その上にブラックダイヤモンドのキャビア
をたっぷりと。なんと贅沢な!!!! こんなこと山のテントでやっていいのでしょうか。こ
れがNobシェフのこだわりです。
ビールもキャビアに合わせてキリリと冷えた高級エビス。
メインディッシュはお餅とウインナーが入った特製巾着入りの熱々おでん。たっぷり量があった
のに、ビールとホットウイスキーを飲みながら、4時間も山談義しながらほとんど食べ尽くしちゃ
いました。ご馳走様でした。翌朝はおでんの残りに稲庭うどんと野菜、卵を入れたアタック朝食。
1/15(日)
4:50起床、朝食~7:20幕営地スタート~9:20核心部岩場2,500m~10:00霞沢岳山頂2,646m~10:40核心部
~12:00テン場、小休止、撤収、13:30下山~15:40西尾根取付~16:50沢渡~20:40三郷~21:40水戸
前回の槍ヶ岳山行でピッケルを落としてしまったので、新たに購入したものがこれ。「ブラック
ダイヤモンド ベノムアッズウィズリーシュ」。なんだか舌をかみそうな名前(^^;) 今回の山行
ではこのピッケルが大活躍。
急峻な登りでは、昨日と同じく、目の前の斜面に深く突き刺し両腕を引き寄せ強引に登ったり、
手掛かりがないところではシャフトを握ってピックを斜面に突き刺し、それを引っ張って登りま
した。雪が前日よりは締まって登り易くなりましたが、上も呆れるほどの斜度でした。
核心部に接近。岩峰に先行パーティーのメンバーが立ってます。
厳しい寒さの中、ピッケルを突き刺し登るNobさん。そしてナイフリッジを渡り少し下ったと
ころで、先行者3人パーティーとすれ違いました。頂上を極め、核心部も無事クライムダウンして、
ザイルやギアを仕舞ってるところでした。ラッセルのお礼を言って、この先もさらに危険地帯が
あるか訪ねたら、ここだけが一番危険な場所とのこと。Nobさんと協議した結果、登りはノー
ザイル、下りは懸垂下降を実践することに決定。
核心部を登る私。
核心部を登りきり、ナイフリッジを無事通過。写真左は見事に切れ落ちていますが、右には潅木が
あるので恐怖感はそれ程ありません。
ガスガス強風の中、頂上を目指して登るNobさん。
そして核心部を通過30分後に霞沢岳山頂2646mに到着。万歳、万歳!!! しかし、ガスガスで何
にも見えません。本当は ↓ こういう景色を期待してたのに。
出典:ヤマレコ「霞沢岳のバカ尾根 西尾根バリエーション!」stkさん撮影【使用許可済】
寒くて居られないので、すぐに下山。
わずかな時間ですが、少し視界が開ける瞬間がありました。
核心部まで戻ってきました。
聳え立つ岩峰の先端で合図を送るNobさん。カッコいいですよ~(^_^)v
核心部の下山は、特訓で覚えた懸垂下降で極めて安全に降りました。安心感が全然違います。今回
の山行は絶景はだめでしたが、新たに揃えたギアを使って懸垂下降を実践できたことが最大の収穫
でした。
そんな2人が、今回まさにそんなスキルを使って自らの創意で危険回避した場所を最後に貼り付け
て、山行報告を終わります。幕営地のすぐ下です。下が崖というわけではありませんが、かなりの
斜度で長さもあり、雪がたっぷり付いて手掛かりが十分にはありません。来る時は20kg超ザック背
負ってビクビクしながら登ってきたのです。しかし、下りではかなりの確率で滑り落ちそうでした。
加速して木にぶつかったら、当然無傷ではすまないでしょう。お陰でとても安全に降りることがで
きました。
7時20分に活動開始して10時に山頂,テントに戻ってコーヒーで体を暖め,15時40分に国土交通省
砂防事務所の取り付き点に無事下山。
【総括】
絶景は無かったけれど厳冬期の厳しい条件で頂上に立てたこと、そして懸垂下降を実践できたこと
による満足感により、ある意味「厳冬期の槍ヶ岳を目指して」を超える充実した達成感のある山行
でした。それにしてもキャビア美味かったなぁ。Nobさん、次回はトリュフね(^_^)v
文責:cotton&Nobの合作