キリギリスいろいろ
小学校2年の音楽の教科書に「虫の声」の歌を学習する。
この歌は1912(明治45)年の唱歌集「尋常小学唱歌」第三学年用に掲載された文部省唱歌です。
いまも教科書に載っているですが「こおろぎ」のところが明治は「きりぎりす」でした。
「あれ、松虫が鳴いている〜♪
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ
きりきりきりきり こおろぎや(きりぎりす)
がちゃがちゃ がちゃがちゃ くつわ虫
あとから馬おい おいついて
ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ」
実はこの歌の2番の歌詞がキリギリスからコオロギに変更になったのです。
明治の教科書には「きりきりきりきり きりぎりす」となっていたのが、昭和のはじめころに
キリギリスからコオロギになったようです。
キリギリスは「きりきり」とは鳴きません。さらに、キリギリスは夏の虫のため、秋の虫としてはコオロギのほうが適切ということで、途中から変更されたのですが、
コオロギの古名は「キリギリス」だったんですね。
しかし、今の子どもたちはこの歌に出てくる秋の鳴く虫をどれだけ見たことがある、聞いたことがあるか気になるところです。
10月18日から七十二候は「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」。キリギリスが戸口で鳴く時期とされています。
このキリギリス、コオロギのことです。
また、百人一首に
「きりぎりす 鳴くや霜夜(しもよ)の さむしろに
衣(ころも)かたしき ひとりかも寝む」
<意味>霜夜ですので、霜がおりるころなのでさむいのにキリギリスではなく、これはコオロギ。
コオロギが鳴いている、こんな霜の降る寒い夜に、むしろの上に衣の片袖を自分で敷いて、独り(さびしく)寝るのだろうか。
今のキリギリス、昔は「ギース・チョン」という鳴き声が機織りの音に似ているところから、「機織り虫」「機織り女(め)」と呼ばれていたそうです。
いまはこのキリギリス「ニシキリギリス」と「ヒガシキリギリス」に分類されることになった。
日本に分布しているのは 4 種とされている(日本直翅類学会,2006)。
ハネナガキリギリス (北海道)
ヒガシキリギリス(本州(青森県以南~岡山),淡路島)
ニシキリギリス(本州(西部),九州(北部))
オキナワキリギリス(沖縄諸島,宮古列島)
ニシキリギリスとヒガシキリギリスの形態のちがい(日本直翅類学会,2006 より)
ニシキリギリス
体長(翅端まで)♂ 29 ~ 37mm,♀ 30 ~ 39.5mm 体色は通常黄緑色で前翅上部が明褐色.まれにやや黄褐色味を帯びる.前翅側面には黒斑をもたないか,あっても 1 列程度.前翅は通常,腹端より長く,側面の幅はほぼ平行.腹部腹側は黄色味を帯びる.♂の生殖下板先端はV字型に窪む.♀の生殖下板先端の窪みはないか,あってもわずか.
ヒガシキリギリス
体長(翅端まで)♂ 25.5 ~ 36mm,♀ 24.5 ~ 37mm 緑色型と褐色型がある.翅長や翅形には変異が多いが,前翅側面に通常黒斑がある.翅長はニシキリギリスより短く,腹端と同じくらいかやや短い.前翅は側面中央部の幅がやや広く,先は尖る.まれに長翅型があらわれるが,発音器が大きいことでニシキリギリスと識別できる.腹部背側には 2 本の細い淡色帯と,その外側に黒条があり,中央は茶褐色.黒条には変異があり,濃いものは腹節ごとに逆三角型になる.腹部腹側の色は,腹部側面と同じ色で,黄色味を帯びない.発音器は,オキナワキリギリス,ニシキリギリスより丸みを帯びやや大きい.♂の生殖下板先端の窪みは浅く,中央部だけ深く切れ込む傾向がある.♀の生殖下板先端はやや窪む
兵庫県はどうもその境目になるようだ。
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