野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

未の刻にさくヒツジグサ

2023-06-26 | フィールドガイド--植物編--

ヒツジグサ(スイレン科)

分布 北海道~九州

花の時期 6~9月

 

昔の時刻の数え方のひとつである、「未(ひつじ)の刻(14:00)」の頃に花が開くことからこの名前になった。(園芸種のスイレンは早朝に花が開く)

ところが、江戸時代の書『大和本草』には、「此ノ花ヒツジノ時ヨリツボム」とあります。

それで、明治までは早朝に花が咲き、未の刻には花が閉じると思われていました。

 

それが事実かどうかを京都府の巨椋池(今は埋め立てられてありませんが)で、確かめた人物がいました。

牧野富太郎氏です。

早朝から夕方まで観察して、「花は正午から午後三時までに咲き、夕方5時から6時ごろに閉じる」と述べたといいます。

今回の画像は

里山での草刈りの作業前(10時)の画像

そして昼食時(1時ごろ)の画像

 

一つの花は3日、3回咲いたあと、水中に沈み結実します。

実ができると種子は浮かびます。一つ一つの種子は仮種皮(かしゅひ)につつまれてぷかぷか浮いてひろがっていきます。

この仮種皮は1、2日で腐ってとけてしまいます。とけると種子はそのまま水底に、時期が来ると発芽することになります。

兵庫県では、ため池でよく見ることのできるヒツジグサ。全国的にみると絶滅が危惧される種になりつつあります。

 

京都府(牧野富太郎氏はさどくやんでおられるかも)や奈良県では絶滅危惧種Ⅱ類、大阪府や和歌山県 滋賀県では準絶滅危惧種

コイやアメリカザリガニの食害のほか、きれいな環境が少なくなり、また、埋め立てなどで生活する環境がなくなっているとか


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