高温注意情報が頻繁に出るようになった。熱中症の危険があるので水分補給を十分にとるようにとニュースで注意をよびかける日が続く。今回は熱い日本の特に都市部でしたたかに生きる昆虫を紹介した本だ。
ヒートアイランドの虫たち 藤原幸一著 あかね書房 2014年
京葉工業地帯、工場が立ち並ぶヒートアイランドの地域で生きる昆虫の世界を紹介。こんなところにいるのかとびっくりする。
オオカマキリ、クマゼミ、ノシメトンボ、ショウリョウバッタ、ヒメハキリバチ、スズメガのなかま、アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、ナナホシテントウムシ、セイヨウミツバイ、カブトムシ、コクワガタを紹介している。
梅雨明けから関西の公園でなくクマゼミ、九州や南西諸島の一部にいたのが、今では関西で午前中にうるさくなくセミで、今では東京でも鳴き声が聞こえ始めたそうだ。日本のセミの中で一番うるさいセミだとおもう。それが、南方のクマゼミが北上してヒートアイランドになった東京でも聞くようになったのは温暖化のせいであろうか。
昆虫の場合は、食草がないと育たない。アオスジアゲハの食草はクスノキ、街路樹になっているので、亜熱帯出身の蝶でもいきていけるのだ。
ツマグロヒョウモンも関西ではパンジーを食草にして、都市部でみられる蝶の一つ。それも、1990年以降にふつうにみられる蝶になった。
植物でも、シュロを紹介している。関西では昔の人はシュロを家の周りに上生活の道具をつくっていたのだが、東京でもどんどん増えやすくなった。
一番心配されるの遺伝子の保存。神奈川県で、日本のクワガタと外国産のクワガタの遺伝子が混じった個体が見つかった。温暖化で熱帯の昆虫が日本で生き延び、交配可能である証拠である。
このように、あたたかくなっていままで見られない生き物が増えたことは何を意味するのだろう。どこにでも生きようとする生命力をこの本から伝わってくる。
あとがきで、インドネシアのこどもたちが昆虫が金になるので学校に行かないで昆虫採取をして家計をたすける話がでてくる。温暖化で昆虫がほくじょうするだけでなく、ヒートアイランドから海外の子どもたちに影響を与える日本、こんなことまでつながっていることを筆者がいちばん伝えたかったことかもしれない。
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