ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

カオリンを多く含む釉薬

2016年07月30日 | 釉薬
以前、カオリンを多く含んだ釉薬で焼成時に釉が縮むトラブルについて書いたことが
ありましたが、その後釉薬屋さんから学んだことは、カオリンが8%以上の釉薬
の場合は、生カオリンを2に対して焼カオリンを1の比率で混ぜると良いという
ことです。生のカオリンは乾燥時や高温焼成時での収縮率が高いために釉の縮れなど
のトラブルを起こしやすいのですが、焼カオリンがその収縮を抑える働きをするわけ
です。

以前トラブルのあった釉薬は、福島長石10%・合成土灰50%・朝鮮カオリン(生)
40%・焼成タルク10%・珪酸ジルコニウム3%でした。従って、この場合なら
生カオリンを26.7%に焼カオリンを13.3%の割合にすればよいことになり
ます。

私が作るマット釉はカオリンを多く含むものがほとんどで、以前は生カオリンば
かりを使っていた割にはトラブルが少なかったのは運が良かったのかも知れま
せん。これで、これからはマット釉を安心して厚掛けすることもできそうです。

カオリンいろいろ

2015年11月15日 | 釉薬


公募展用の作品第1号が焼き上がったら、釉がシッカリと縮れてしまった。釉を作る段に
なって朝鮮カオリン(金剛カオリンSP300)が足りないことに気付き、時間も無いので慌
てて瀬戸の山田窯業まで買いに行ったのだが、金剛カオリンは最近入荷していないとの
ことだった。そこで、一番よく出ていますとの店の人の話で韓国カオリンを、まあそう
大差ないだろうと勝手に決め込んで買ってしまった。結局大差はあったわけだ。

一般的にカオリンは量が多いと乾燥時や焼成時に収縮し易いと言われていて、そのために
収縮を抑えるために予め仮焼した焼カオリンというのも売られている。せめてこっちに
しとけば良かったと後で思う。しかし、今まで使っていた朝鮮カオリンは焼いてなくても
収縮しなかった。釉薬原料はよく分からないことだらけ。

朝鮮カオリン (入所先:陶芸ショップCOM 25kg袋には金剛カオリンSP300との記載)
        収縮具合:あまり縮まない

韓国カオリン (入手先:山田窯業)
        収縮具合:結構縮む

以前、純白と言われるニュージーランドカオリンも試してみたが、ものすごくザラザラマット
になってしまった。媒溶剤を増やすか、ミルをシッカリするかしないと思うけど、そのままになっている。

ちなみに、この釉薬(カオリンマット釉)の配合は以下の通り。温かみのある半マットの白で、
土に鉄分があると火色が出る。下は以前作ったビアマグ。
福島長石10%・合成土灰50%・朝鮮カオリン40%・焼成タルク10%・珪酸ジルコニウム3%



結局のところ、浸し掛けのために約40リットルの縮れ易い釉ができてしまった。トホホな
成果だがそのうち改善策を考えよう。
公募展用には、第2号、3号作品にカオリンマット釉とは全く違う鉄釉をスプレー掛けした
ところ結構うまく焼き上がったので一安心。今日は撮影、応募書類を書いて仮梱包。カメラ
のキタムラで画像プリントして、コンビニで書類コピーを作り、ヤマト運輸で発送を終える
とシッカリ日は暮れていた。梱包用の箱作りの段取りが悪かったと反省。

日本陶料の”マット釉”を基礎釉に使った釉薬

2014年07月27日 | 釉薬
先日、大先輩に釉はげが起こりやすい自作のマット釉の話をしたら、市販の釉薬に着色材を混ぜることを試してみてはとアドバイスをいただきました。そこで思い出したのが日本陶料の「マット釉」です。この釉薬は、透明に近いマット釉で、薄がけにするとほぼ土の素地の色がそのまま表れ、濃い目に掛けるとある程度白濁してきます。一般の白マット釉よりは白濁が少ないということです。これがマットの基礎釉として利用するのにちょうど良いのではないか考え、試してみました。

一番左が何も混ぜない場合。真ん中が暗い茶を目指したもので、原料比の外割りでベンガラ2%、二酸化マンガン8.8%を追加。右側は、やや薄くて落ち着いたブルーを目指し、外割でベンガラ0.5%、酸化コバルト0.5%、酸化ニッケル0.5%を追加しました。土は白のやや粗めの土です。焼き上がりはどちらも良い感じに色が出ています。暗い茶色はベンガラとマンガンが良く混ざり、ベンガラによる黄味とマンガンによる赤味の間の色が出ました。薄いブルーはベンガラとニッケルの隠し味が利いて少し沈んだブルーになりました。この「マット釉」は、表面のマット具合が強すぎず、弱すぎずでしかもしっとり感があって気に入ってます。