陶の像がとても良かった。知的で粋で味がある。軽妙洒脱と言うか、作者が愉しんで作った結果が作品に表れている。この人の代表作は抽象の陶彫刻で、それはそれで見応えがある。しかし、最後にたどり着いたのが本人曰く、粘土細工。
---近年になって私の考へは又又變ってしまって「彫刻」といふよりも幼児の粘土細工のやうなもになってしまった。だから「彫刻」といふシチ難しい考へを捨てたと云ってもいい。「彫刻」になってゐなくたって一向に構はない。却ってその方がいいと私は思ふやうになったのだ。肩肘を張って構へることはない。それで、作るものの大きさも、以前のやうに無暗に大きなものを作らうとしない。焼物は自分の兩手で持ち上げられないやうな重いものは作らない方がいい。---
芝居の登場人物、木陰で寝転んで読書する人物、工房にいる自分と猫、横山大観、人斬り以蔵などモチーフは様々。正に肩ひじ張らずに自分の関心の赴くまま作陶するスタイルが良いなと思う。これは歳をとって創造意欲が衰えたのか、それとも円熟の境地なのだろうか。少なくとも、ありのままの自分に向き合っていると感じる。
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