ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

切れ味の良いかきべら

2017年08月03日 | 仕事場や道具
ゼンマイばねを使った自作のかきべらです。ゼンマイはとても硬い
上に厚みは0.5mmと薄いのでとても切れ味が良く、研ぐ必要も
ありません。ただシャープに折り曲げることはできないので平らな
刃にすることはできないのが難点。また刃の幅は5mmで、あまり
大きなへらは作れませんが、器の高台を削るにはちょうど良い
サイズです。瀬戸の村上金物でたしか1m500円くらいだったか?
とにかく安いです。





超音波カッターで透かし彫り

2017年06月14日 | 仕事場や道具
私が最近作っている透かし彫りランプは厚肉(約13mm)なので
穴を一つ一つカットするのにかなりの手間がかかります。そのことを
知り合いの工業デザイナーに話したら、超音波カッターを使えば良い
のではとアドバイスをもらいました。調べてみると、超音波カッター
はプラスチックの板などが簡単に切れる便利な道具なのですが、
1台数万から数十万もします。そこで、超音波とくれば超音波歯
ブラシが使えるのではないかと考えて自作してみました。自作と
いっても、歯ブラシの部分を改造し、デザインナイフの刃をダイヤ
モンドヤスリで更に細く削って取り付けるだけです。
実際に使ってみるととても刃がスムーズに進み、ただのナイフで
切るよりずっと切り易くなりました。

 


 
動画はこちらから

窯のスイッチが入らない!・・・寿命がきた熱電対

2017年04月19日 | 仕事場や道具
窯詰めして、運転ボタンを押してもスイッチが入らない。電気は来てるのに・・・。
パネルをよく見ると何故か温度表示が出ていない。製造元に電話したらこれは熱電対
がダメになっている症状だとのこと。なるほど、温度が表示されないはずだ。そこで
ネットで調べると、熱電対は消耗品であり交換すれば良いらしい。故障でなくて
ひと安心した。
製品カタログを調べるとR熱電対10φ×350mmと書いてあるので再びネットでこれを
検索。すると、何と1本45,000円もする高級品。さっきのひと安心はフッ飛んで
しまった。そこに、製造元から連絡を受けた販売元の陶芸ショップコムから電話。
新品もあるが中古もあり、価格は4分の1だという。その素性を聞くと最近店じまい
した陶芸教室で使っていた物だと言う。早速中古を注文。



色々なやり取りの中で熱電対について学んだことは以下の通り。

・熱電対のほとんどはJISなどの規格に合わせた汎用品で互換性がある。
・陶芸用電気窯に使われるR熱電対は白金を使ったもので、白金の
   直径には0.1、0.3、0.5などの種類があるが、太い程耐久性があり、
   且つ高価。一般の窯には0.3が使われている。
・保護管と呼ばれる部分の太さには種類があり、窯にはその保護管
   を通す穴が開いていてそこに熱電対は差し込んである。
・熱電対の長さは窯の炉壁の厚さに合わせる。窯の内部に白い保護管
 部分が50mm~100mmは出ている必要がある。
・白金の耐久性にはバラツキがあり、数年でだめになることもあれば
 10年以上もつこともある。
・頻繁に窯を使用する工場のようなところでは、感知の精度を確保する
 ために数ケ月で新品に交換する場合もある。
・熱電対の種類は、保護管の直径と全長と白金の太さで表記される。
・熱電対に流れる電気は直流で+、−がある。赤いコードが+。
・熱電対は外部からの衝撃に非常に弱いので取り扱いには注意を要する。
・熱電対は酸化雰囲気には強いが還元雰囲気には弱いという性質がある。






アースを外し熱電対の+、−に注意しながら交換して通電すると温度表示
が出て無事作業終了。土曜にトラブルが発生したので対応には4日掛かって
しまった。展示会前でなくて良かったが、スペアを用意しておいた方が
良いのかも知れない。

駄洒落のコテ

2017年01月27日 | 仕事場や道具

プレゼントでもらったコテ。自在に曲げることができながらシッカリしている。ロクロ成形の時だけでなく指先の届かない部分を内側から押し出すのに便利。ラベルに書いてあるpotter’s wand のwandって何だろうと思って調べたら 魔法の杖。つまり、陶芸家のコテをハリーポッターの魔法の杖にかけた駄洒落だった。
それにしてもアメリカの道具には便利で新しいものが色々ある。陶芸の市場は日本よりずっと大きいのだろうと推測される。

硬くなってしまった粘土の再生

2016年05月22日 | 仕事場や道具
まだ湿り気はあるけれど、指で押しても数ミリ位しか凹まないくらい硬くなっってしまった
粘土の再生法です。ちなみにこの土は3.5kgありました。

先ず、ワイヤーで5mm位の厚さにスライスします。この道具は12mmの合板に0.5mm
のステンレス針金を張ったもので、ギターの糸巻きを利用して張ってあるので針金が切れても
簡単に交換できます。


粘土を縦横に切って短冊状にしたら水を掛けます。どれくらい水を掛けたら丁度良い柔らかさ
になるかを見極めて水の量を決めます。多少は多めにした方が後で調整し易いので無難です。



粘土をポリ袋に入れて空気を抜いて1時間、急いでいたら10分くらい置いて、水が土に浸透
するのを待ちます。その間他の仕事をすれば1時間くらいはあっという間ですね。




次は、ベタベタになった粘土を練るわけですが、これが結構厄介なので工夫をしました。
先ず、12mm合板を木綿の布で包み、大型のクリップで周囲を固定します。(クリップは
32mm幅、100円ショップで8個100円。やけにカラフルですが、普通の黒いものは100円で25個
もありそんなに要らないので止めました。)
この板に粘土を置いて先ずドライヤーで表面の水気をざっと取ります。これをしないと直ぐ
手がヌルヌルになり滑って練りにくいのです。先ず、板の左半分を使って土を練り、土の中
にある小さな塊が手に感じられなくなったところで残りの半分を使って仕上げの練りをし
ます。布があることで水気の多い粘土でも板にベタ付くこと無く練ることができます。石膏
板の上で練るという方法もありますが、石膏板でも水気の多い粘土は貼り付いてしまうこと
があります。



最後に粘土を立方体にまとめて、空気が入らないように注意してポリ袋に2重に包み、識別
のラベルを付けたロープをポリ袋の口を横切る方向に掛けて縛ります。保存時はポリ袋の
口がある方を下にして粘土の重みが口にかかるようにして置きます。これをしっかりやって
いればそうそう粘土は乾かないのですけど、それでも何年も経つと乾くことはあります。

ちなみに、カチカチに固まってしまった粘土は、ハンマーで砕いてから水でドロドロにして、
石膏板で乾かす方法を使っています。