ひねって・焼いて・陶

陶芸の様々な技法、釉薬、お会いした陶芸家の方々の話等々、私が陶芸で学んだこと、発見したことなどを綴ります。

建築家 伊東豊雄さんのセミナーを聴いて

2015年09月17日 | できごと
今回は陶芸の話ではないけれど、建築デザインについて・・・

知合いに誘われ建築家伊東豊雄さんのセミナーを聴きに7月にオープンしたばかりの岐阜のメディア
コスモスへ行ってきた。テーマは「新ビジネスに活かすデザイン戦略」で、正直言ってあまり興味を
そそられる話題ではなかったのだけど、彼が新国立競技場のデザインコンペで最終案に残った一人
で、あのザハ・ハディド氏の案よりもずっと好感が持てる案を出していたので関心があった。
さて、話の焦点は伊東さんの考える「明日の建築」で、事前に掲げられていたテーマとはほとんど
違う内容だった。しかし、僕とってはむしろこの方が興味深い話題だった。伊東さんは、会場のメデ
ィアコスモスを含めて彼が最近手がけた様々な建築をベースに、ご自身の考えを披露してくれた。
彼の話をざっとまとめると・・・、

・公共建築はそれを使う人と話し合い、同じ向きになって考えて作るべきもの。作る側と使う側が
 対立してしまう様な状況は避けなければいけない。
・誰のために、何のために作るかという基本が大事であり、クリエイティヴであるが故に自己主張
 ばかりが強いデザインになってはいけない。
・自分は大きな資本を投入して大掛かりなものを作るよりも、小さなスケールから展開を広げるこ
 とに関心がある。

彼の建築に共通して感じられるのは、使う人に深く寄り添っていること、省エネであること、そして
建物の機能を美しく特長的なデザインで消化しているところだ。



セミナーの最後に質問コーナーがあったので、以前から関心のあった彼の新国立競技場デザイン案
の狙いについてお聞きした。すると、「あまり思い出したくないのですけど・・・」と笑いながら
前置きして、

・周囲との調和を考えて高さをなるべく抑えて50m(ザハ案より20m低い)とした。
・省エネを考慮した。(屋根がソーラーパネルになっている)
・建物の外周に軒を作り、そこを屋内と屋外の中間的ゾーンとした上で植栽をし、ジョギング等が出
 来る公園としても使えるようにした。大きなイベントはそれほど数多くないので・・・。

と挙げておられた。このデザイン、周囲の環境とのマッチングが良く考えられていて神宮の森に相応
しいものだと思う。選ばれなかったのが残念だ。さらに伊東さんは、審査委員長の安藤さんはとにか
く目立つものを考えていたので私の案はまるで眼中に無かったとも仰っていた。

https://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/NNSJ/33.html

デザインの仕事をする上での姿勢の大切さを改めて感じるセミナーだった。

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