「その犬、けったいな顔しとるなあ! チンか?」
「ちゃうちゃう! ちゃうちゃうや!」
「ええー? ちゃうちゃうとちゃう! ちゃうちゃうやて? ちゃうやろ!」
「ちゃうちゃうとちゃうやろって、ちゃうちゃう! ちゃうちゃうや!」
なんとも不思議な大阪弁の「ちゃうちゃう」。
「違う」という動詞からできた言葉だが、「ちゃう」は「ー・ちゃい(ます)・ちゃう(。)・ちゃう(人)・ー・ー」の活用しかない。
逆の意味の大阪弁は「ほんま」。
「本間」ではなく、〈本当の真実〉の意で「本真」と書く。
「このたこ焼き、美味いで!」
「本真かいな?」
「ほんまに本真や!」
「なるほど、ほんまに美味いなあ!」
平仮名で書いた「ほんま」は〈とても〉の意味になる。
「ちゃう」か「本真」か判断できない時、大阪人は「よう知らんけど」と曖昧に返事する。
「おい、戦争が始まるらしいで」
「本真かいな? 本真とちゃうやろ! 嘘とちゃうか?」
「嘘とちゃうらしい、ラジオで言うてたみたいやから本真とちゃうか? よう知らんけど」
80年前の1941(昭和16)年12月8日、太平洋戦争開戦。
「大本営陸海軍部発表。帝国陸海軍は今八日未明西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」
当時の大阪の人間は、あのラジオの放送をどんな気持ちで聴いていたのだろうか。
よう知らんけどで済ますことが出来ない、あのようなことが、本真に無いようにと、ほんまに思う。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます