河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

ちょっといっぷく25

2022年04月15日 | よもやま話

問 次の短歌の[  ]に入る語を、後の中から選べ。

 働けど働けど なおわが暮らし楽にならざり [   ]手を見る

 1 じっと 2 はっと 3 そっと 4 やっと 5 さっと


 石川啄木の有名な短歌(歌集『一握の砂』より。表記はわかりやすく改めています)。
どれを入れても意味は通じるが、啄木は「1 じっと」としている。生活苦からくる嘆き、悲しみ、怒り、あきらめなどを考えると「じっと手を見る」がしっくりとくる。

 最近、じっと手を見ることがよくある。かつて、何かの雑誌で、死期が近づいた人が自分の手をじっと見る「手鏡現象」という記事を読んだことがある。手のひらに過去の出来事が走馬灯のように映るとか・・・。それを思い出してドキリとしたが、私が見ているのは手のひらではなく、手の甲だとはっと気付いてほっとした。
 年齢を重ねるごとに脂肪は減少する。手の甲は脂肪が少ないため、脂肪が減少するにつれてシワや血管が目立つようになる。しわくちゃになった手の甲をじっと見て、加齢を感じるのはさることながら、よくぞ24500日も動いてくれたものよと感心しているのである。

 生後間もない赤ちゃんが自分の手を顔の前にかざして、じっと見つめる行動のことをハンドリガードという。リガード(regard)は英語で「~をじっと見る」という意味。自分に手というものがあって自分の意思で動かせることを発見しているのだという。私が手の甲をじっと見るのも、どうやらこれにちかい。
 こんなにもしわくちゃになりながらも、まだ血が通う手の甲と指の動きを見て、自分の意思が健在であることを再確認しているのだろう。

 ナス・トマト・オクラなどの夏野菜にはトゲがある。微妙に傷ついてシミになりやすいのでオロナインとメンタームを塗り分けている。まだまだハンドリガードができるように。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天南星

2022年04月13日 | 菜園日誌

 久々に山奥へ。前に見つけたショウジョウバカマは花が終わっていて、どこにあったのかすらわからなくなっていた。代わりに見つけたのがコレ。

 花のように見えているのは苞(ほう)という葉っぱ。これに包まれた中に花の塊があるらしい。ミズバショウを想像するとわかりやすい。
 ネットで調べると、正式にはサトイモ科・テンナンショウ属の一種。テンナンショウは漢字で「天南星」と書く。南天に見える竜骨座の星の一つでシレウスについで二番目に明るい星だそうな。しかし、日本では空の低いところに出るために見つけにくい。見えたとしても大気の影響を受けて本来より暗く赤っぽい色に見える。縁起の良い赤い色に見えることから「南極老人星」や「寿星」と呼び、見ると長生きをする星だという。
 その名がついているのだからテンナンショウは縁起の良い植物のようである。花言葉も「壮大な美」とある。

 日本には30種ほどが自生していて、調べていくと有った! しかし、恐ろしい名がついていた。
 マムシグサ(蝮草)。
 地面近くの茎の模様や、鎌首をもたげているような花、おまけに根(芋)には毒があるという。なにか良いところがないのかと調べ進むと、芋を乾燥させると真っ白になり(天南星の名の由来はここから?)漢方薬になるらしい。名前は悪いが体には良いのだ。そういうことにしておこう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ちょっといっぷく24

2022年04月08日 | よもやま話

オタマジャクシがカエルに変身する瞬間はいつなのだろうか?

水中から陸に上がったとき。なのだが、厳密にいえば、えら呼吸から肺呼吸に変わるときだ。
だから、オタマジャクシを飼うときには、水槽の中に水だけではなく、石や木などの体を水面に出すためのものをおいておかないといけない。
それにしても、えら呼吸から肺呼吸に変わる瞬間を見たいものだ。

週に一度、子ども見守り隊で交差点に立つ。新学期の始業式の今日、幸せにも当番にあたった。
見慣れた顔にまじって、真新しいランドセルを背負った一年生が元気よく挨拶してくれる。
こないだまで6年生だった子が、中学の制服姿で挨拶してくれる。
オタマジャクシからカエルになった瞬間かもしれない!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

裏鍬(うらくわ)三年

2022年04月06日 | 菜園日誌

 真四角な畑なら全体を把握しやすいのだが、図のようにいびつな形をしているのでわかりにくかった。しかし、グーグルの航空写真ができて、ようやく全体像がつかめた。

 さっそくエクセルで図を作り、どこに何を植えるかの作付けはエクセルで管理している。

 同じ場所に同じ野菜を続けて植えると連作障害で病気になりやすい。最も気を遣うのはエンドウ・スイカ・ナス・トマトで、四、五年は間隔をおかなければならない。他の野菜は一、二年の間隔をおくようにしているが、たまに管理表を見ずに勘で植えてしまう時がある。今年はタマネギを同じ場所に植えてしまい、案の定病気にかかってしまった。

 久々に天気が続いたので、朝から図のE(右下)を耕運機で耕し、鍬で20mほどの畝を五本立てた。7000歩は歩いているだろうと歩数計を見ると2200歩。鍬づかいは後ろ向きに重心をかけて移動するのでカウントしてくれない。百姓仕事は省エネな動きなのだ。

 百姓は自分の技術を積極的には教えない。出し惜しみではなく、人それぞれのやり方があるからだ。オカンも教えてくれなかったが、鍬の使い方を一度だけ「私がやるのをよう見ときや」と言って教えてくれた。

 「後ろ向きに重心をかけて鍬を引き、土を乗せて畝に置く。次に重心を前にかけて鍬を前に出して、鍬の裏で畝の土をならす。この繰り返しや。裏鍬使えたら一人前や。ここに嫁に来た最初は覚えんのに三年かかったわ」

 後にも先にもこれだけで、後は見よう見まねで、失敗を繰り返しながら覚えた。

 ある年、タマネギを収穫して農小屋の中に吊るしておいたら、熱気で全部腐った時があった。

 オカンが「私も、それやって失敗したわ」。

 「それ、先に言うてーな!」

 さて、これで全体の畑の準備は完了。昼までには少々時間があるので草抜きをしていると、土の中から丸い物を発見! 錆びていてわかりづらいが50円玉! 本日の報酬ゲット!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

土竜

2022年04月04日 | 菜園日誌

 かつて、大学入試の小論文の問題に「鹿の被害に悩む人々が鹿の駆除に立ち上がった。このことについてあなたの意見を述べなさい」というのが出た。

 環境問題が叫ばれている時だったので、「日本オオカミの絶滅により鹿が増えたのだから、鹿を絶滅させても新たな動物の食害が起こる。鹿の絶滅を防ぐ一方で、食害に苦しむ人々の生活を保護して、野生動物と人間の共生を計るべきだ」程度で昔はよかった。ところが、現在、鹿による森林被害が全体の約7割を占めるようになり深刻な状況となっている。そのため、政府も捕獲にのりだした。
 難しい話をし出したのは他でもない。暖かくなってコイツが動き出したのだ。

 モグラ(土竜)である。虫やミミズを食料にするので野菜を食べることはない。しかし、タマネギ・ニンニク・芋などの根菜類の下に穴を掘られると売り物にならない。ところが、このモグラは保護動物に指定されているのだ。それどころか、日本にいるほとんどのモグラの種が絶滅危惧種に指定されている。捕獲してはならないのだ(知事の許可をもらえば可)。にもかかわらず、ホームセンターにはモグラ捕獲機が販売されている。さて、あなたならどうする?
 法第十三条第一項の環境省令で定める鳥獣又は鳥類の卵は、次に掲げる鳥獣とする。もぐら科全種、ねずみ科全種(ドブネズミ、クマネズミ及びハツカネズミを除く)

 我が答えは捕獲するしかない。我が領地に勝手に侵攻してくる土竜は征伐するしかない。
 法第十三条第一項の規定により環境大臣又は都道府県知事の許可を要しない捕獲等又は採取等は、農業又は林業の事業活動に伴いやむを得ずする捕獲等又は採取等とする

【追伸】

 夕方畑へいくと、しかけが開いていた(成功!)。上の写真にかかる確率が高いと思って載せたが、そこから右に50センチほどの所のしかけにかかっていた。明日の記事にしようかとセコイことを考えたが、読む人によっては不愉快でもあるので追伸にした。写真もこれだけにしておく。ただ、世界中を騒がせている土竜を捕まえた気分で興奮している。

 モグラは夜行性なので昼間は活動しないのだが、12時間なにも食べないと死んでしまうので、少し早くから活動し始めたのだろう。朝にしかけて、昼前に帰るときにかかっていたという時もあった。

 西日本に生息するモグラはコウベモグラという絶滅危惧種に指定されていない種だ。実は、年間5、6匹を捕獲している。だから、我が家の土竜の侵攻はまだまだこれから! 世界中が平和になるまで続く。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする