河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑――トウキ2

2023年04月12日 | 菜園日誌

今日はどうやら雨模様。ひまつぶしに当帰を植替えた。
畑に植えようかと思ったが、おそらく夏場の管理が難しそうなので大きな鉢にして、家で管理することにした。

というわけで、「ちょっといっぷく51」の奈良県の大宇陀の道の駅で買った大和当帰(やまととうき)の話題に当に帰る。
当帰はセリ科の多年草で、根は「当帰」という生薬で、主に婦人薬として使用され、血の道症などに効果がある。当帰芍薬散などの処方が有名である。
あの有名な女性薬にも当然入っている。


※小林製薬HPより借用。

当帰を漢文読みすると「当(まさ=すぐさま)に帰る」。
子宝に恵まれず里へ返された嫁が、当帰を飲んで妊娠しやすい体調に整えて夫の元へ帰る。
あるいは里で出産して体調がすぐれない嫁が、当帰で体調を回復して夫の元へ帰るなどの意味から付けられた名である。
日本では大和当帰と北海当帰が栽培されているが、実はもう一つ世に出ていない「幻の当帰むがある。
薬効に優れて婦人病以外にも効きめがあるがために、栽培していた藩が門外不出にしてしまったという代物である。


※奈良県HPより借用。

その幻の当帰を栽培して一財を成してみないかと、有名な農学博士から二年前に誘いをもらった。
話につられて、我が家の畑に博士を連れて行くと「ここではダメじゃ!」と一蹴。
自然農法を諦めてグウタラ農法にした我が畑では栽培出来ない。無農薬、無肥料、自然水でなければ薬効が落ちてしまうのだと博士は言う。
そこで、ツテを頼って、とある山奥の谷間にある休耕田をご好意で無償で借りることになった。
周りを山に囲まれた、南北100mの谷間の幅20mほどの数段の段々畑で、まさにうってつけだった。
※「ちょっといっぷく19」頃の記事を参照。

しかしである。
数年間耕してなかった田圃は草ぼうぼう。おまけに稲作田だったので水はけが悪い。
一冬かけて草を絶やそうと画策したものの手に負えない。
数年かけて除草しましょうと提言したが、博士は「ダメじゃ! 春に植えるのじゃ!」
とりあえず水はけのよさそうな一番上の田の草を抜き、五本の畝を立てて数十株を植えた。
しかし、一月後、草ぼうぼう!

残念! 無念! 断念!
どうなっているのか見に行こうと思うが、おそらく草ぼうぼう!
そんな100mの山道を登る元気もない! 一財を成すどころか一生を無くすかもしれない。
というわけで、元ののんびりとした日々へ「当に帰った」。
しかし、草ぼうぼうの中で、今も育っているだろう「幻の当帰」が忘れられず、普通の農地でも栽培できる大和当帰を買いに行ったのである。否。一財を成すが忘れられないのかもしれない。

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畑――山笑う

2023年04月11日 | 菜園日誌

金曜日に大阪にも雨が降ったのか、岡山の旅から帰って畑へ行くと湿ったまま。日・月と農作業は無し。
五日間たった今日、久々に作業再開。
 世の中は三日見ぬ間の桜かな
 ※  江戸中期の俳人。以下の俳句も蓼太

毎日見ていると気づかないが、五日たって見ると大きく変化している。
豌豆は20㎝ほど伸び、スナップ豌豆が実をならしている。
気の早い早生タマネギの中には、まだ大きくなっていないのに倒れているものもある。
 むつとしてもどれば庭に柳かな

畑の隅に、こぼれ種のネモフィラの青い花にまざって黄色い花。
写真を撮ってすぐに引き抜く。
カタバミ。花を見ているぶんには綺麗なのだが、あちこちに種をばらまく厄介者。
 菜の花に長閑(のどけ)き大和河内かな


イチゴに雨除けのビニールをかけ、里芋の土寄せ。
セルトレイの苗をポットに植替え、夏菊を露地に定植する。
気になっていたことを一つ一つやり終えて休憩。
山々の新緑が目にしみこむ。
 筆取りて向かへば山の笑ひけり

「山笑ふ」は春の季語。北宋の山水画家、郭煕(かくき)の「春山淡冶にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如く」による季語。
「淡治(たんや)」はうっすらと艶(なま)めくこと。
豪華絢爛の桜から山笑う季節へ。

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ちょっといっぷく53 妖怪退治へ

2023年04月09日 | よもやま話

「我が家の近くで奇妙な妖怪が農民に悪さをしている。満開の桜を見がてらに退治にこないか」と高校時代の友人に誘われて、備前の国へ旅に出た。

昼過ぎに大坂を立ち、高速で摂津を抜け播磨の国へ。
まずは池田家52万石の姫路城へ行き藩主輝政公にご挨拶。世界遺産とあって伴天連の旅人のなんと多いことか。

早々に姫路を出てバイパスで備前へ。和気(わけ)という地に至る。ここは奈良時代末の貴族、和気清麻呂の誕生地である。清麻呂は、神護景雲3年、僧道鏡が皇位を奪わんとする時、宇佐八幡宮に勅使として詣で、神託を受け復奏、銅鏡の野望を阻んで国家の危機を救った人物である。

その霊験にあやからんと清麻呂を祀る和気神社に参拝する。
例年になく桜の開花が早かったので、ここの神社の桜もわずかな花を残すのみ。
「一週間前は、満開で綺麗あったんやけどなあ」


神社からしばらく走って和気鵜飼谷温泉の湯につかる。アルカリ性単純温泉だが、イオウ分を含んでいるためか、ねっとりと体にまといつく泉質。美容にも良く、特に神経痛・関節痛・筋肉痛などに良いとされている。
湯からあがると黄昏前。途中にある川の堤防のあちこちには桜並木が整備されているのだが、どれもが「一週間前は」の桜であった。

夕食はステーキ屋と言ってくれたが、「肉は50gほどしか食べられない」と言うと、ならば惣菜を買って家飲みにしようということになる。
スーパーに寄って友人宅へ。戦後すぐに建てられた民家であろう、天井の太い梁(はり)には碍子(がいし)という電気の線がむき出しに取り付けられている。
蛍光灯には松下幸之助が発明したという二股ソケットが付いている。なんとも懐かしさの漂う家である。
到着するなり、まず一杯。一杯が重なりその夜は酒につかる。

次の日はあいにくの雨。
妖怪退治はあきらめて津山の街並み見物へ。
途中、悪しき獣の手配書があった。

その夜も湯郷温泉と酒につかり、「一週間前は」の桜を見ながら、来年こそはと心に秘めて備前の国を立った。

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ちょっといっぷく52

2023年04月05日 | よもやま話

いつもはパソコンで記事を書いているのだが、今はスマホ。
縁側で縫物をするお婆さんのように、一針一針、指で文字を探しながら書いている。


とある田舎のとある家に来ている。
目の前には一面の畑と山だけ。
家の後ろには数件の人家が在るが、人の声も車の音もしない。
ただ、鳥のさえずりが聞こえるだけ。


幼い時に見たような景色。

原風景。
そんなのどかで昭和な家に、今晩は泊めてもらう。

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畑――節約

2023年04月05日 | 菜園日誌

里芋を伏せてつ5㎝ほど土をかぶせた山の谷間に肥料を置いた。
いつもは化成肥料とマコ(綿実油粕)を混ぜたものを置くのだが、昨今の値上がりで肥料は倍ちかい値段になっている。
そこで激安肥糧の発酵鶏糞を使うことにした。

発酵が不十分だと、このまま土をかぶせたときにアンモニアガスが発生し、種芋に影響する可能性がある。
一週間ほどこのままにしてガスを抜いたあとに、5㎝ほど土をかぶせて一週間ほど土となじませる。
それから化成肥料とマコを置いて10㎝ほど土寄せし黒のマルチビニールをかぶせることにした。
これで、逆さ上した里芋の芽は25㎝下から地表に芽を出すことになる。

普通は種芋に5㎝ほど土をかぶせて植える。6月に追肥とともに10㎝ほど土寄せ。8月にも同様に10㎝ほど土寄せをする。
このクソ暑くてじゃまくさい作業を四月中にやってしまおうという計画である。
このご時世に、労力も肥料代も節約。
果たしてうまく事がはこぶか?
結果は半年後の10月の楽しみ!

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