古今東西のアートのお話をしよう

日本美術・西洋美術・映画・文学などについて書いています。

京都 塩田千春展 中之島美術館

2024-11-02 23:29:30 | 絵画(レビュー感想)

今回の奈良、京都、大阪の旅で、楽しみな展覧会は二つ
一つは、大阪中之島美術館の
「塩田千春展」、もう一つは、細見美術館の「春画展」です
どちらも素晴らしい内容でした

まずは、大阪から…



ダイビルの2階から中之島美術館へ、ペデストリアンデッキを歩いて到着






(ネット画像を借用)


『塩田千春(1972年生まれ)の出身地・大阪で、16年ぶりに開催する大規模な個展です。現在ベルリンを拠点として国際的に活躍する塩田は、「生と死」という人間の根源的な問題に向き合い、作品を通じて「生きることとは何か」、 「存在とは何か」を問い続けています。本展は、全世界的な感染症の蔓延を経験した私たちが、否応なしに意識した他者との「つながり」に、3つの【アイ】-「私/I」、「目/EYE」、「愛/ai」を通じてアプローチしようというものです。それぞれの要素はさまざまに作用し合いながら、わたしたちと周縁の存在をつないでいると考えます。インスタレーションを中心に絵画、ドローイングや立体作品、映像など多様な手法を用いた作品を通じて、本展が 「つながる私」との親密な対話の時間となることでしょう。』展覧会HPより




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塩田千春 インターライン 2022/2024

彼女の作品には、それを見て、そこに入って、それに包まれる、根源的身体性の感動がある





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塩田千春 巡る記憶 2022/2024

私の記憶のしずくが水盤に落ち、波紋が広がり、白い糸に伝播する


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塩田千春 多様な現実 2022/2024



塩田千春 絵画作品 「無題」「風景」1992



塩田千春 家から家 2022/2024



塩田千春 地と血 2013

私の血は、私の地


(上記3枚ネット画像から借用)

塩田千春 ウォール 2010

私の体は無数の血管で出来ている、体に血が流れ、体を巡る、私の体は私の血の壁でもある




塩田千春 他者の自分 2024

私とは何か、私の臓器は、生と死を繋いで新しい命を育んでいる



塩田千春 第二の皮膚 2023









塩田千春 The Eye of the Storm
2022/2024


(ネット画像を借用)

会場映像、多和田葉子との対談

★★★★★

ランチへつづく



京都 一人飲み

2024-11-02 23:16:30 | 日記

《夜の部》


裏寺町通りの居酒屋「たつみ」で『澤屋まつもと』を飲もうと意気込んだが、

何人か並んでいたので、あっさりあきらめました


(ネット画像借用)

ふらふら歩いていると…



「そば酒まつもと」の看板

おっ! 澤屋まつもと関係のそば屋と思い込み


「予約してないんですけど…」と入ると、お酒飲みますか?と聞かれyesと入店



(以下ネット画像借用)



ざっと、日本酒のラインナップを眺めると… 澤屋まつもと色なし!?
全くの勘違いでした…


ちなみに『澤屋まつもと』は京都伏見の松本酒造で、ほのかな香りの淡麗な酒。全国的にポピュラーな日本酒



うかつにも、日本酒燗でいけますか?ときくと「もちろん!」と
よく見ると燗酒が並んでました🥵


とりあえず、生ビールと「しめ鯖」
“きずし”と書いていない関東?…



なかなか丁寧な仕事ぶり、シメぐあいも丁度いい

しめ鯖に負けない「竹鶴」を燗で注文、確かに負けてないが、マリアージュとはいかなかった😮‍💨




蕎麦にあう冷やを店主に選んでもらう、名前は忘れたが、蕎麦に合ってました🙂
ここは「店主に任せたほうがいいよ」と隣で一人で飲んでいた男性にいわれる
なるほどその通りだ

蕎麦も美味しかったです
店主一人でやっているので、肴も酒も出されるまで多少時間がかかりますが、ペースになれると心地よい

★★★★☆

お勧めです



ポピュラーな、初見の
町家バーに入ってみた
「bar K屋本館」
市役所前


入口は、モダンですが中は町家をリノベーションしたのがよくわかります







町家の坪庭は、手入れが行き届かず、荒れていました…
京町家あるあるですね

カクテルを2杯いただきました

京都町家という雰囲気からすると、とてもリーズナブルなお値段!?😮

★★★★☆

コスパの★です



シメには、前から気になっていた
ラーメン屋へ


四条室町「中華そば萬福」





あっさりシンプルで飲んだ後のシメに最適でした🙂

おやすみなさい










奈良 依水園 京都 石崎光瑤展

2024-11-02 23:11:51 | 絵画(レビュー感想)

奈良の日本庭園?と言われてもすぐには答えられない


もっとも東大寺、興福寺、春日大社、若草山など周辺全域が公園ともいえるが…




日本庭園は主に平安時代の寝殿造庭園から発展してきており、奈良時代の庭園は「曲水の宴」の会場となる場所であった


近年、復元された特別名勝の「平城京 二坊宮跡庭園」(下写真)「平城京 東院庭園」がそれである

(ネット画像借用)


屋外のパーティ会場的な景観です


そんななかで、京都風の日本庭園は、国指定名勝「依水園(いすいえん)」ですね


江戸初期に御用商人の別邸として造られた「前庭」と明治時代に実業家が造園した「後庭」から構成されています

「前庭」明治時代の茅葺き屋根の「三秀亭」

茶室「梃秀軒」の露地を通って、「後庭」に出る

「後庭」築山の奥の建物は東大寺南大門、右に春日奥山の借景

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「氷心亭」兜造り風の茅葺屋根に水屋の屋根はキングポストトラス

「氷心亭」の内装、平天井と船底天井の組み合わせ



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水車小屋、滝


「三秀亭」でランチ

前庭を眺めながら食事ができます

麦とろ定食

意外?に美味しかった🙂


京都文化博物館の
「石崎光瑤 若冲を超えろ!絢爛の花鳥画」へ

(ネット画像借用)


石崎光瑤物語
漫画:日本画家・河野沙也子
展覧会パンフレットより


石崎光瑤 森の藤 1915年
南砺市立福光美術館蔵

石崎光瑤 白孔雀 1922年
大阪中之島美術館蔵

石崎光瑤 燦雨 1919年
南砺市立福光美術館蔵

撮影不可の「金剛峰寺奥殿〈虹雉〉襖絵」1934年

(上記2枚ネット画像借用)

ヒマラヤシャクナゲと雉
ヒマラヤ登山の写生が活きているのだろう、この襖絵が一番好きでした

京都文化博物館の休憩スペースから見る石仏


織田信長が足利義昭の居館として築いた「旧二条城」の石組として付近の寺院から調達したもの

「若冲を超えろ!」と大仰なキャッチでしたが、若冲とは比較にならないのでは😮‍💨
同時代の土田麦僊、菱田春草、速水御舟とも作家性、力量の差を感じました

夜の部に続く…





京町家で食事と喫茶

2024-10-31 22:31:14 | グルメ

萬福寺の桃戸、桃符を見た後は祇園花見小路の🍑
「ぎおん桃庭(たおてい)」
(ネット画像借用)
ここは、大正6年(1917)に建てられた元お茶屋の「吉初」です。

谷崎潤一郎の年表詳細に、大正14年(1925)2.28『吉初に電話をください』、昭和元年(1926)4.20 『京都祇園花見小路吉初にて、里見弴と遊ぶ。』とあり、関東大震災(1923)直後、関西に拠点を移した頃から「吉初」を贔屓にしていた様子がうかがえる。

谷崎潤一郎(1886〜1965) 40代

当時の谷崎は、「痴人の愛」を新聞連載、刊行し人気作家の仲間入りをしていた頃。

「ぎおん桃庭」は「吉初」を
リノベーションした中華料理店

一階のバーカウンターを過ぎ、二階に上がる

坪庭が見える


谷崎の間
谷崎が執筆に利用していた部屋

谷崎自筆の手紙

谷崎源氏の復刻本

さて、お料理は化学調味料などは一切使用しない自然由来の味付け、ニンニクも使わないそうです。どこか、萬福寺の精進料理を思わせますね。


冷菜三種

谷崎スープなるもの
美味しい!!

穏やかなエビチリ

穏やかな炒飯

ティーカップの下に携帯の光を当てると、日本髪の女性が浮かび上がる

杏仁豆腐 美味しい!

「ぎおん桃庭」お勧めです🙂

ちょっぴり文豪気分に浸りながらゆったり歩きたいところですが… 

前方から、インバウンドの押し寄せる波、また波💨…

伊藤若冲の生家があった錦市場の近く蛸薬師通
黄昏れどき、売茶翁もこの道を歩いたかもしれない
築110年の京町家をリノベーションした、工藝品/ギャラリー・ショップの「雨晴」

東京白金台の「雨晴」(2015)の二店舗目として2023.11に開店

雨晴 店内
(ネット画像借用)

二階は、ギャラリーになっています

奥庭 元の庭を再生・改修したのは、東京の「景色盆栽作家」小林健二さん

(ネット画像借用)
庭の奥の蔵を改造して、「茶房 居雨」を2024年3月にオープン


売茶翁にならい煎茶のコースをいただきました

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水盤に雫がおちる…
水滴のひびき

冷たい緑茶
和菓子を選びます
湯を沸かし、湯をさまし、お茶をいれる


最後のお菓子


夜も更けてきました…


黄檗宗大本山 萬福寺

2024-10-31 22:22:36 | 旅行
今月(2024.10)、宇治の黄檗山萬福寺の伽藍三棟(法堂・大雄宝殿・天王殿)が重要文化財から国宝へ格上げされました。
総門 重要文化財

JR奈良線の黄檗駅から徒歩5分の萬福寺。

江戸初期(1661年)に創建された伽藍は焼失等を免れ当時の姿を今に伝えている。主要建物二十三棟、回廊などが国の重要文化財に指定されている。


しかし、京都、奈良のインバウンドの喧騒はなく、広い境内にすれ違う人も稀である。


ほとんどの伽藍が国の重要文化財


隠元隆琦像 喜多元規筆 1671年

隠元隆琦(いんげんりゅうき∶1592〜1673)は、1654年に中国福建省から臨済宗黄檗派の名僧として招聘される。後水尾法皇徳川家綱の尊崇を得て、寛文元年(1661)に黄檗宗大本山萬福寺を開創。日本三禅宗(臨済宗、曹洞宗、黄檗宗)の一つとなった。

『隠元禅師と黄檗文化
隠元禅師とともに伝来した中国の先進文化は、建築、文学、 音楽、書道、絵画、彫刻、さらに印刷、医学、飲食に至る まで多岐にわたり、これらは「黄檗文化」と呼ばれています。 インゲン豆・スイカ・レンコン・ナス・タケノコ(孟宗竹)・ 落花生といった新しい食材、煎茶やダイニングテーブルを 使った食事形態、明朝体文字や400字詰め原稿用紙、木版 印刷など、江戸期の町人文化の基となり、現在の日本人が あたりまえに使用しているモノが伝えられました。』萬福寺パンフレットより

石條(せきじょう) 
中央の石は住職のみが歩ける

天王殿 国宝
✕の勾欄(こうらん)は中国様式


弥勒菩薩(布袋)坐像 中国人仏師
范道生(はんどうせい∶1637〜1670) 作 1663年

大雄宝殿 国宝
チーク材で作られた伽藍

釈迦牟尼仏 脇侍 迦葉、阿難


十八羅漢像 范道生作

羅睺羅(らごら)尊者
羅睺羅尊者とは十六羅漢の一人で、釈迦の出家以前の実子である。のちに出家し十大弟子の一人となる。両手で胸を開くと、胸の中に仏様の顔が現れる。

法堂 国宝
勾欄は卍と卍くずしの中国様式

開山堂 重要文化財
勾欄は卍と卍くずし

桃戸 不老長寿、魔除けの意匠

桃のタペストリー

桃の意匠は萬福寺のアイコン🍑
開梛(かいぱん)日常の行事や儀式の刻限を報じる


「売茶堂」の石柱

売茶翁像 伊藤若冲画 売茶翁賛(高遊外) 1757年

売茶翁(ばいさおう:1675〜1763)は肥前(佐賀)生まれ、11歳で出家し、肥前黄檗宗龍津寺に入り化霖禅師を師とする。
1686年13歳の時、師の師である萬福寺の独湛禅師より偈(げ:禅の境地を詠んだ漢詩)を賜る。若い売茶翁の才能を見抜いていた証といわれる。
龍津寺での修行、諸国行脚を行い、化霖禅師が遷化すると57歳の時に上洛し、61歳で東山に通仙亭を開き、煎茶道具を担ぎ、京の街なかで、売茶を行い客と清談(禅問答)を交わしたという。ゆえに売茶翁とよばれ、煎茶中興の祖でもある。客は、相国寺、南禅寺の住持大典禅師や文人墨客で池大雅や伊藤若冲らがいた。若冲は、「動植綵絵」を売茶翁に「丹青活手の妙、神に通ず」と激賞され、『丹青活手妙通神』の印を造り、「動植綵絵」に捺印している。

萬福寺といえば普茶料理が有名
(ネット画像借用)
中国風精進料理で、肉や魚の「もどき」料理が有名です。

超俗人たる私は、花見小路🍑でお昼をいただきます🤗
続く
黄檗宗大本山 萬福寺
お勧めします