古今東西のアートのお話をしよう

日本美術・西洋美術・映画・文学などについて書いています。

室町水墨画 雪舟・祥啓・雪村

2023-06-29 12:58:43 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等カテゴリー

清玩(せいがん)とは、『清らかな鑑賞の対象となるもの』をいう。
東洋において、水墨画はまさに清玩である。雪舟、祥啓、雪村の山水画を考察してみます。
室町の画壇は『応仁の乱』を経て大きく三つの地域に分割形成された。
京都では、同朋衆の能阿弥、芸阿弥、相阿弥、幕府御用絵師の周文から小栗宗湛、宗継、狩野正信、元信。西国では、山口大内氏の庇護のもと、周文に学び明から戻った雪舟とその一門が活躍した。東国では、芸阿弥に学んだ祥啓とその一門が鎌倉五山禅寺を中心に活躍している。
(写真はすべて、ネット画像を借用しています)
【雪舟】
雪舟(1420〜1589) 備中国うまれ
10歳頃から京都相国寺で修行し、画を周文にならう。1467年「明」に渡り、天童山景徳禅寺(禅宗五山第二位)で2年間修行、『四明天童山第一座』(首席)の称号を授かる。
雪舟は、三人の中では唯一、水墨画の本場中国で山河に触れ、中国絵画を実見した。

岡倉天心は『東洋の理想』で雪舟の絵画を高く評価し、「画壇で最高の作品」と称え、画中に見られる厳しさと、一方では、自由さ、洒脱さ、軽妙さは禅宗における重要な側面であり、「余すところなく表現するその筆墨から、彼の気迫と大自然のすべてを存分に楽しんでいることが伺える」と書いている。


雪舟 秋冬山水画 国宝 室町時代

画面を切り裂くような線が印象的な山水画。線は、断崖の輪郭を強調する表現だという。断崖から抽象的な山並が続く。荒々しい表現。
雪舟 秋冬山水画 国宝 室町時代

近景、中景、遠景とジグザクに岩山が現れ、じっと見ていると、画中に入り込んでしまいそう。東博でこの絵を見た時の没入感が忘れられない。

【祥啓】
祥啓(しょうけい)15世紀中頃、下野国に生まれる、鎌倉建長寺で修行し、1478年京都で芸阿弥に師事。
生涯を建長寺で送り、『啓書記』(寺の書記係)の身分であったため、尊敬こめて啓書記と呼ばれた。
祥啓 山水画 重要文化財 
室町時代

阿弥派の「筆様」(作画法)と夏珪様がよく表れている。
水墨画の『楷、行、草』を「夏珪、牧谿、玉澗」にたとえるが、山水画 は夏珪様の端正で精緻な筆様と上品な淡彩が存分に表されている。
雪舟の抽象的で荒々しく、自己主張の強い表現と比べると上品で控えめな表現が面白い。

祥啓 鍾秀斎図(しょうしゅうさいず) 重要文化財 室町時代

鍾秀斎図とは、『画中の景観が「造化、神秀を鍾(あつ)む」(造物主が神々しいばかりに美しい景観をあつめた)様であることをもって「鍾秀斎図」と名付けたという。』

【雪村】
雪村(1504〜1589)は、常陸国に生まれる、守護大名佐竹氏の一族の長男であるが父親の意向で武家を継がず、幼くして夢窓国師を開山とする正宗寺に入り修行する。
雪村は生涯を画僧として常陸周辺で過ごし、晩年、小田原・鎌倉に滞在し、会津、三春で生涯を終える。
岡倉天心は、『雪村は周、秀何れに属すべきやは大問題にして、雪舟と能阿弥の風あり』日本美術史 に書いている。雪舟に私淑していた雪村であるが、周文、明国に学んだ雪舟、芸阿弥に学んだ祥啓に比べると、雪村が実見できたのはその周辺の画家たちだった。そのことが、雪村の自由で型破りな画風になった。
尾形光琳は雪村を敬愛し、作品を模写したことも知られる。

雪村 夏冬山水図 重要文化財
室町時代

全体として、祥啓の『山水画』の近景、中景、遠景表現など影響を感じる。川の表現は芸阿弥の『観瀑図』に似る。夏珪様と阿弥派の筆様が精緻で端正な楷体の山水画。

雪村 夏冬山水図 重要文化財
室町時代

冬図も、祥啓の『鍾秀斎図』の気配を感じる。


【参考】
雪村 呂洞賓図 重要文化財
室町時代

中国の仙人呂洞賓(りょどうひん)、龍の頭に乗った呂洞賓が水瓶から龍を昇らせて天空の龍と対峙させている。

“禅”とともに来日した水墨画は、室町時代の雪舟、祥啓、雪村によって日本独自の発展を遂げた。
雪舟の作家の個性を全面に出した
“表現主義的”ともいえる山水画。祥啓のやわらかな和様の表現。雪村の自由で、軽妙洒脱な味わい。

世阿弥の「能」、夢窓国師の「庭園」、金閣寺、銀閣寺の「建築」、村田珠光の「茶の湯」そして雪舟の「水墨画」は、いずれも室町時代に発祥、成立した文芸であり、先だつ平安の和様と鎌倉の禅が融合した日本独自の文化で、イタリア・ルネサンスにも比すべきものです。

室町の芸術に憧れる

ランキングに挑戦中
下のボタンを2つ、ポチッ、ポチッと押して頂けると嬉しいです!

 にほんブログ村 美術ブログへ


大谷翔平7勝目 ホームラン2本!!

2023-06-28 13:36:55 | スポーツ

現在、ホームラン26本、61打点でリーグトップの二冠




本日、

ホワイトソックス戦に

2番投手兼DH、16回目の先発登板







投手7勝目と27号ホームランなるか!?






27号ホームラン🎆


大谷は投手準備のため、
代わりに通訳の
水原一平
兜をかぶる!?






ブルペンに向けて決めポーズ!!



6回1/3 102球 4被安打
10奪三振
2四死球 1失点

6回1/3
エンゼルス2対1ホワイトソックス
で勝投手の権利をもって降板
(爪が割れたらしい…)



降板した後の7回

大谷28号ホームラン🎆
3打数3安打2ホーマー


ホワイトソックス2対4エンゼルス勝利

大谷翔平7勝目、27号、28号ホームラン🎆🎆



ランキングに挑戦中
下のボタンを2つ、ポチッ、ポチッと押して頂けると嬉しいです!
 にほんブログ村 美術ブログへ




救いのみほとけ 根津美術館

2023-06-25 13:42:29 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等カテゴリー

根津美術館の“救いのみほとけ”鑑賞


すなわち地蔵は、釈迦没後、弥勒出世までの無仏の五濁悪世の救済を仏にゆだねられており、地獄をはじめ六道を巡り、閻魔以下さまざまに姿を変えて人びとを救うという。

引用 岩波仏教辞典より


平安中期、空也上人(903〜972)がとなえた阿弥陀信仰は法然により浄土教となり隆盛を迎える、奈良の旧仏教派は危機感を抱き、『地蔵菩薩』

を阿弥陀仏に対抗する、衆生救済の菩薩として拡めた。

【参考】

空也上人立像 康勝作 鎌倉時代
13世紀

口から『南無阿弥陀仏』の六文字


会場は一切撮影禁止のため、写真はネット画像を借用しました。

地蔵来迎図 鎌倉時代 14世紀

明らかに、阿弥陀如来来迎図のパターン、地蔵が来迎する!? どうやら『地獄の責苦から救済される』解釈か…




矢田地蔵縁起絵巻 室町時代 16世紀

矢田とは、大和郡山市の金剛山寺(通称、矢田寺)に由来する絵巻

生前の悪行により地獄に落ちた男女は、血の涙を流しながら、舌を抜かれたり、ドロドロの鉛を飲まされたり、釜ゆでにされている、地蔵菩薩が現れ人々を地獄から救う


地蔵十王図 室町時代 15世紀


地蔵菩薩立像 平安時代
久安3年(1147) 快助作

仏師僧快助(かいじょ)によって造立、女性を思わせる柔和な顔立ち、宝珠を持つ左手の指の繊細な優雅さは必見。彩色も残り、平安仏の優美さがよく分かる。大お勧めの仏像。


燕子花の時期が終わり、花の少ない庭園は、梅雨の湿りをしずかに潤す


茶室口の紫陽花




クチナシが一輪

馬酔木の紅の新芽


地蔵菩薩立像と矢田地蔵縁起絵巻は必見

★★★★☆

室町時代でありながら保存状態の良い地蔵菩薩像も◎

悪行を重ねた私たちを、
地蔵菩薩が救ってくれます


ランチは近くの青山の老舗蕎麦屋増田屋新店舗? に入ってみました



参鶏湯定食チョイス○

向かいの2階は
ブルーボトルコーヒー


ランキングに挑戦中
下のボタンを2つ、ポチッ、ポチッと押して頂けると嬉しいです!

 にほんブログ村 美術ブログへ



12奪三振 1失点も…

2023-06-22 13:25:12 | スポーツ
昨日、3度のサイ・ヤング賞に輝く、ドジャースのエース左腕クレイトン・カーショー投手(35)に屈辱の9勝目を与えたエンゼルス

エンゼルス0-2ドジャース

※サイ・ヤング賞とは、往年の名投手の名を冠した、その年に最も活躍した両リーグの投手1人ずつが選出される、メジャーリーグ投手部門の最高賞


大谷翔平(28)も4打数無安打で、

対カーショー通算11打数無安打


本日、ドジャース戦に

2番投手兼DH、15回目の先発登板




投手7勝目と日米通算200号ホームランなるか!?


7回 101球 5被安打
12奪三振
2四死球 1被本塁打1失点

エンゼルスは打線が沈黙
7回エンゼルス0対1ドジャース
降板

打者大谷翔平は無安打…

エンゼルスはそのまま
0対2で破れ、
大谷は負け投手となり3敗目、
6勝3敗となった…
無念 (⁠ᗒ⁠ᗩ⁠ᗕ⁠)



ランキングに挑戦中
下のボタンを2つ、ポチッ、ポチッと押して頂けると嬉しいです!
 にほんブログ村 美術ブログへ




琳派のやきもの 出光美術館

2023-06-19 16:18:30 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等カテゴリー

出光美術館の“尾形乾山生誕360年
ー琳派のやきもの”を鑑賞


ポスターは、尾形乾山 銹絵染付金銀白彩松波文蓋物 江戸時代中期


開催趣旨は、

江戸時代中期を代表する京の陶工尾形乾山 (1663-1743)。 彼の興した乾山焼は、 絵画的な意匠でうつわを飾る 「琳派のやきもの」として日本の陶磁史に 革命をもたらしました。 雅やかな公家文化や文学意匠を取り入れたやきものは、絵画や書の美と融和する新たなやきものの世界を生み出したのです。 本展では、 野々村仁清や仁阿弥道八など乾山と繋がりをもつ京焼のほか、やきものと呼応する絵画や蒔絵など琳派作品を紹介します。 工芸と絵画の境を超えて響きあう 琳派の共演をお楽しみください。』展覧会パンフレットより



展覧会構成は、
第1章 詩書画の陶芸
第2章 王朝文学の情緒
第3章 交響をなす琳派の陶画
 重要文化財「色絵芥子文茶壺」
第4章 継承される陶画の美

会場は一切撮影禁止のため写真はネット画像を借用しました





銹絵竹図角皿 尾形乾山 絵尾形光琳 江戸時代中期



銹絵富士山文茶碗 野々村仁清
江戸時代前期

※銹絵とは、鉄油という釉薬で描いた絵で、焼くと酸化鉄となり、鉄さび色をだす。



銹絵染付白彩薄蝶文平鉢 尾形乾山
江戸時代中期

草の葉の鋭い形と葉が重なる意匠性が素晴らしい



色絵梅花文四方香炉 野々村仁清
江戸時代前期

真中のうさぎ、両脇にはゾウさん、ニッポンのかわいい!

※色絵は、透明な釉薬をかけて本焼した上に、絵の具で絵を描き低温で焼いて仕上げる。



赤楽兎文香合 本阿弥光悦 
江戸時代初期

光悦の絵付はあまり見ないですね



色絵龍田川文透彫反鉢 尾形乾山
江戸時代中期




染付白彩流水文鉢 尾形乾山
江戸時代中期



色絵芥子文茶壺 野々村仁清 
江戸時代前期



こじんまりした展覧会で、
乾山の代表作といえる
作品は見られなかったが、
それなりに…

★★★☆☆





ランキングに挑戦中
下のボタンを2つ、ポチッ、ポチッと押して頂けると嬉しいです!

 にほんブログ村 美術ブログへ