『沖縄では、一人当たりの県民所得が全国で最下位。子ども(17歳以下)の相対的貧困率は28.9%〘2000年頃の全国平均は14%※〙であり、非正規労働者の割合や、ひとり親世帯(母子・父子世帯)の比率でも全国1位(2022年5月公表「沖縄子ども調査」)。さらに、若年層(19歳以下)の出産率でも全国1位となっているように、窮状は若年層に及んでいる。『遠いところ』は、そんな沖縄市のコザを舞台に、幼い息子と夫との3人暮らしをする17歳のアオイ(花瀬琴音)が、社会の過酷な現実に直面する姿を描き、全編沖縄ロケにこだわって撮影された。
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『遠いところ』で描かれているのは、沖縄における局地的な社会問題などではない。日本中のどこでも今まさに起こっている事象である。愛する人からの暴力は、地獄のような現状から必死で逃げる道を間違えてしまうのは、すべて自己責任なのだろうか。社会の理不尽と不条理を突きつけられ、悲痛な想いを抱いて絶望しながらも、もがくアオイの姿には、自らの選択肢が正しいかどうかの想像力を持てない少女たちがいることを思い知らされる。』映画『遠いところ』オフィシャルサイトより
※筆者注
映画のオフィシャルサイトでは、『沖縄の貧困問題を根底に、そこから発生するDVや買春を、避け難い不条理な社会問題として描いた』という事を強調しているが、実際に映画を観ると、沖縄の貧困問題にフォーカスしているというより、アオイが ”お金“ “社会” ”性差別“に無自覚に蹂躙 される前半から、“怒り”を自覚し反撃する “カタルシス” の映画に思えた。
主人公の17歳のアオイは幼い息子と頼りない夫と暮らし、親友の海音と朝までキャバクラで働いている。中卒のアオイはキャバクラで働くことに何の違和感も持っていない。
夫は仕事を辞め、働こうとしない、責めるアオイに激しいDVを行う。
夫はアオイの貯金を奪って家を出る。
アオイの働くキャバクラは、未成年を働かせていると手入れが入り、アオイはキャバクラで働けなくなる。
アオイは実家に帰っていた夫のもとに息子と転がり込むがまたDVを受ける。
夫が傷害事件を起こし、示談のため慰謝料が必要になり、”お金“のために買春に手を染める。
親友の海音はアオイの買春を止めさせようと説得するが、アオイは自己嫌悪から酒に溺れ、育児放棄になる。児童保護局が息子を保護する。
親友の海音が自殺した。
買春を手引している海音の彼氏に、アオイが反撃する、”力“と“自覚”を手にしたアオイは、息子を取り戻しに施設に向う…
劇中の音楽が素晴らしい!!
主題歌のラップ
唾奇「Thanks」のビートが
こころを揺さぶる
★★★★★
見終わって、時間が経つほどに、
ジンワリくる不思議な映画
ラストの海面から上る朝日は、生きる、再生に見えたがどうなんでしょう…