浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

プーチンのロシア

2013-11-04 15:42:21 | 資料

◆多極化の申し子プーチン

2012年3月14日   田中 宇氏

 3月4日のロシア大統領選挙で、ウラジミール・プーチンが4年ぶりに首相から大統領に返り咲いた。プーチンの勝利は下馬評どおりだった。プーチン以外の候補が勝つとの予測は全くなかった。世論調査でプーチンが60%を得票して勝つ事前予測が出ていたが、実際のところプーチンは64%を得票した。ほぼ予測どおりだ。プーチンは、自分が大統領になる前に、大統領の任期を4年から6年に伸ばした。連続2期までやれるので、プーチンはこれから12年間、再選をはさんで2024年までロシア大統領をやるだろう。 
('Putin set to challenge US superiority')

 ロシアでは、昨年末に行われた議会選挙も、実際の結果が事前予測とほぼ同じだった。米欧の監視団体は、昨年末の議会選挙も今回の大統領選挙も、不正が行われたと主張している。選挙結果が事前予測とほぼ同じなのは、プーチンらロシアの政府与党勢力が、不正によって選挙結果を歪曲し、事前予測に近い数字を捏造したからだというのが、米欧の反露的な勢力の言い分だ。米国務省は、反プーチンのリベラル勢力を支援している。 
(Monitors raise Russian election concerns)

 反露勢力の主張と裏腹に、プーチンに対するロシア人の支持は強い。しかも、米欧の反露勢力がプーチンを敵視するほど、プーチンは反米的な演説で対抗し、1990年代に米英傀儡の新興財閥(オリガルヒ)に経済を壊されて以来、反米感情が高まったロシア人のより多くがプーチンを支持する。プーチンは不正によってでなく、米国の反露戦略のおかげで勝った観がある。この構図は、昨年末のロシア議会選挙から変わっていない。
(US to Attempt Overthrow of Putin Government) (◆プーチンを敵視して強化してやる米国)

 米政府がプーチンを批判してロシア国内の反プーチン勢力(リベラル派)を支持し、反プーチン勢力は選挙で惨敗した後「プーチンが不正をやった」と言って騒ぎ、米欧がそれに加勢してロシアの反プーチン勢力が米欧の傀儡である構図が露呈し、ロシア人の多くが「やっぱりね」と思う展開になっている。選挙の1週間後ぐらいから、反プーチンのデモや集会への人々の集まりが悪くなった。
(Support wanes for Anti-Putin demonstrations)

 英国に亡命中の反プーチン勢力指導者ボリス・ベレゾフスキー(オリガルヒのひとり)は、選挙直前に「プーチンはカダフィのように死ぬだろう」と物騒な発言をした。同時期に、ロシアとウクライナの諜報当局が、プーチン暗殺計画を立てていた勢力を検挙した。反プーチン派は、ロシアを混乱させようとしている。だからプーチンの当選が決まった後、ロシアの株価が好感して上昇した。 
(Exile Russian oligarch Berezovsky: Putin will end up like Ghadafi)

▼ユダヤ人がプーチンを台頭させた

 加えて興味深いことに、ロシアの経済を握っているユダヤ人のほとんどがプーチンに投票するだろうと、在露ユダヤ人の宗教指導者(ラビ)が選挙直前に語っている。90年代に民営化の名のもとにロシア経済を破壊しつつ私腹を肥やしたオリガルヒの多くはユダヤ人だったが、同時にユダヤ人の多くは、ロシアが再び不安定になって経済が破壊されることを嫌い、強権でロシアを安定させるプーチンを好んでいる。ロシアのユダヤ人団体は、ずっと前からプーチンを支持している。 
(Most Jews will vote for Putin in upcoming elections, says Russia's chief rabbi) (しぶといネオコン)

 ソ連時代、多くのロシア人が欧米にあこがれていた。それなのに冷戦後のロシア人の多くが反米感情を持ったのは、エリツィン政権による国有企業の民営化を私物化して経済を破壊し、多くのロシア人の生活水準を引き下げたオリガルヒが米英に支援されていたからだ。米キッシンジャーや英ロスチャイルド家などユダヤ人がオリガルヒを支援した。彼ら米英ユダヤ人が、オリガルヒの手綱をもう少し締め、ロシアの石油ガス利権は米英が握るものの、ロシア人の生活は向上するよう調整していたら、ロシア人は親米のままで、プーチンが石油ガス利権をロシア人の手に奪還して米英に対抗できる強いロシアを取り戻す戦略を持って権力の座に就くこともなかっただろう。 
(ロシア・ユダヤ人実業家の興亡)

 米英ユダヤ人は、オリガルヒに過剰に私服を肥やさせ、その結果、冷戦後のロシアを米英覇権の傘下に入れる機会を逸し、逆にロシアを中国などと結託して米英覇権に対抗する勢力に仕立て、地政学的な逆転現象(覇権の多極化)を引き起こしてしまった。
この「やりすぎ」は、同じくユダヤ人を中心とする「ネオコン」勢力が、ブッシュ政権の中枢に入り込んで、イラク戦争や中東強制民主化など、過激な軍事戦略を展開した挙げ句、中東における米英の覇権を喪失させてしまったのと同種の動きだ。
また歴史をひもとくと、ロシアを大英帝国の味方から敵に転換させるロシア革命を引き起こした革命勢力の中にも、トロツキスト(ネオコンの祖父ら)などにユダヤ人が多く入っていた。
(覇権の起源(3)ロシアと英米)

 第一次大戦以来の百年あまり、米英中枢のユダヤ人勢力の中に、ロシアを強化して地政学的な逆転を引き起こそうとしてきた勢力がいる感じだ。そのような勢力がいるとしたら、その目的は世界規模の「資本の論理」だろう。ユーラシアを外側から支配し、ユーラシアの内側の経済発展を抑止してきた米英の覇権を、ユーラシア内側から転覆させることで、ユーラシアの内側やアフリカ、中南米など、米英覇権が支配力維持のために発展を阻害してきた世界の発展途上諸国の経済発展を誘発し、世界規模の経済成長を実現する長期戦略だと考えられる。イラク戦争やプーチン台頭などによって、この戦略は、最近の10年間で大きく実現している。 
(資本の論理と帝国の論理)

 私の「隠れ多極主義」の仮説には「陰謀論(根拠のない話)」のレッテルがべったり貼られている。だが、世界の覇権構造がこの10年で米英中心から多極型に大転換したのは事実だ。イラク戦争がネオコンのやりすぎ、プーチン台頭がオリガルヒのやりすぎの結果として引き起こされたのも事実だ。この動きが始まった04年に当時のパウエル米国務長官が「ブッシュ政権はロシア、インド、中国を支援する」と表明したのも事実だ。 
(消えた単独覇権主義)

 覇権をめぐる戦略は、こっそりと長期間かけて進められるので、仮説を出しても、米高官の発言などの中に根拠を見いだすのが難しい。明確な根拠がないとして「米国中枢に、こっそり自国の覇権を崩し、世界の覇権構造を多極型に転換しようとしている勢力がいる」という私の分析を空想と断定するのは間違いだ。今後、プーチンが大統領をしている今後の12年間に、ロシアによる地政学的な覆しがさらに進むだろうし、イラクとアフガンから米軍が撤退した後のイスラム世界でも、多極化を進める動きが加速するだろう。その間にドルや米国債が崩壊して通貨も多極化する可能性が大きい。

▼世界を網羅する多国間同盟体

 プーチンは選挙前の昨年10月、当選を見据え、中央アジア諸国やベラルーシなど旧ソ連諸国(CIS)とともに、関税同盟を皮切りとした自由貿易圏として「ユーラシア同盟」を2015年までに結成する戦略を発表した。プーチンは何年も前から「ユーラシア主義」を標榜していた。すでにロシア、カザフスタン、ベラルーシが調印した関税同盟を基盤とする。CISはすでに軍事同盟としてCSTOを結成している。ユーラシア同盟はその経済版だ。
(Russia's Putin Says Eurasian Union May Be Created In 2015) (プーチンの逆襲)

 米国勢はこれを「ソ連の復活だ」と否定的にとらえている。プーチン自身は「ソ連の復活でない。EUと同質の経済統合だ」と言っている。これらは両方正しい。ユーラシア同盟は、関税同盟や市場統合、通貨統合などEUと同じ方向の経済統合だが、その一方でロシアが他の諸国を影響下に入れるソ連の復活に近いとも言える。EUも、加盟各国が対等なように見えて、実はドイツ(もしくは独仏)の影響下に各国が入ることだ。地域覇権体制作りをEUは比較的隠然と巧妙にやり、ロシアは比較的露骨にやっているだけの違いだ。ウクライナは、ユーラシア同盟でなくEUに入りたいと考えている。 
(One Eurasian Union, please. And hold the imperialism!)

 プーチンは、ユーラシア同盟を「世界の極の一つにする」と宣言している。これは、世界の覇権体制を多極化するための戦略だ。プーチンが隠れ多極主義的な資本の論理に後押しされている「多極化の申し子」であるとしたら、後押しはとてもうまく機能している。 
(Putin's Return to Kremlin Could Boost Eurasian Union Project) (プーチンの光と影)

「極」としての多国間同盟体は、この10年ほどの間に世界を網羅していくつも作られ、相互に関係を強化している。ロシアの傘下にはCSTOと、ユーラシア同盟の計画がある。中国の傘下にはASEAN+3(日中韓)と、今後北朝鮮核問題の6カ国協議が成功した時に結成予定の東アジア多国間安保体制(中露日韓朝米)の計画がある。また、中露協調の組織として上海協力機構(中露+中央アジア+印パアフガンイラン)がある。

 中南米はブラジルなど、アフリカは南アフリカなどを中心に、いずれ統合されていく。これらを統括するものとしてBRIC(中露印ブラジル南ア)が作られている。欧州ではEUが統合を進め、世界の極の一つとして機能しようとしている。米国はいずれメキシコ、カナダを傘下に入れてNAFTAの発展型(アメロなど)になるだろう。その準備として、米国とカナダは国境警備の共同化について交渉しており、カナダの国家主権が米国に吸い上げられそうだと懸念されている。 
(Redefining the U.S.-Canada Border: The End of Canada as a Sovereign Nation?)

 これら全体を見渡すと、世界の構造が地域ごとの多極型になりつつあることがわかる。全体(世界)をまとめるものとして、リーマンショック直後に世界経済の運営権をG7から奪ったG20、BRICの発言力が強くなりつつある国連、IMF、WTOなどが存在している。プーチンのロシアはCSTO、ユーラシア同盟、上海協力機構、BRIC、G20などに関与し、多極化の強力な推進者だ。ロシアは今年WTOに加盟するので、WTOでも中露やBRICが米欧日から決定権を奪っていくことになる。 
(Tensions With Russia Loom Over Trade Debate)

http://tanakanews.com/120314putin.php

◆日本をユーラシアに手招きするプーチン

2012年3月16日   田中 宇氏

 前回の記事で、ロシアの大統領に復権したウラジミール・プーチンが、ソ連の復活を思わせるユーラシア同盟を設立したり、中露安保体制の上海協力機構が強くなったりして、米欧がロシアを包囲してきたユーラシアの地政学的状況が覆されていることを書いた。前回書き切れなかったのは、これから2期12年も大統領を続けるであろうプーチンが放つ強気の戦略が、日本や東アジアの国際政治に及ぼす影響についてだ。 
(Putin's foreign policies likely to tilt toward Asia)

 プーチンは大統領選挙の直前、日本に対し、日露間の経済関係をしだいに強化し、日露関係を好転し、相対的に領土問題が重要でない状況を作り、北方領土問題を解決していきたい、と呼びかけた。数日後、野田首相は当選直後のプーチンと電話で5分間だが話し、北方領土問題を解決していくことを相互に確認した。 
(Economic Cooperation Will Solve Japan Spat - Putin)

 プーチンは、日本との経済関係の強化について、具体的な構想を持っている。それは、ロシア極東のインフラ整備や、シベリアやサハリンの資源開発に対して日本に投資してもらい、日本がシベリアの石油ガスなどを得たり、極東への投資で利得を得られるようにしてやることだ。その一方でプーチンは、日本の4島返還要求について、1956年の日ソ共同宣言を逸脱していると批判しており、北方領土問題で2島返還以上の譲歩をするつもりがなさそうだ。要するにプーチンは、日本がシベリアや極東の開発に参加したら満足させてやるから、その代わり北方領土はロシアが望む2島返還で満足しろ、と日本に提案している。 
(Japan hopes Putin win will help resolve dispute)

▼中国に極東を席巻されるのを恐れるロシア

 プーチンがシベリア・極東開発に日本を誘う背景には、中国の存在がある。ロシアはソ連時代、巨額の国家財政を投入してシベリア・極東開発を進めていた。ロシアの人々は、政府投資でうるおうシベリアや極東に収入源を求め、冬の極寒など悪条件をいとわず移住していた。だが、ロシアの国家財政はソ連崩壊とともに破綻し、新生ロシアはシベリア・極東開発に別の財源を求めざるを得なくなった。冷戦直後の90年代、エリツィン政権は日本からの投資に期待し、日露関係を改善しようとした。

 だが日本の権力層(官僚機構)は、冷戦後の米国が、日本を傘下に入れるのをやめて、日米同盟を希薄化させて日本から離れていくことを、何よりも警戒していた。日本がロシアと関経協化すると、米国の離反を加速しかねなかった。日本政府は「北方領土が4島返還しない限り、ロシアと親しくできない」と、ロシアが譲歩できる一線を超えた要求に固執し続け、日露関係の改善を抑止して、対米従属の国是を守った。 
(多極化と日本(2)北方領土と対米従属)

 ロシアのシベリアや極東地域は、十分な投資が得られないまま、経済状況の悪化と人々の流出が続いた。だが、01年の911事件後、米国が単独覇権主義を振りかざしたことに脅威を感じた中国とロシアが政治的に接近すると同時に、中国が高度経済成長で大きく発展し始めた。00年から大統領になったプーチンは、シベリアや極東の開発に中国の資本を受け入れることを決めた。シベリアの石油ガスを中国に運ぶパイプラインが建設され、極東の諸都市には商的野心あふれる中国人が多数押し寄せた。 
(中国の内外(3)中国に学ぶロシア)

 ここで問題になったのが、シベリアや極東の経済利権を全部中国人に奪われる懸念だった。極東各地で、ソ連時代にロシア人が持っていた経済利権が中国人に奪われ、極東のロシア市民の中国人に対する感情が悪化した。ロシア政府は、シベリア・極東に押し寄せる中国人の経済力を希薄化する必要に迫られた。ユダヤ系以外の一般のロシア人は、中国人よりはるかに商才がない。ロシア人を頑張らせて中国人との競争に勝たせるのは困難だ。

 ロシア政府が考えたのは、日本や韓国、シンガポールなど、中国以外のアジア諸国の企業をシベリア極東開発に招致し、中国人と他の外国人を競わせてバランスをとることだった。ロシア政府は最近、極東地域の農地を外国企業に貸し出し、そこで大規模農業をやって食料輸出することを計画したが、その事業への投資を誘われたのは日本や韓国、シンガポールなどの企業で、中国勢は招待されなかった。 
(China locked out of Russia's far east)

 ロシア政府は、一方で中国と政治経済の関係を強化していこうとしている。プーチンは首相時代の昨秋に北京を訪れた際、中国政府に対し、中露共同で大型旅客機(ワイドボディ)を開発しようと提案している(中露はこれまで中型旅客機だけ共同開発してきた)。中国から新幹線技術を導入すれぱ、シベリア鉄道を高速化できる。しかしその一方でロシア政府は、国内の経済利権が、商才の薄いロシア人から、商才の濃厚な中国人に奪われることを懸念している。 
(Putin Presses for Sino-Russian Widebody Alliance) (China to further improve ties with Russia)

▼日本はプーチンの招きを拒否しているが・・・

 歴史的に見ると、日本にとってシベリアや極東への進出は、地政学的に重要な、ユーラシア内陸部への国際影響力の拡大である。日本が戦前の国家戦略を一部でも残していたら、冷戦後、喜んでシベリアに出ただろう。だが実際のところ、戦後の日本の国家戦略は戦前と正反対で、地政学的なことをすべて拒絶し、独自の外交戦略を持つことすら放棄して対米従属を続けている。

 09年秋からの鳩山政権で、一時は対米従属の離脱とアジア重視、官僚機構からの権力剥奪の戦略が掲げられた。あの方針が拡大していたら、北方領土と交換にシベリア極東開発に日本勢が参画する展開があり得た。だが、その後の暗闘で政界は官界に負けている。311の大震災以来「防災」の行政を握る官僚機構が焼け太りしている。間もなく首都圏で大震災が起きるかのような予測が発表され、官僚の自作自演の権限強化に拍車がかかっている。今の日本は、官僚機構の保身がすべてであり、ロシアを含むあらゆる外国との間で、日本の国是を変えかねない新規の国際的な戦略関係を締結したいと考える状態にない。 
(民主化するタイ、しない日本)

 米国がロシアとの関係を好転するなら、日本も追随してロシアと協調し始めるかもしれない。だが今の米政界は、ロシア敵視を弱める兆候がない。ロシアがWTOに加盟するので、米国がロシアに貿易上の最恵国待遇を恒久付与することを阻止してきたジャクソン・バニク条項を廃止する必要がある。だが米議会は、同条項を廃止する代わりに、腐敗したロシア高官の米国入国を拒否する新たな条項を作ろうとしている。検討中の新条項には、プーチンへの敵意が込められている。米政府は、東欧やトルコなどのロシア近傍に「防衛用」と称して地対空ミサイルを配備する計画も続けている。米露関係は当分好転しない。 
(Russia Elevates Warning About U.S. Missile-Defense Plan in Europe)

 台頭する中国に脅威を感じ、日本が経済主導でアジアに国際進出を強め、中国に対抗してバランスをとってくれることを望んでいるのは、ロシアだけでない。東南アジア諸国やインド、台湾などの国々も、日本がアジアで国際政治力を拡大し、中国の一人勝ちを抑止することを望んでいる。だがすでに述べたように、今の日本は、そうした期待に応える状況にない。

 とはいえプーチンは、これから12年間も大統領を続けそうだ。世界の多極化は進む一方の流れだ。日米同盟の最重要の象徴である沖縄の米海兵隊は、早ければ今年中にグアム島や米本土に撤退していく。思いやり予算やグアム移転費の名目で毎年、日本政府が米軍に巨額の資金を出す贈賄によって米軍を日本に引き留めておく官僚機構の対米従属策は、破綻に向かっている。 
(The White House, the Marines, and Okinawa)

 日本政府は、官僚主導が続こうが、もしくは政界による「真の民主化」が達成されようが、日米同盟の崩壊(空洞化)で対米従属が続かなくなったら、米国をあてにせず独自に中国の台頭と対峙せねばならなくなる。その時、プーチンが発する「中国を台頭させすぎないよう、日露で組もうよ」という提案が、対米従属の眠りからさめた日本人の目に、突如として現実味を持った話に見えてくる。その事態がいつ来るのか、日本の政局からはまだ見えてこない。だがプーチンには、あと12年も時間がある。

 日本がプーチンの招きに乗ってシベリア極東開発に参画しても、大損で終わるかもしれない。だが、対米従属と自閉的な国際姿勢をとっている現在より、対米従属のくびきから解かれて自力で世界と向き合わねばならなくなった時の方が、日本全体としての活性がはるかに大きくなる。対米従属が危機的状態なので、官僚機構はマスコミなどを使い、日本人を不明で自閉的な方向に誘導し、世界と自分自身のことを見えなくしている。今の日本人に元気がない最大の理由は、対米従属と官僚支配に拘束されていることに起因する。国民の元気を奪っておいて、国民を元気にするために役所やマスコミががんばります、という自作自演の構図だ。現状を見ると、政界や国民が自らこの構図を乗り越えるのは困難と感じられる。その代わり、米国の方が日本を出て行き、プーチンなどアジアの方から日本を招くのに誘われて再出発する受身の展開はありうる。

http://tanakanews.com/120316putin.htm

◆ロシアの平均寿命

通説ではロシアの平均寿命は59歳とか50歳とか言われているが、それは正しくない。確かに他国先進国と比べると依然として低いのだが、通説とはやはり噂でしかない。

 欧米先進国の平均寿命(出生時の平均余命)は80歳前後であるのに対して、ロシアの平均寿命は65歳と10数歳も少なくなっている。

 こうした状況に至った推移を示す男女別のロシアの平均寿命を先進国平均(OECD高所得24カ国平均)とともにグラフにした。

 2011年の平均寿命は、男は63歳、女は75歳である。男の平均寿命が60歳代前半、すなわち定年年齢以下である点はやはり目を引く。ロシアでは年金問題は生じないとも言われる位である。このように男性の平均寿命が短い点とともに男女差が世界一大きい点もロシアの特徴である。

 1950~60年代には、OECD諸国(高所得国のみ)と同様に平均寿命は改善に向かっていた。当時から男女差は平均以上に開いており、女性の平均寿命はOECD平均並みであったが、男性は数歳OECD平均より低かった。

 その後、ソ連邦下の計画経済期、1991年ソ連邦崩壊後の市場経済期を通じて、起伏はあるが、全体に、男女とも低下傾向をたどるとともに、男性の平均寿命が特に低下した。女性はピーク時より3歳程度、男性はピーク時から7歳程度平均寿命が低下した。OECD諸国が全体として順調に平均寿命を伸ばしているのと比較して、著しく対照的な推移となっていた。

 こうした推移は、死亡率の上昇(特に男性)によるものであり、「1992年から2001年の間までの死者数は、例年より250万人から300万人多かったと推定される。戦争や飢餓、あるいは伝染病がないのに、これほどの規模の人命が失われたことは近年の歴史ではなかったことである」
(国連開発計画「人間開発報告書2005」)

 時期別に見ると、経済計画期においても、1970年代に入って、平均寿命が低下する傾向となった。社会主義圏をリードする国威の発揚のため民生が犠牲にされる結果になっていたといえよう。これでは国がもたないということで対策が打たれたのであろうか、1980年代に入って、平均寿命が回復しはじめた。しかし、1985年に就任したゴルバチョフが企業の独立採算制と自主管理制を導入する経済改革などペレストロイカ政策を本格実施しはじめた87年から、再度、平均寿命は低下しはじめ、1991年のソ連邦崩壊後、1994年にかけては、急激な平均寿命の低下をみており、この時期の社会混乱の大きさをうかがわせている。

 ロシアは、社会システムの崩壊がもたらす大変な状況に襲われたと想像されるが、以下に、ロシアの平均寿命の短さについての要因分析を要領よくまとめている国連開発計画UNDPの報告書から引用することとする。

「死因を調べるといくつかの事実が明らかになる。ロシアでは、食事と生活様式の影響で、心血管疾患の発生率が高い。ロシアではこの「先進国病」のほかに感染症が増加しており、結核やHIV/エイズの脅威が増大している。殺人や自殺も、アルコールの過剰摂取と密接に関連している。

 労働市場の改革、1990年代の深刻かつ長期にわたった景気後退、そして社会保障の崩壊が人々の心理的ストレスを増やす結果となったと考えられる。これは、アルコール消費量とアルコールが原因の病気に表れている。同時に、法、秩序および治安を扱う国の制度が崩壊したことに伴い、暴力的な犯罪が増加している。インフォーマルな経済活動や、暴力にものを言わせた取り立ても、平均寿命低下の原因となっている。1990年代前半だけで男性の殺人被害者は2倍に増えた。

 暴力犯罪や心理ストレスだけでなく、予防可能な感染症(とくに結核、急性腸炎、ジフテリア)の蔓延は、保健医療制度に欠陥があることを示している。公共医療支出は、1997年から98年にかけての1年ではGDPの3.5%を占めていたが、1990年から2001年の間には平均2.9%にまで減少した。裕福な世帯の多くは新たな民間の医療サービスに頼るようになっており、多くの貧困世帯にとっては、あらゆるところで賄賂その他の正規外の支払いを求められるために、「無料」の公的医療サービスは手の届かないものになってしまった。

 ロシアは死亡率の動向は、21世紀初頭における人間開発の最も深刻な課題の1つを示している。」
(国連開発計画「人間開発報告書2005」)

ロシアにおける自殺率の高さもさることながら、他殺率も非常に高いのもロシアの特徴である。

プーチンが大統領に再選され、任期6年を2期務めたとして、1952年10月7日生まれの彼は70歳過ぎまで任期が有ることになる。ロシアの男性平均寿命63歳 からみると、かなりの高齢まで政権を維持するということだ。

日本がロシアと領土問題に何らかの解決をみるのは、恐らくプーチンが最後の交渉相手になるだろう。彼以外に領土問題を語れる大統領は出てこないと思われる。後継のドミトリー・メドヴェージェフでは最早交渉の糸口さえ見えてこないだろう。それだけに安倍晋三内閣は日本にとっての重要なキーマンとなる。

◆シベリアに「第3の首都」を

2012年6月21日 ロシアNOW

 ロシアは、経済発展の原動力を欧州からアジアに移し、本格的なシベリア・極東開発に向けて動き出す。この地域の発展を促すためには、アジア諸国からの投資を呼び込む必要がある。この目的実現のためには、この地域に第3の首都を置くべきとの議論が高まりつつある。

速度を上げつつ経済発展を牽引するアジアの機関車にロシアを連結させねばならないという考えが熟したのは、もうかなり前のことだ。それと並行して、新たなシベリア開発の必要性も。米国と西欧先進諸国は、すでに順調にこの機関車に連結した。
この地域に隣接するロシアだけが、シベリアの人口減少に頭を悩まし、中国の人的拡張におびえて、足踏み状態を続けている。

この原因は少なくない。まず第一に、シベリアと極東は 20 世紀に、社会主義的な、なかばラーゲリ手法で開発されていった。第二の原因は、ロシア・エリート層が長年にわたり、時代遅れの西欧中心主義から抜け出せなかったこと、そしてアジアの経済的、文明的向上を過小評価したことである。

新しいアジアに向けて舵を切る必要性は、プーチン、メドベージェフ両氏により2~3年前から語られ始めた。今も投資協力はほとんどないが、商業協力は活発になった。
そして、この半年のうちに、国営東シベリア極東開発公社設立構想が出現した。だがエコノミストらは、そんな公社は設立すべきでないと言い始め、特別省や副首相などの代案構想が現れた。ここでは、政治が立脚せねばならない諸原則を提示するだけにしておこう。

政治は、過去になされた復興から出発するのではなく、現在と未来によって提示される現実的な可能性から出発しなければならない。したがって、アジアとの貿易バランスの質の低下を嘆いたり、新しい工業化を繰り返し言ったりする必要はない。

ロシアのウラル以東は、数億人という廉価な働き手を提供する地域、そしてロシアよりも発展した国々から次々に部門を引き出せる地域に隣接している。
外の世界にとってザウラーリエ(ウラル以東地方)の、最大限に可能性のある経済的発見をもたらす条件を創出することだ。

すなわち、この地域を発展させるため、中国だけでなく、米国、日本、韓国、東南アジア、ヨーロッパ諸国も含めた外国からの投資を最大限に呼び込むこと。これらの投資のため、最大限の好条件を創出することである。
この地域の専門家や若者だけでなく、長く新世代を西側に押し出していく中部ロシアの若者のためにも、地域での生活と仕事の特恵条件を創出すべきだ。

シベリアを原料産出の半植民地と見る態度が強い。そうした態度を克服するために首都機能のいくつかを極東の都市に移すことを宣言しなければならない。

現代にふさわしくグローバルであり、アジア的に成功した国であるためには、ロシアには3つの首都が必要だ。政治と軍事・外交の首都はモスクワに、文化と法の首都はサンクトペテルブルグに、そして経済の首都は、仮にノーブイ(新)・ウラジオストクとでも名づける都市に置く。今秋ウラジオストクで開催されるAPEC首脳会議で、それを行う意向が表明されれば、ロシアへの国際投資を急激に上昇させるだろう。
 


 リクルーティング・サイトSuperjob.ruのリサーチ・センターが実施した調査によれば、全国での賛否はおおむね半々に分かれた。モスクワでは「移転反対」が過半数(55%)で、賛成派は36%だった。反対理由としては「金融経済と行政の機能分離は当たり前」「トルコ然り、スイス然り」、「モスクワは人が多すぎる」などがあげられた。

出典: Superjob.ru

「ロシースカヤ・ガゼタ」紙抄訳

http://roshianow.jp/articles/2012/06/21/14486.html 
 

◆プーチンは日本をどうするつもりなのか?

▼メドベージェフの日本観

ロシアには大きく二種類の政治家がいる。

・ロシアの国益を最重要視する人(仮に国益重視派)
・米英との友好を最重要視する人(仮に米英友好派)

で、メドベージェフは、米英友好派なのだ。
彼のような政治家は、日本にもたくさんいる。
つまり、無意識の目標が、「米英に認められること」になっている。

メドベージェフは、毎日のように
「ツィッターにこう書いた」「ブログにこう書いた」と公言している。
あるいは、モスクワ郊外に「ロシア版シリコンバレーをつくる!」と宣言している。
とにかくアメリカナイズされていて、庶民と感覚がずれている。

ロシアのお年寄りたちは、
「ツィッター」とか「ブログ」とかいわれてもなんのことかさっぱりわかりはしない。
それで、ニュースを見ながら、「メドベージェフのいってることは半分くらいしか理解できない。外国語をきいているようだ」と嘆いている。

メドベージェフは1965年生まれ。
20歳になったとき、ペレストロイカがはじまった。
国が少しづつ開かれ、米英のものが「良きもの」としてドンドン入ってきた。

26歳のとき、祖国ソ連は崩壊。
彼の目には、勝利した米英が、「すばらしいもの」として刷り込まれたのであろう。
(あたかも敗戦後の日本人がアメリカにあこがれたように・・・)

「米英に近づきたい」「米英に認められたい」
彼の言動をみていると、常にこんな欲求があるような気がする。

では、メドベージェフにとって日本はどうなのだろうか?

これは、「アメリカ信者」の日本人政治家がしばしばそうであるように、「どっちでもいい存在」なのだろう。

メドベージェフにとって、日本はあこがれの米英ではないのである。
正直いって、日本のことなんて大統領になるまで考えたことなかった。
それで、彼が大統領になってから、ロシアの対日外交は、「冷たく」「ぞんざい」になってしまった。

ここで、ロシアのことを知る人は、こんな疑問をもつかもしれない。
「メドベージェフ大統領は、プーチンの傀儡。
メドが日本に冷たいのはプーチンの意志なのではないか?」と。

確かに、メドはプーチンの傀儡ではあるが、ある程度の自由は与えられていたようだ。
時にはメドがやりすぎて、対立が表面化したこともあった。
(たとえばリビア問題など)

▼プーチンの米英観

メドとは違って、プーチンは国益重視派である。

ロシアの国益と米英の国益が対立するケースがある。
その際、メドベージェフは、ロシアの利益を犠牲にして米英に都合のいい決定を下すことがあった。
(例、2011年3月、ロシアは国連安保理のリビア制裁決議を「棄権」した。それで、「リビア攻撃」の道が開かれた。)

しかし、プーチンは、米英と対立しても、常に「ロシアの国益」を重視する。
だから、欧米から敵視されている。

プーチンは、1952年生まれ。

ペレストロイカがはじまった1985年、彼は東ドイツにKGBのスパイとして派遣されている。
この時、33歳。
プーチンは、東ドイツで1990年まで働いた。

当時は、東西ドイツが分裂していた時代。
ドイツは、アメリカCIAとソ連KGBが戦う最前線であった。
プーチンは、ここでアメリカのずるさ、狡猾さを知ったのであろう。
(まあ、どっちもどっちではあるが・・・)

また、ソ連崩壊に全然関与できなかった、メドベージェフとは立場が違う。

プーチンは、ドイツで祖国を守るために戦った。
しかし、守りきれずにソ連は崩壊してしまった。
彼が米英へのリベンジを誓ったとしても、ロシア復活を決意したとしても不思議ではない。

プーチンは、メドと違い、米英に対する幻想がない。
基本的に米英は、「祖国ソ連を崩壊させた敵」。
米英のずるがしこさをイヤというほど知っているので、ブッシュやオバマがスマイルしても、一言も信じていない。

▼プーチンの日本観

さて、プーチンにとって日本はどうなのであろうか?

プーチンは、11歳のころから柔道をしていることで知られている。
山下泰裕を尊敬し、「柔道はスポーツではない。哲学だ」といっている。現実に彼とは飲み友達であり親友である。

日本食も大好き。
KGB時代に東京に居たことがあり日本語を話す。
明らかに、アメリカナイズされたメドベージェフとは違い、日本に親近感をもっている。

しかし、外交をするときは、私的な「感情」ではなく、「利」が重視される。

いったい、プーチンにとって日本はどんな国なのだろうか?

冷戦終了後、世界は「アメリカ一極体制」であった。
プーチンは、これをぶち壊し、「多極体制」に移行させようとした。
そして、願いは08年からの危機で現実化している。

ところが、危機が起こってみると、原油価格が140ドル代から30ドル代まで大暴落。
ロシアも大きな打撃を受けた。

そして、今度は中国が強大化してきた。
それで、プーチンは、アメリカ好きのメドベージェフを前面にたてて、米英との関係改善に乗り出す。
「米ロ関係『再起動』」なる言葉も生まれた。

しかし、4年やってみて、どうもアメリカは「ロシアを対等のパートナーと認めない」ことがわかった。
(たとえば、アメリカはロシアが切望している、『東欧MD計画撤回』を認めない。)

それで、ロシアは徐々に本来の「プーチン外交」に戻りつつある。
(たとえば、ロシアは「リビア制裁」を黙認したが、「シリア制裁」は拒否権を使い阻止した。)

「本来のプーチン外交」とは要するに、「アメリカ一極体制を崩壊させる」外交である。

さて、日本。
日本はいうまでもなく、「アメリカ一極体制」を支えている国だ。
アメリカ国債を買うことであの国を支えている。

かつてZ氏は私にいった。
「日本はアメリカを支える杖。アメリカから日本をとれば崩壊する」
ということは、どういうことだ?
そう、ロシアの目標は、「日米分断」ということになるであろう。
別の言葉で「日本を多極陣営にひきずりこむ」。
そして、今はアメリカにむかっている日本の資金、ハイテクをロシアに流したい。

とはいえ、それがうまくいっているわけではない。
やはり、日本への影響力は、一位アメリカ、二位中国。
ロシアは大きく遅れをとっている。

プーチンが再び大統領になっても、この状況が大きく変わってはいない。

▼北方領土は?

プーチンが大統領に戻って、北方領土問題は解決にむかうのであろうか?

ここでは、ロシアの意図だけ書いておく。

ロシアは、「1956年の日ソ共同宣言に従い、2島までは返してもいい」という立場。

日ソ共同宣言の最重要内容は、

<平和条約締結後、ソ連は日本へ歯舞群島と色丹島を引き渡す>

である。

しかし、日本は当然「4島一括返還」を要求しているから、両国の話がかみあわず、領土問題はいっこうに解決しない。
こういう状況は、プーチンが戻ってきても変わらない。

▼日本は確固たる外交方針をもつべき

というわけで、プーチンは、

「アメリカ一極体制をぶちこわすために」
「日本の資金、技術をゲットするために」
「日本からの投資をよびこむために」

日本へのアプローチをつづけることだろう。

では日本はどうすればいいのだろうか?

今まで日本は流されてばかりでしたが、確固たる外交方針をもつべきである。

なんのことであろうか?

外交の目的は主に二つある。

一つは、経済的利益を得ること。
もう一つは、安全保障、すなわち国を守ること。

まあ、経済の話は、ここではおいておこう。

第2次世界大戦で、日本は、アメリカ、イギリス、ソ連、中国を敵にまわして滅んだ。
勝てるはずがないのだ。
決して同じ過ちを繰り返すべきではない。
そして、どの国が味方でどの国が敵なのかをみわける知恵が必要である。

日本の周辺には、アメリカ、中国、ロシア、韓国、北朝鮮がある。

このうち、アメリカは同盟国。
日本には、アメリカ嫌いが昂じて「アメリカが最大の敵だ」などという人もいる。

しかし、同盟国が敵なはずはありえない。
アメリカの軍事費は約60兆円。
これは、全世界の総軍事費の約半分である。
こんな強力な同盟国を、わざわざ敵にしてしまう愚をおかしては決していけない。
敵にまわせば勝ち目はない。

(ちなみに日本は覇権国イギリスと日英同盟を結んでいた。
しかし、1923年に破棄。
この後、日本は徐々に孤立し、追い詰められていった。)

残りは、中国、ロシア、韓国、北朝鮮。

このうち、日本はなんと3国と「領土問題」を抱えている。

すなわち、

中国と尖閣諸島問題
ロシアと北方領土問題
韓国と竹島問題

それで、この3国とも「同じレベルの脅威」と思える。

しかし、脅威のレベルはかなり違う。
ロシアは、北方領土を実効支配している。
現状に満足しているため、戦争が起こるとすれば、日本から仕掛ける場合に限られるだろう。

日本が「北方領土奪回のために、ロシアに攻め込む?」
ちょっと考えられない。

韓国は、竹島を実効支配している。
現状に満足しているため、戦争が起こるとすれば、日本からしかける場合に限られる。でも馬鹿な国だから、身の程知らずに喧嘩を売って来ないとも限らない。
でもこれもちょっとありえない気がする。なぜなら根がヘタレだから。

中国は、尖閣諸島を実効支配していない。
だから現状に不満で、むこうからしかけてくる可能性がある。
実際、中国は領土をめぐってフィリピンやベトナムなどと紛争を繰り返している。軍部の独走は十分あり得る。

さらに、最近中国は
「沖縄は中国固有の領土だ」などと主張しはじめている。
尖閣の漁船衝突事件とその後の大うそつきぶりは記憶に新しい。
自分が悪いのに「レアアース禁輸」に踏み切る非常識さ。

もうおわかりだろう。
日本最大の仮想敵は中国。

よって、日本の外交方針は、
「中国を封じ込めるために他国との関係を深めていく」。

具体的優先順位は、

1、アメリカ
2、インド(アメリカが衰退するに伴い、重要度がましていく)
3、欧州

で、その次あたりにロシアとなる。

ロシアとはなんで?

かつて中ロ同盟を「悪の薩長同盟」とよぶ。
薩摩一国で幕府は倒せなかった。
長州一国でも幕府は倒せない。
要するに中ロは二国一体化しているときに非常に強く、求心力もある。

そこに、中央アジアの独裁国家、イラン、パキスタン、モンゴルなどがひっついてくる。

しかし、中ロが分裂し、中国だけ残ればどうだろうか?
中国は、ただの独裁国家となり、孤立する。
国際社会において、日本は善であり、中国は悪である。
世界中の人がこのことを知っているとき、日本は安泰なのである。
(例、日本は念願の満州国を建国したが、国際連盟がこれに反対したため脱退。孤立し、世界の大国を敵にまわし、必然的に敗れた。)

                  目覚めよニッポン!