◆アベノミクスの"倍返し"副作用「秋から加速! 地獄の値上げラッシュ」戦慄予測
実質所得30万円減の試算も飛び出した!
「最近、世間では値上げの話ばかり。ムシャクシャするから久しぶりに髪を切ろうと理髪店に行ったら、店のオヤジが"ウチもそろそろ値上げかな"なんて言いだして……」(Aさん= 54=会社員)
アベノミクスによる景気対策で株価が上昇した一方で、かねてから指摘されてきたように物価がどんどん上昇している。経済評論家の杉村富生氏は言う。
「物価上昇率2%がアベノミクスの目標。政府が国策でモノの値段を2%値上がりさせると言っているんですから、これからまだまだ値上がりは続きます」
安倍晋三首相はこの秋、消費増税(実施は来年4月の予定)に踏み切る構えだが、それと同時に、こうした値上げの動きがさらに加速しそうなのだ。
物価が上がっても給料が同時に上昇するなら問題はない。
だが、「自動車・電機などの輸出産業の大企業を除き、いまのところ一般のサラリーマンの給料が上がる気配はない。今後も当分、企業側は儲かった分を内部留保に回すので、なかなか給料には反映されないでしょう」(シンクタンク研究員)
つまり、アベノミクスの成果が還元されるのは、経営者や大企業の社員ばかりで、一般庶民には副作用(物価上昇)だけが"倍返し"のごとく生活を直撃しつつあるのだ。
お気づきの読者が多いと思うが、すでに電気料金は円安に伴う燃料調達費の高騰を理由に、毎月値上がりし続けている。
さらに、ガソリン代も同様の状況だ。
「これまで3000円で20リットルは給油できたのに、1リットル160円以上になって、アシが出るようになりました」(前出・Aさん)
電気やガソリン価格の高騰は、加工費や輸送費に響くので、日用品なども軒並み値上げ傾向が止まらない。
デフレの象徴とされたハンバーガーについては、「5月からマクドナルドの"100円マック"の一部商品が120円に値上がりし、ワンコインで食べられなくなりました」(前同)
値上げの嵐は、庶民の味、ラーメンをも直撃。
替え玉発案の店として知られる「元祖長浜屋」(本店=福岡市)が7月から、なんと25%もの値上げに踏み切り、1杯500円になっている。
会社員Aさんの嘆きは続く。
「マクドナルドが値上げしたので、普段2個食べていたハンバーガーを1個に減らしました。だから、朝食くらい家で腹いっぱい食べようと思ったら、妻に"今月から食パンは1枚だけ"と言われたんですよ」
円安による輸入小麦粉の高騰で、7月から食パン類が値上がり(最大6%)したからだ。
ほかにも値上がりした食料品としては、サラダ油やツナ缶、マヨネーズ。
意外なところでは、カツオの不漁なども影響して鰹節が1~2割高くなっている。
物価上昇傾向は食料品にとどまらない。
総務省の調査によると、パソコンが20・3%、輸入ハンドバッグが17・4%、ティッシュペーパーが4・3%、価格上昇している(6月時点での東京都区部調べ)。
さらに、長年、価格が据え置かれてきた商品も値上げ必至だ。
「80年の発売以来、ずっと1980円だったルービックキューブが、8月から最大315円値上がりしています。これまでコスト削減で、なんとか値上げを踏みとどまってきた企業も、政府のデフレ脱却の呼び声で、相次いでコスト上昇分を価格に転嫁してるんです」(経済誌記者)
また、一見値上がりしていないものの、実は"隠れ値上げ"というべき事態が進行している。
「商品の価格を変えず、1袋あたりの量を減らすんですよ。その象徴は、ハムやソーセージなどの加工肉類や冷凍食品。7月くらいから、軒並みに、量が10グラムほど減少しています」(中堅スーパー社員)
企業側も、本音では値上げをしたくてウズウズしているところ。そして、こうした動きは、安倍首相の消費増税断行の表明でさらに加速すると見られている。
すでに値上げしたマクドナルドは、8月の決算発表で再値上げを検討中と発表。食料品では、雪印メグミルクが、10月から牛乳をはじめとする商品の最大4%の値上げを予定している。
http://taishu.jp/politics_detail640.php
最後に待ち受ける便乗値上げ
物価が上昇すれば、金利も上昇する。
秋以降は、一戸建てやマンションを所有する層は住宅ローン金利の上昇が大きな負担となるし、新規購入層も"資産インフレ"に苦しみそうだ。
「鉄鋼用の鋼材やセメント、さらには躯体工(鳶職など)の人件費が高騰し、ファミリー向けの新築マンションの価格に影響する恐れも出てきています。一方、賃貸マンションも、すでに都心部の好立地物件を中心に家賃が上昇しています」(前出・杉村氏)
マイカー族は今後、悲惨のひと言だ。
「ガソリン価格は、まだまだ上がります。リーマンショック時の180円代に突入するのは、ほぼ確実です。今年4月に自賠責保険が年間約1500円の負担増になりましたが、これに加えて10月からは任意保険も値上がりします。東京海上日動や損保ジャパンをはじめ、各社1~2%の値上げ予定です」(前出・経済誌記者)
だが、こうした事態を知りながら、政府はドライバーに追い打ちをかけるような動きを見せている。
「14年度から高速料金の割引が見直される予定です。平日3割引きや休日5割引き、深夜割引について割引率が減少、ひどければ廃止になります」(前同)
また、政府は70~74歳の高齢者について、14年度から医療費の窓口負担を増やす方針でいる。
どこを向いても値上げと負担増の話ばかり。
お酒で憂さを晴らそうと思ったら……あのワンカップ大関までもが、10月から値上がりするという。
「日本酒メーカーの大関が、平均4%の値上げを発表しました。大関が清酒価格を値上げするのは、実に19年ぶり。輸入酒も同様で、明治屋が9月からワインを平均8%値上げします」(前出・中堅スーパー社員)
こうなったら、家でAVを観ながらセンズリして寝よう……と思っても、「低価格競争の激しかったレンタルビデオ店が、一部で値上げに反転しつつあるようです」(経済誌記者)
もはや逃げ場なし。
相次ぐ"値上げ地獄"の果てに、来年4月、消費税率が8%に引き上げられるのだ。
そして、この消費増税の後には"便乗値上げ"が待ち構えている。
今回、これで心配されている代表的な商品がタバコだ。
「JTの社長は、消費増税に伴う価格転嫁について、すでに言及しています。噂レベルでは、全商品で増税分を値上げしない代わりに、主力商品のメビウスなどを増税分より高くする予定だとか」(前同)
大和総研では、このまま賃金が上がらなかった場合、物価上昇と消費増税が家計に与える影響を試算している。
それによると、年間の実質所得が、16年には12年より約30万円減るという(年収500万円で片働き4人世帯の場合)。
「給料が物価の上昇分を上回らない限り、日本は"少子高齢貧乏化社会"に苦しみ続けることになるでしょう」(前出・杉村氏)
干上がる前の"地獄に仏"はあるのだろうか。
http://taishu.jp/politics_detail641.php
週刊大衆9月9日号
◆アベノミクス、赤字企業に乏しい効果 工場閉鎖、雇用不安に対策なし
2013.10.23 SankeiBiz
「アベノミクス」による景気回復への期待は膨らむ。だがその陰で、地域経済を支えてきた工場の閉鎖や売却の動きに終わりは見えない。政府は消費税増税の決定に伴って企業優遇色の強い経済対策を決めたばかりだが、効果は未知数。地元では取引先も含め大量の雇用が突然失われることへの不安の拡大に対し、打つ手がないのが現状だ。
「工場が閉鎖されてしまえば、従業員やその家族が路頭に迷ってしまう」(地元市議)。経営再建中の半導体大手、ルネサスエレクトロニクスの鶴岡工場(山形県鶴岡市)の地元では、今年8月に「3年以内の閉鎖」を突き付けられた衝撃が今も収まっていない。
「地元の皆様にご苦労をおかけするが、残念ながら立ち行かない状況だ」。ルネサスの鶴丸哲哉社長は、甲府工場(山梨県甲斐市)閉鎖の再考を求めて訪れた横内正明知事にゼロ回答だった。
ルネサスのような不振企業には、政府の経済対策の恩恵も届きにくい。先端設備を導入したり、給与の総支給額を増やしたりした企業の法人税が軽減される予定だが、赤字続きでそもそも法人税を払っていない場合には縁がないためだ。
企業負担の軽減で投資や賃上げを促し、景気回復を目指すのが「アベノミクス」の考え方だが、「優遇されるのは既にもうかっている企業ばかり」(経済官庁幹部)との指摘もある。鶴岡市議は「アベノミクスなんて遠い国の話のようだ」と話す。
帝国データバンクによると、ルネサスグループを主な取引先とする企業は全国各地に約1000社(2012年6月時点)。半数超は売上高が10億円未満の中小・零細企業だ。担当者も「同業他社と比べてかなり多い」と裾野の広さに驚く。大規模な工場閉鎖の影響が表に出てくるのはこれからだ。
円高や海外勢との激しい競争、国内でしか通用しない「ガラパゴス化」などの戦略ミス-。いくつもの要因が重なり、日本の製造業は窮地に追い詰められつつある。
パナソニックは赤字のプラズマテレビ向けパネル生産からの撤退を決め、尼崎工場(兵庫県尼崎市)の生産を13年度中に停止する方向だ。
みずほ総合研究所の岡田豊主任研究員は「グローバル化の流れの中で、製造業が国内に工場を置く意味が薄れている。地方経済は介護など第3次産業へのシフトを真剣に検討していく必要がある」と話している。
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/131023/ecd1310230501000-n1.htm
安倍政権の推進する消費増税やTPPは、確実に日本国民の生活を蝕み、格差を拡大させる。アベノミクスで景気が良くなったなどと言っているが、それは一部の人間だけで、中小零細企業は悲鳴をあげている。
それにもかかわらず大手マスコミはそれに反対の声をあげようとしない。彼らは皆、カネ、カネ、カネの論理で動いている。
どうすればこの金権主義の世の中を打ち破ることができるのか。我々には何が必要なのか。そのことについて真剣に考えねばなるまい。
『月刊日本』11月号
「安倍総理! 民の悲鳴が聞こえぬか!」より
http://gekkan-nippon.com/?p=5763
安倍総理は夢遊病状態だ
―― 安倍政権がついに消費増税に踏み切った。一方、政府与党は法人税減税を検討している。
【亀井】 今の政治というのは絶望的だ。まったくおかしな事になっている。庶民の寂しいフトコロに手を突っ込んで、儲かっている企業には減税をするなんて、日本の歴史上まれに見る悪政だ。江戸時代の悪代官だってこんな無慈悲なことはしなかった。こんなことをすればどんな結果になるかわかりきっているからね。消費は必ず冷え込むし、そうなれば経済全体も下がっていく。国民生活の水準はどんどん落ちていくよ。
安倍総理だって、こんなことをすればどんな結果になるかわかっているんだ。だけども自分ではどうすることもできない。夢遊病者みたいな政治家になってしまったんだな。現実とは関係なく体が勝手に動いている。置かれた立場の中でいたずらに右往左往しているだけだ。人間としてはいい人なんだが、政治家、とりわけ総理としての資質には欠けると言わねばならん。
【亀井】 それは国民がおかしくなっているということだ。政府が自分たちの財布に手を突っ込んでくるのを喜ぶなんて、自分たちが何をされているのかわかっていないからだ。今の政治家、政党はおかしい、頼りにならない、あてにならない、嘘つきばかりだという声はよくあるが、結局、そういう政治家を送り出している国民がおかしいということなんだ。
消費増税という痛みに耐えて財政規律を、という議論もあるが、消費税率を3%から5%へ上げた97年橋本内閣の失敗から何も学んでいない。国民の所得が落ちていく中で税率だけ上げたって、税収は増えるわけがない。消費が冷え込めばますます税収は落ちていく。小学生でも分かる話だよ。
経済というのは消費と投資でまわっているという当たり前のことをみんな忘れている。税収を増やすには消費を増やすしかない、経済を活性化するしかない。日本には一億二千万人という巨大な内需があるというのに、それを活かそうとしていない。
経済を冷え込まさないように法人税減税をするというが、今の企業は内需を掘り起こすことなんか考えていないじゃないか。外国に投資し、外国で物を売ろうとばかりしている。結局、いくら法人税を下げても、企業の資金は日本に還流せず、外国に出て行くだけだ。
今は一部の富裕層の消費が増えているという話もあるが、たかだか国民の2%程度の富裕層の消費効果なんて微々たるものだ。その他の90%の国民の需要を刺激しなければ経済は好転しない。その90%というのは、地方の中小、零細企業だよ。そこに金が回るようにしなければ意味が無い。だが今の公共事業の構造はスーパーゼネコンが独占し、地方零細企業にまで資金が回らなくなっている。
アベノミクス、異次元緩和と言っているが、その資金が実体経済、地方の産業に回って行かないんだ。どこへ行くかというと、株式市場であり、米国債の買い支えなんだ。結局、国民の仕事に直結しない、だから収入も増えないどころか減っていく。こんなことでは国家は維持できませんよ。
【亀井】 それと今、市中に眠っている資産が市場に出回り、国内を循環させるようにする工夫が必要だ。銀行にも預けられていないタンス預金、アングラマネーも含めた隠し資産というのは2000兆円以上ある。こういう金を吐き出させる仕組みを作ればいい。たとえば無利子国債も検討する価値がある。利子がつかない代わりに相続税を免除するなどして、眠っている死に金を消費に回るように仕向ければ良い。相続税による税収なんて2兆円程度だから、2000兆円以上が市中に出回る経済効果のほうがはるかに大きい。
こういう話をするとすぐにあれこれ難癖をつける奴が出てくるが、細かいテクニカルな話はあとで考えればいいんだ。政治家の仕事は、大きな方向を決めることだ。その方向がしっかり決まれば、細かいところを官僚が詰めるんだから。今は政治家自体が小役人みたいな発想になっていて、何も大きな方向性を示せていない。
増税といえば、本当は大手メガバンクなんかに真っ先に課税すべきなんだ。かつて国から支援を受けておきながら、今、メガバンクは利益を出しても税金は払っていないからね。それに、相続人のいない老人が資産を銀行に残したまま亡くなると、その資産は銀行の利益になる。こんなふざけたことが横行している。死に資産が銀行の利益になるぐらいなら国が接収すればいい。知恵を絞ればいくらでも税収を増やす方法、経済を良くする方法はあるんだ。
人類は文明から復讐を受けている
―― しかし政府も国民も、ジリ貧の方向へ向かっているように思える。
【亀井】 これは日本だけではなく世界的傾向だ。人類全体が抱えている問題なんだ。人類は今、文明によって復讐を受けているんだよ。文明というのは人間の欲望を肥大させてきた。カネよカネよとカネだけを追い求めるから、企業はなるべく人を安く使おうとする、官僚は庶民の寂しいフトコロからさらにカネを搾り取ろうとする。カネによって精神が退廃していくんだ。その行き着くところが原発じゃないか。福島では原発処理もできていない、放射能汚染水も全部垂れ流しだ。にもかかわらず、地震大国のトルコに原発を売り込もうとしている。これは完全なモラルハザードだよ。カネさえあればという精神がこんな事態を生み出してしまう。(以下略)
http://www.asyura2.com/13/senkyo155/msg/361.html
◆東電役員OB海外バブル生活 福島原発事故900日目の「天国と地獄」
事故から2年半、いまだ漁業も農業も壊滅状態なのに…
東京電力福島第一原発の事故から900日が過ぎようとしているが、一向に収束の気配は見えない。
「あの事故以来、原発近隣の漁港の漁師は沿岸部のガレキ清掃作業などで、なんとか生計を立ててきたが、もう限界だよ。とにかく、早く漁がしたい……」
福島県内の漁師は、天を仰ぎながら語った。
同じように、いわき市内の農協関係者は、「少しだけ放射線量が下がったことを除いて、事故直後と状況は何も変わっていない。いつになったら本業に戻れるんだろう」と、こちらも慟哭する。
地獄のような日々を過ごしてきた彼らに、追い打ちをかける事態が起こる。
8月21日、福島原発の地上タンクから高濃度汚染水が約300トンも漏れ出している事実が判明したのだ。
「実は、漏れ出したタンクの反対側にある排水弁の周辺でも、高い放射線量を確認済み。東電は今回の汚染水漏れを約90日間見逃してきたことが報じられていますが、異常が見つかったタンク以外でも、放射性セシウム、放射性ストロンチウムを含む汚染水が漏れ、いまも海洋と土壌を汚染し続けている可能性が高いのです」(全国紙社会部記者)
周辺の漁業・農業関係者にとっては今年最悪のニュースとなり、再び苦境に立たされている。
原子力規制委員会が今回の汚染水漏れを「レベル3(重大な異常現象)」と再評価し、韓国では福島県のみならず、日本からの水産品をすべて禁輸しようという動きまである。
もはや、日本の水産業界全体を揺るがす問題にまで発展した。
「ところが、いまも放射能地獄に喘ぐ地元住民を尻目に、事故当時の"戦犯"である東電の旧経営陣は、周囲の目と批判を気にして日本から海外へ逃亡している。特に、事故当時トップだった勝俣恒久・前会長に至っては、中東の至宝といわれるドバイ(UAE)の超高級マンションで"バブル生活"を謳歌しているという話ですからね」(前同)
旧経営陣の多くは事故の責任を取って退任しているが、"我関せず"とばかりに海外で優雅に暮らしているとは信じがたい事実。
いったい彼らに、地元の悲鳴はどう響くのだろうか。
まず、汚染水によって、新たに土壌が汚染される懸念が生じた農業関係者の声を聞いてみよう。
「農協としても組合員が1日でも早く農業を再開できるよう支援していますが、何をするにしても原発事故の影がつきまとい、支援態勢を整えることすらできません。それでも方策を立て一部再開した人もいる。そこへ、今回の汚染水問題が発覚したわけです。ようやく風評被害も収まったのに、"またか!"という憤りを感じています」(新ふくしま農協担当者)
もちろん農家だけではない。
汚染水が流入した海を生業とする福島漁連関係者も、怒りを爆発させる。
「いま福島県内の漁協は、どこも活動していません。昨年6月、相馬双葉漁協でタコやツブ貝などの一部魚種に絞って試験操業を始めました。そして、影響が少ないと判断した16魚種にまで拡大してきました。9月には相馬に続き、いわきでも試験操業を開始する予定で、漁師たちは盛り上がっていたのに……今回の問題で、全部パーになりましたよ!」
これから秋を迎え、各漁港では、アナゴ、カレイ、ヒラメなどの水揚げが期待されていた。
「本当に、本当に……9月の試験操業を目指して頑張ってきたんです。漁師として仕事ができることは、このうえない喜びですから。漁師仲間とともに、日に日にモチベーションが上がっていた矢先ですよ! いまはもう、冷静に考えられる状況ではありません」(いわき漁協担当者)
こうした状況で、すでに廃業を考える漁師も出始めているという。
しかも、漁業関係者を絶望の淵に陥れた汚染水漏れは、東電のズサンな事故処理が原因なのだ。
「そもそも、原発内にある1000基のタンクは、原子炉建屋内に溜まった汚染水を一時保管するために設置されたもの。タンクの継ぎ目の樹脂製パッキンは劣化しやすく、耐用年数はせいぜい5年。初めから漏洩することが懸念されていました」(東電関係者)
http://taishu.jp/politics_detail647.php
汚染水漏れの指摘を無視した
汚染水漏れの懸念は専門家が早い段階から指摘していた。
ところが東電の経営陣は、それを知っていながら放置したのだ。
いわき市議会議員の佐藤和良氏が、こう憤る。
「これまで汚染流出を認めなかった東電が今回、やっと認めたという印象です。震災後の4月から細かい漏水などありましたが、"問題なし"としてきました。ところが、溶接すら施していないタンクが水圧に耐えられるはずはなく、300万トンもの漏水が、ついに始まってしまった」
住民の怒りは完全に東電に向いている。昨年6月に地元住民は、勝俣前会長や清水正孝・前社長ら33名を業務上過失致死傷などの疑いで検察庁に刑事告発。
佐藤市議は、その原告団の副団長を務めている。
「彼らは世界最大ともいえる公害を撒き散らしたにもかかわらず、強制捜査すら受けないのは市民感情として納得できません。日本が法治国家である以上、法に則って彼らに責任を負わせるべきです」(前同)
しかし、1年以上経ったいまも、彼らは刑事責任を負わされる気配もなく、平穏に暮らしているというのだ。
政治評論家の本澤二郎氏が語る。
「海外逃亡の事実を知って気分が悪くなりました。ネットサイトやブログでは、もうかなり有名ですが、事故当時の東電首脳部の動向が詳細に書かれています。勝俣前会長は家族とともに海外逃亡中。また、清水前社長も、同じく家族と一緒に海外生活中という話ですからね」
実は、事故後に退陣した旧役員は、東電の関連会社や子会社に"再就職"し、高給取りとして働いていたというから驚く。
退任後の主な動向は以下のとおり。
・勝俣前会長=日本原子力発電社外取締役
・清水前社長=富士石油社外取締役
・武井優副社長(以下当時の役職)=アラビア石油社外監査役
・宮本史昭常務=日本フィールド・エンジニアリング社長
・木村滋取締役=電気事業連合会副会長
連結売上げが約6兆円にも上る東電は多くの関連企業と子会社を持つ。
これまで役員は、退任後も当然のように再就職してきた。
「前代未聞の事故を起こした経営陣までもが"天下り"し、給料を貰い続けています。会長以下、11年に引責辞任した役員20人のうち、8人が該当する。彼らは、甘い汁を吸い続けて税金をムダ遣いする"天下り官僚"と同類ですよ」(全国紙経済部記者)
この中でも、勝俣前会長は"東電のドン"と呼ばれ、批判が集中している。
「勝俣前会長は震災当日、中国へ東電お抱えのマスコミ連中と視察旅行に行き、原発事故対応が後手に回る原因を作った張本人。ところが、今年の6月に日本原子力発電の社外取締役を辞任するまで、1年間も同社から役員報酬を受け取っていたんです」(前同)
その間、福島の農業・漁業関係者は生活の道を断たれ、地獄のような苦しみを味わっているのだ。
「本来なら、私財を投げうってでも福島県民に謝罪すべき立場。それが優雅に暮らしているというのですから、到底、許せる話ではありません」(前出・本澤氏)
http://taishu.jp/politics_detail648.php
年間7200万円の役員報酬
事故以前の勝俣前会長と清水前社長の年間役員報酬は約7200万円。
さすがに事故後の報酬は減額されたが、それでも東電役員が高給取りなのは事実だ。
「勝俣前会長の自宅は東京・四谷の超高級住宅ですし、ほかの役員も本社から通勤30分圏内に豪邸を建てている場合が多い。いま日本にいても批判に晒されるばかりですから、東南アジアや中東に飛んだ役員は多い。前会長もドバイの超高級マンションで家族と暮らしているようですね」(東電の元社員)
ドバイは急速に発展した中東随一のリゾート都市。
世界最高級の高層ホテルや中東最大のショッピングセンターもあり、中東の"王侯貴族"も憧れる都市だ。
「東電は、原発事故が起きるまで発展途上国への電力事業の輸出を積極的に進めてきました。東南アジアや中東諸国のインフラ事業で利益を得るべく、現地交渉をしていた。すでに、ベトナムでの事業は軌道に乗っています」(前同)
事故後は"東電の安全神話"も崩壊し、ベトナム以外での発電所輸出に関わる計画は頓挫している。
「東電はトルコやサウジアラビアに輸出を働きかけるなど、莫大な予算を使ってきた。特に勝俣前会長は、発展途上国の原発輸出には特に積極的だったので、中東諸国との関係も深い。商社や電力会社の途上国駐在や出張は、豪華なホテルと潤沢な手当があるバブル生活が当たり前ですから、東電OB連中が移住し、それ以下の暮らしぶりとは考えられない」(同)
被害者がいまだに原発事故の後遺症に苦しめられているというのに、これほど理不尽な話はないだろう。
「海外逃亡は話すも愚かだし、言葉もありません。このまま海へ汚染水をタレ流す事態が続けば、日本は海外から袋叩きに遭います。そんな理不尽なことがまかり通らないよう、福島の地元民や仮設住宅で暮らす人たちが"一揆"を起こしても、東電も政府も文句は言えないでしょう」(同)
これが国民の大多数の意見だろう。
事故から900日目にしての「天国と地獄」が逆転する日は来るのだろうか……。
週刊大衆9月16日号
人物タグ:勝俣前会長,清水前社長,武井優副社長,宮本史昭常務,木村滋取締役,etc.
http://taishu.jp/politics_detail649.php
三橋貴明氏
現在の安倍政権は、「瑞穂の国の資本主義」とは明らかに逆行する道を進み始めているように見えます。
昨日、安倍政権は労働契約法の「変更」を目指す方針を固めたという報道が流れました。すなわち、非正規労働者が同じ企業で5年を超えて働いた場合、希望すれば期限のない雇用契約に切り替えることを企業に義務づけた労働契約法について、非正規で雇用できる期間を10年まで更新できるよう「変更」を目指すとのことです。
「はあっ?」
という感じです。
少なくとも、わたくしは、
「正規社員である中間層を中心に、国民経済全体が成長する資本主義」
すなわち、ウォール街発の強欲な資本主義、あるいは新古典派経済学的な資本主義ではなく、中間層中心の所得拡大、安全保障と経済成長の両立を実現する「瑞穂の国の資本主義」を目指すと宣言したからこそ、安倍政権実現のために全力を尽くしたのです。
上記の労働契約法の変更が実現すれば、派遣社員を雇用する企業は、
「労せずして、非正規労働者を非正規のまま据え置き、コスト削減と利益拡大を実現できる」
という話になり、「付加価値の創出」なしで所得を増やすことができます。企業や投資家が新たな付加価値を生み出すことなく、政治的に法律を変更することで、「誰か」から所得を奪う。まさに、典型的なレントシーキングになります。
ちなみに、上記の政策で所得を奪われる「誰か」とは、もちろん派遣労働者です。
昨日取り上げた電力システム改革にしても、新たな付加価値を生み出すわけでもない「新規参入者」を発電市場に呼び込み、電力サービスの所得の一部を持っていくだけの話です。何しろ、発電される電気に「品質」というものは有りません。電気は、誰が何で発電しようとも、同じ電気なのです。
無論、高品質な電力サービスというものはあるわけで、主に「発電所が需要に応じ、安定的な発電ができるか」「送電網が安定的に電気をユーザー(消費者)に送電できるか」にかかっています。原発だろうが、火力だろうが、水力だろうが、太陽光だろうが、風力だろうが、発電される電気は単なる電気に過ぎません。ポイントは「需要に応じ、安定供給が可能か、否か」であって、発電手法ではないのです。
安倍内閣で電力システム改革が実現し、将来的な発送電分離が実現した場合、間違いなく「安定性」は落ちます。しかも、日本にはすでにFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)という厄介な制度が導入されているのです。
発送電分離は、電力サービスに「市場競争」を導入する発想です。それに対し、FITは「市場競争なしで、需要とも無関係に、太陽光や風力などで発電された電気を、固定価格で長期に渡り買い取る」という制度になります。発電事業が自由化され、さらにFITがあるとなると、発電への新規参入組は再生可能エネルギー(特に納期が短い太陽光)にますます偏るでしょう。とはいえ、再生可能エネルギーは著しく安定性に欠けます。
送電会社側は、安定的に発電される電気を「市場」から買い取り、不安定な再生可能エネルギーを「固定価格」で強制的に購入させられることになるわけです。しかも、「強制」買い取りであるため、太陽光への投資が増えると、電力需要の大半が再生可能エネルギー(不安定)で賄われることになります。結果、市場競争の荒波にさらされているFIT系以外の発電事業者は、著しく不利な状況に置かれてしまうわけです。
何しろ、需要の一部をFITに奪われ、限られた需要を市場競争で「奪い合い」することになるわけで、しかも火力発電などは燃料費の高騰リスクがあります。結果的に、発送電分離をしたはいいが、新規参入組は「不安定」な太陽光に偏り、既設の「安定的」な発電所は稼働率が著しく落ち、投資も減り、送電会社側はFIT系が足りない際のバックアップ電源の確保すら不可能になってしまいます。その上、市場を通さないFITは発電事業者側に極めて「美味しい」事業で、高価格で買い取られた電気の料金をユーザが負担させられています。要するに、電気料金が上がり続けています。
そんなことにはならない! などと思わないで下さいませ。何しろ、発送電分離とFITを共に導入した欧州では普通に起きています。欧州では、送電会社がFITのバックアップ電源すら確保できなくなり、「バックアップ用の電力固定価格買取市場」を新たに創設しようとしている有様です。まさに屋上に屋根をかけようとしているのです。
結果的に、ドイツではFIT事業が曲がり角を迎えようとしています。
『独、再生エネに曲がり角 電気料金抑制へ買い取り制度見直し
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/131011/mcb1310110501010-n1.htm
ドイツ総選挙で大勝したメルケル首相は政権3期目の最優先課題として、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直しを掲げている。脱原発政策による再生エネの普及に伴い買い取り量が激増し、電気料金の高騰を招いているため。連立候補の最大野党も制度改正の必要性は認めており、大連立が実現すれば見直しがしやすくなる見込み。日本を含む世界各国の先例となった制度だけに、ドイツの改革の行方は他国の政策論議にも影響を与えそうだ。(中略)
エネルギー転換をめぐるメルケル首相の課題は電気料金の抑制だけではない。洋上風力発電所の開発が滞っているほか、石炭火力発電所の増設によりドイツの二酸化炭素(CO2)排出量は2年連続で増える見通し。当初原発の代替電源として期待されていたよりクリーンな天然ガス火力発電所は、再生エネ由来の電力が送電網にあふれたあおりで採算が悪化している。』
『【社説】新たな暗黒大陸─再生可能エネルギー政策で失敗する欧州
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304134704579138693534116718.html
オバマ政権が米国を再生可能エネルギーの夢の境地へと向かわせる前に、欧州ではどんな様子になっているのか調査したほうがいいかもしれない。二酸化炭素の排出を伴うエネルギー源を風力や太陽光などと置き換えるという夢の実現に、欧州大陸は米国よりはるかに近づいている。そして、その夢は悪夢の様相を呈し始めている。(後略)』
欧州ですでに失敗したFITには手を付けず、電力自由化を進める。失敗がゴールであることが分かっている道を歩くほど、愚かしいことはありません。
典型的なレントシーキングであるFITはそのままに、さらに「新規参入企業」を配電部門、発電部門に呼び込む電力自由化を推進する。結果的に、我が国の電力供給が「安定化」するというのであれば、新たな付加価値(安定化)が創出されたという話になりますが、そうではありません。
安倍内閣は、完全にレントシーキング内閣と化しつつあります。
ちなみに、現在の自民党では「官邸」主導で「党」を無視するやり方に、不満が高まりつつあります。ここに突破口がある、と、わたくしは考えているわけです。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11640371318.html
◆アベノミクスで新築住宅に手抜き工事が横行している!?
2013.10.17 日刊SPA!
’14年の消費税増税が決まり、本格的な駆け込み需要への期待が集まっている。なかでも、住宅業界は「アベノミクスで住宅価格が高騰。買うなら今でしょっ!」「新築マンション売り切れ間近」と消費者を煽り、各メディアも新築マンションや一戸建て住宅を見学に訪れる人の群れなどを報じている。
しかし、一方でこうした住宅購入ブームに対し「私なら今の時期、絶対に家を買いませんね」というのは、住宅に必要な建材を卸している業者のAさんだ。消費税が上がる前に購入しておいてもいいものだが、一体どういうことなのだろうか。
「私はいろいろな建築業者と取引をしていますが、2011年に発生した震災復興に伴い、職人さんたちはみな被災地に行って慢性的な人手不足の状態がずっと続いているんですよ。そこに、アベノミクスで住宅需要が上昇して、住宅メーカーから依頼が殺到したそうです」
本来であれば、これまで長い不況下にあった建築業者からすれば、嬉しい悲鳴のはず。しかし、実情は違う。
「人手不足のために、職人の人件費は高騰。でも、住宅販売業者は決して外注費を上乗せしてくれるわけではない。そこで、業者としては、能力が低い若い職人でも使わざるを得ない状況が生まれているんです。結果、手抜き工事になりかねない状況。そんな不安な物件、数千万も払って買えますか? 私なら買いませんよ」(前出・Aさん)
住宅販売業者の中には「手抜きでも何でもいいから、納期に間に合わせてくれ」と、下請け業者を煽るところもあるとか。千載一遇のチャンスとばかりに売りたい販売業者。そのために手抜き工事をせざるを得ない建築業者。だが、一番のババを引くのは、購入した消費者であるのは言うまでもない。 <取材・文・撮影/日刊SPA!取材班>
http://nikkan-spa.jp/521570
2013年 10月 16日 ウォール・ストリート・ジャーナル
日本では今週、秋の臨時国会が招集された。安倍首相はこの国会で、6月に閣議承認された成長戦略を実行に移すと約束している。連立政権を組む自民・公明が衆参両院を支配しているなか、安倍首相は日本を再び持続可能な長期成長に導くという約束を果たさなければならない。だが、日本市場に強気な向きはこれに期待すべきではない。
安倍首相はときにリベラルな改革者を装ってきた。たとえば6月にロンドンでスピーチしたとき、安倍首相は故サッチャー元英首相のスローガン「これ以外に選択肢はない」を引き合いに出した。ところが安倍首相は、自民党を設立して第2次世界大戦後に日本を再建した国家統制主義者のような――サッチャー元英首相やレーガン元米大統領とは異なる――統治を目指していることがますます明確になっている。経済が成長している限りは、構造改革など必要ないと安倍首相は考えているようだ。
安倍首相にとって経済成長は目的を達成するための手段だ。安倍首相の根本的な目標は、中国、そしてそこまでではないが韓国との政治・経済競争のために日本を強くすることだ。日本がどのようは方法で成長を遂げるかは二の次で、日本経済が成長し、技術と革新の最先端にあり続けることが最優先の目標だ。改革の手を緩めたり、棚上げしたりすることが成長の実現に寄与するのであれば、安倍首相は迷いなくそうするであろう。
そういうわけで、安倍政権は、成長戦略の中心にあった経済特別区での労働者の雇用と解雇をより自由化するという提案を取り下げることもあり得ると示唆している。それと同時に、持続可能な成長につながる「好循環」を実現する鍵として、より高い賃金の必要性を挙げ、企業がため込んでいる手元資金をより高い給料という形で労働者に分配することを――おそらくは組合労働者の協力を通じて――企業に迫っている。賃金上昇の重要性を強調するのは正しいが、安倍首相は焦点を移したことで、たとえそれが富の再分配を意味することになっても成長を優先させる考えを露呈することになった。
安倍首相はこうして自民党の起源に立ち返っている。安倍首相の祖父、岸信介氏を含む自民党の創設者たちは、経済成長を促進しながら、利益を幅広く再分配するために国家権力を使った強大な集票組織を作り上げた。ゴルバチョフ元ソビエト大統領が言ったとされる皮肉の通り、自民党は世界で最も成功した社会主義国に50年間にわたって君臨したのである。
再生した自民党はかつての自民党と同じではないが、安倍首相は自民党の黄金時代と同様に、国が中心となった経済協調策を取り入れている。今年初めに導入された財政刺激策と最近発表された来年の消費増税の衝撃を緩和するための公共投資計画を通じ、安倍首相は土建国家の名残である建設業界にばらまきを行ってきた。
一方で、古い世代の投資を指揮した強大な通商産業省の後継機関である経済産業省は、ミクロ経済政策を調整するために、多くの諮問委員会、作業部会、企業幹部、官僚らと連携している。そこには改革主義の小泉政権(2001-2006年)を駆り立てた「小さな政府」や「官から民へ」といった合言葉はほとんど残されていない。代わりにあるのは、財政・金融・産業政策を調和させることで、自民党が主導する日本は力強い経済成長を復活させ得るというアベノミクスの基礎を成す前提である。
これを実現するために、安倍首相は日本の将来に対する自らの構想を喜んで披露している。しかし、その古臭い経済ガバナンスは、日本の資本主義がどう機能すべきかについて具体的に考えていないという実体を隠している。雇用主と雇用を守ることで国が所得保障を提供した日本の戦後の経済システムを何と置き換えるべきだと安倍首相が考えているのか、はっきりしない。
日本は流動性がより高い労働市場に移行すべきなのだろうか。だとすれば、労働者を競争市場に対応させるため、また、失敗した場合にセーフティネットを提供するため、どうすればいいのだろうか。その概要が94ページに及ぶ成長戦略にもかかわらず――あるいはだからこそなのか――安倍政権はこうした疑問やその他の根本的な疑問に取り組むどころか、既存の制度を下手にいじり回しているという感じを受ける。
結局はそれが一番なのかもしれない。米国であれ、日本であれ、欧州大陸諸国であれ、資本主義経済の制度は、歴史を振り返っても権力者による恣意的判断ではなく、政治・経済への参加者たちの闘争の結果として生まれてきたものだ。戦後の日本の資本主義は成長戦略から生まれたのではなく、国家機関、生産者、労働者間の紛争や協調、そして日米関係から生まれたのだ。21世紀の日本の資本主義も同じような過程を経て発展していくに違いない。
同様に、安倍首相の成長戦略が、経済停滞と闘う歴代の日本の首相が提示してきたこれまでのロードマップよりも大きな成功を収めるとは考えにくい。日本経済の将来像にとって、個人、世帯、企業の決断は、安倍首相の命を受けた官僚たちの取り組みと同じくらい重要な意味を持つことになろう。
(筆者のトバイアス・ハリス氏は米ワシントン在住の日本の政治を専門とするアナリスト。政治リスク評価を手掛けるコンサルタント会社テネオ・インテリジェンスに所属している)
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304134704579138684231800094.html?id=fb&reflink=fb