マルちゃんが入院して翌日。
落ち着かない気持ちで過ごしたが、幸い電話は鳴らなかった。
マルちゃんがうちにきてから、初めて離ればなれ。
見知らぬ場所で心細くないかなと気になり、私も心は沈んで、いつもは自身が監督になったかの如く騒いで見る野球中継もちっとも見る気がしなかった。
さて、うちの会社はフレックスが使えるのだけと、コアタイムは16時まで。そのため、15時からの1時間だけ時間休を使い、16時の面会に病院へ向かう。
16時少し前に着いて病院に入り、昨日マルちゃんが置かれた保温された棚のところに行くと、昨日より幾分元気そうなマルちゃんがいた。
「マルちゃんっ。マルちゃん、どう?」と声をかける。
看護師さんから、ごはんはまだ自分で食べれてないけど、強制給餌していまは29gまで体重も回復した、と聞く。
ホッと胸を撫で下ろしていると、奥から先生がやってきた。
「金曜日には、退院できそう」と言うので、えっ、ほんとに?大丈夫なんですかっ?と信じられない気持ちで尋ねる。
来週まで、下手したら9月中は入院しないといけないかも、と覚悟していたので驚いた。
「思ったより回復が早いです」と、先生。
死んでもおかしくない状態だったマルちゃんを前に、昨日は詰問口調だった先生も、優しい口調になったように感じた。
マルちゃんがんばったねえ。えらいねえ。
とマルちゃんに笑顔で話しかけた。
意識が朦朧としていたかに見えた昨日より、目に生気が感じられたマルちゃん。
生きて帰ってこないかもと思った昨夜だったけど、希望が戻ってきた。
先生、本当にありがとうございます。
まだ油断はできないけど、一安心の気持ちで病院を後にした。
このまま容態が悪化しませんように、と願いながら。