化学の進歩により、綺麗で大量にしかも安価に生産される身の回りの石油製品は私たちの暮らしに欠かせない殆どの必需品に著しい変化をもたらしました。
一方で古民家の納屋の隅で、使用されることもなく朽ち果てていく生活用具と共にその物を作る技も廃れていく。暮らしを育む木材、竹、植物などの素材はその地域の人の手で育て技術は豊かな生活の糧でもあった。
筵(むしろ)も50余年前には何処の家にも有り、穀物を干したり敷物として重宝されていた生活用具であった。筵機も今では民俗資料館に展示され、筵織りの技術も受け継がれることもなく、その織る工程の資料や映像も見当たらない。筵に限ったことではない人の手による技術が失われることが寂しい。
幸いにも地域の中に筵機と筵織りをされていた高齢者がおられ、周囲にも親が織っていたのを手伝ったことがある方もおられ、学芸員、地元の方の協力もいただきながら “筵織り” の映像と記述資料を地域の環境、人々の営み、藁のできるまで等を織り交ぜ1年間(四季)を通して記録することにした。
筵機の補修、小縄を綯い、縄を機に架け試行錯誤しながらスタートした。「たかが筵…」、小縄を綯うにも藁の打ち方から…なかなか奥が深い。筵織りに係わった方、筵機が家に有る方、資料として残したいので情報をいただきたいと思います連絡下さい。