ゆうちゃんの独り言

モーツァルトが大好きで毎日欠かさず聴いています。人生の生き方は仏教で毎日般若心経を唱え、時間を見つけて寺巡です。 合掌

■ もったいない、人と自然と物を大切にする心!!

2008-11-08 13:06:44 | Weblog
 幼少の頃から物は大切にしなければならないと周りの人から教えられて来ました。ですか
らいままでも物は大切にしてきたつもりですが、歳をとるにつれて益々この傾向が自分の中
で強くなりつつあります。

 幼少の頃を考えると、戦後の復興の中で、今ほど物が溢れているようなことはない状況で
あったので、必然的に物を大切にしていたのだと思います。使えるものは修理したりしなが
ら長く使うのが常識的なことで、世の中全体がそのような考え方の中で進んでいたので、こ
のような行動様式をとるのが当たり前だと考えていました。

 それが経済の成長により見かけ上の豊かさが目も前に拡がりだすと、消費することが良い
ことのように思われる時代になり、次から次へと新しい物を買い求めたり、まだ使えるもの
を捨てたりする時代の中で生きるようになってから、人間の心がどんどん乾燥し、暖かい情
や思いやりが失われて行くような感覚を味わいました。

 ちょうど西岸良平の「ALWAYS3丁目の夕日」のようなほんのりとした時代から、ビ
ジネスライクで合理的な感覚の時代へと変貌して行く様を見ながら、本当にこのようなこと
をしていて良いのかと正直思ったことが何度もありました。

 例えば石油資源は有限であるにも関わらずどんどん消費するし、それに伴い二酸化炭素が
発生したり、また産業廃棄物のようなものを捨てれば環境に影響を及ぼすことが分かってい
ましたが、これだけ大きい地球の中で少しぐらい汚染されても全体から見ると薄められるの
で問題ないような考え方が拡がっていたことは確かです。人間は目の前で起こる現象には納
得感をもって理解しますが、まだまだ自分の目の前に現象が現れない場合は、勝手に問題が
ないと思ってしまうものです。

 どのような現象でも無限に同じ状態が続くことはありません。必ず変わる時期が来ます。
バブル経済がそうであったし、反対に不況が続いてその状況から抜け出せないことは過去に
一度もありません。

 物事や状況は必ず変化するのが必然なのです。良い事は延々と続くと思いがちですが、世
の中では良いことの後には必ず悪いことが続いて起こるのです。また、反対に悪いことが延
々と続くこともありません。ある時、必ず良い方向に転換します。

 このようなサイクルが過去何千年も前から繰り返されてきている事実があります。このよ
うな中で、人間は冷静にならなければいけないと思いつつも、ついつい自分の都合の良いこ
とだけを考えて行動してしまいます。とても恥ずかしいことですが、誰でも陥りやすい行動
だと思います。

 結局人間としてどのように生きたらよいかというと、良いときもまた悪いときも常に変わ
らずに基本となる考え方を守り生きることだと思います。なにか古めかしい時代に乗り遅れ
た生き方のように感じますが、結局は正しい生き方だと思います。

 時は移り行き変化するものですが、その時の基準を短期間で見るかあるいは長期間で見る
かの差であって、大きな視点から見ると人間の営みは変わることのない時間が続いているの
だと思います。

 技術進歩や技術革新が重要だと言われていますが、それは人間の判断だけであって、この
宇宙を含んだ自然の中ではまったく意味をなさないものだと思います。自然の中でゆっくり
と変わるのが真実ではないかと思います。

 身の周りの人や、物や、自然をもっともっと大切にしなければならない心が失われつつあ
る現状を見るにつけ、なにも出来ないのですが、ただ老婆心ながら心配になりつつあるこの
頃です。もっと暖かくそして優しく、大切にする心が必要だと思います。

■ ウィーン国立歌劇場「コシ・ファン・トゥッテ」を観て(最終日)♪♪

2008-11-08 13:04:54 | Weblog
 先日、上野の東京文化会館で行われた2008年ウィーン国立歌劇場の日本公演を観て来
ました。演目は、大好きなモーツァルトの歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」です。指揮は、
イタリアの巨匠リッカルド・ムーティ、演出はロベルト・デ・シモーネでした。

 最近のオペラは、演出が超近代的な内容になっているものが多く、何でこのような演出に
するのか理解に苦しむものがあります。今回の「コシ・ファン・トゥッテ」は、今年の2月
に今回の日本公演とほぼ同じキャストでウィーンで上演された内容のもので、ピリオド・ア
プローチによるものでした。

 時代とともにオペラの表現内容を変化させることは、一方では正しい方法だとは思います
が、考え方が古い私にとっては、出来るだけオペラが作られた時代背景を忠実に再現し、当
時の心をその中から汲み取ることが重要だと考えています。

 その点、今回の演出はナポリを舞台にした、とても忠実な内容であり大変に満足しました。
オペラのストーリですが、2組の恋人同士のそれぞれの愛の絆がどれだけ深いかを試す恋愛
ゲームの内容です。現代の言葉で言えば、恋人同士をスワッピングするお話です。とても突
飛な内容ですが、その当時スワッピングが流行っていたといいますから、人間っていうのは
昔も今も変わらないものだとつくづく思います。

 この「コシ・ファン・トゥッテ」の台本を書いたダポンテが言いたいことは、人間のあり
のままの姿や本質を描いて人間とは何かを語り、その中から恋愛、嫉妬、裏切り、憎しみ、
許し等の感情をむき出しにしながら、人間としての大切なものは何かを説いた内容です。こ
のようなストーリにモーツァルトが旋律を付けたものなので、なおさら素晴らしい出来にな
っているのは言うまでもありません。

 リッカルド・ムーティの指揮による生演奏は初めて聴きましたが、さすがに巨匠だけあっ
て心から満足しました。序曲が始まった時の出だしのオーケストラの音色は、優しくまたま
ろやかで、正にウィーンフィル(ウィーン国立歌劇場管弦楽団)の音色でした。

 生意気にも世界の一流のオーケストラをいろいろな場面で聴いてきましたが、最後はウィ
ーンフィルが最高だと実感しないわけにはいきません。また、これだけの音楽の内容を引き
出し、そして最高のレベルに高める指揮者がいるからこそ、このような素晴らしい内容にな
るのだと思います。

 座った席も、リッカルド・ムーティの指揮が手に取るように良く分かる位置であったので、
舞台を観るのは当然ですが、ムーティがどのような指揮をするのか、またどのように歌手や
オーケストラの楽員に指示しているのかが分かり、それだけでも満足でした。

 休憩を入れて3時間30分と長い公演でしたが、久しぶりに満足感を味わったオペラでし
た。2004年に小澤征爾がウィーン国立歌劇場の日本公演で指揮したモーツァルトの「ド
ン・ジョバンニ」と「フィガロの結婚」も素晴らしい内容でしたが、今回はさらにモーツァ
ルトの真髄に触れたような感じを受けました。

 今回の演奏を聴いてダポンテの3部作を全てウィーン国立歌劇場の演奏で観られたことは
本当に幸せなことです。今後可能であればモーツァルトの「魔笛」をウィーン国立歌劇場の
演奏で観てみたいものです。

 今回のキャストですが、フィオルディリージ:バルバラ・フリットリ、ドラベッラ:アン
ゲリカ・キルヒシュラーガー、グリエルモ:イルデブランド・ダルカンジェロ、フェッラン
ド:ミヒャエル・シャーデ、デスピーナ:ラウラ・タトゥレスク、ドン・アルフォンソ:ナ
ターレ・デ・カローリスでした。

 チケットは非常に高かったですが、ウィーン国立歌劇場の引越し公演なので致し方のない
ことだと思います。最後は金銭的な泣きが出てしまいましたが、今後可能であればウィーン
で安く観たいものです。