浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

地域の包括的エネルギー政策と活性化

2013-02-14 10:37:57 | 日記・エッセイ・コラム
 超長期的な視点に立てば、化石燃料の有限性、核燃料廃棄物の危険性と長期的問題(現核燃料の処理問題)の課題は避けて通ることができない現実です。人間の英知によって科学的に解決されるということも言えますが、現時点で解決方法が見出されていない以上、楽観論だけで議論するわけにはいきません。本当の危機が迫った時に対処できないような楽観論では危機管理とは言えないからです。

 こうした課題にはエネルギー政策の大きな方向転換が必要であることは明らかであり、その方向転換のためには大きな政治の力が必要になります。なぜならば、発達した現代社会において、エネルギーの供給は公平の原則に立脚しなければならないからであり、格差を増長するような政策になってはならないのです。つまり、こうしたエネルギー問題を市場主義にさらしてしまうことは避けなければなりませんし、一方で管理一辺倒の硬直的な体制では転換がなかなか進まないという問題も指摘されます。

 さて、このような状況を踏まえながら、現在考えられる小発電(太陽光、風力、地熱、小水力など)の推進は、ダウンサイジングされたエネルギー政策として推進を加速させるべきであることは言を俟たないところです。いわば、大局的なエネルギー政策ではあっても実施主体は地方で積極的に進められなければならないことになります。

 昨日富士通総研が出している政策研究の中で、「地域経済活性化に向けた地方自治体における包括的エネルギー政策」(若生幸也)の事例研究が載っていました。重要な点は、包括的なエネルギー政策をつくる上において、地域経済の活性化を考えることが大切で地域内資金の循環がなければならないということです。大規模事業者(地域外)の参入は資金及び利益流出が考えられることから地域の活性化には必ずしも好ましくないことになります。「地域的価値を高める仕組みを地方自治体が構想しない限り、地域に賦存するエネルギーが価値化ができたとしても、その利益は地域外に流出する恐れがある。この点を留意しつつ、地方自治体における包括的エネルギー政策を構築することが望まれる。」(抜粋)

 今日の新聞報道で、地域のある企業が自分の地域内の遊休地に2億円ほどの地域の企業による設備投資で太陽光発電をすると発表しました。現在の地域の行政の補助制度は、各家庭の太陽光発電しか行われていませんが、こうした地域内で完結する資金循環の事業に対しては何らかの補助制度が必要ではないかと感じました。それは包括的エネルギー政策に含まれてもよいかと考えます。

 エネルギー政策は国の政策であるという考えではなく、地域の活性化と結び付ける政策として積極的に進める必要があります。確かに太陽光発電といっても実績がないことから不安定な事業であるかもしれませんが、今できることを大局的にかつ迅速に行っていくのが行政の役割です。また、中央においても、地方の活性化、地方分権を念頭に大局的なエネルギー政策を進めていただきたいものです。

以上