先日、岐阜新聞に「漂流続ける現代美術~ベネチア・ビエンナーレ報告」として寄稿された長澤知明先生の報告会に参加しました。
その時の長澤先生に宛てた感想を以下添付いたします。
『美術については全く素人の私でもいろいろ考えさせられ、現代美術の奥深さの一端を知ることができたとても興味あるお話でした。美術でも文学でも芸術は、作者の表現によるメッセージが重要だと思っていますが、欧米と日本の違いを知り、その違いからくる現代美術の見方も勉強させていただきました。<o:p></o:p>
欧米の政治的メッセージを表現した作品の説明を聞きながら、やはり、今ヨーロッパに胎動し始めている保守的な政治動向に連動(反動?)しているのではないか言うのが最初の感想です。そうした社会性、むしろ政治性にヨーロッパの人たちが何か不安を感じていることに、欧米の現代美術の作者は敏感に感じ取っているということでしょう。いっぽうで日本の現代美術には、ご説明いただいた5つのタブー(天皇制、戦争、差別、宗教、原爆)があるとは思いもよりませんでした。果たして日本人は、それだけ平和であるということか、そうしたことに無関心なのか、政治的メッセージが嫌われるのか、それとも美の表現というものを重きにおいているのだろうか、ということを考えてしまいました。<o:p></o:p>
正直を言って、現代美術が政治性を表現するものという認識もあまりありませんでしたので、今後の見方が大きく変わってくると思います。考えてみれば、『現代』というからにはその時代を反映する表現があってしかるべきです。学校で教えられてきた固定観念的な美術という考え方から、一歩大きく前進させていただきました。同質性の強い日本人にとって、異質なものをどう受け入れていくかが課題だと思っており、美術の世界でもそうした動向が興味あるところです。ひいては、いろいろな意味で私の属する世界でもある「政治の責任」ということも考えさせられた次第です。』
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