「3-4X10月」 1990年 日本
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監督 北野武
出演 小野昌彦 ビートたけし 石田ゆり子 井口薫仁
飯塚実 布施絵里 芦川誠 鈴木浩 青木隆彦
豊川悦司 鶴田忍 小沢仁志 井川比佐志
ベンガル ジョニー大倉 渡嘉敷勝男
ストーリー
ガソリンスタンドに勤めている雅樹は、野球チーム“イーグルス”に所属している。
試合が終わってガソリンスタンドに戻った雅樹は、暴力団大友組組員・金井の車の洗車を押し付けられるが、トロい雅樹はウロウロするばかり。
逆上した金井に殴られた雅樹は、負けじと殴り返そうとするが軽くいなされてしまう。
さらに金井は「骨が折れた!」と騒ぎ出し、ガソリンスタンドをゆするのだった。
そんな時、元大友組組員のスナック“イーグル”のマスター・隆志は、雅樹とガソリンスタンドを救うために立ち上がる決心をするが、逆にやられてしまう。
そして対立は、大友組とイーグルスの抗争に発展する。
雅樹は拳銃を手に入れる為、イーグルスの仲間・和男と共に沖縄へ向かう。
そこでふとしたことから出会った二人のチンピラヤクザ上原と玉城と行動を共にする雅樹らは、上原に金を渡して拳銃の入手を頼み込む。
こうして拳銃を手に入れた雅樹と和男は東京に戻るが、隆志は行方不明。
和男、朗、雅樹の三人は、大友組の様子を探りに行くが、和男と朗がメタメタにやられてしまう。
一人逃げ延びた雅樹は、ガソリンスタンドからタンクローリーを盗み、恋人・サヤカと共に大友組の事務所に突っ込んでいく・・・。
寸評
この映画は色々な解釈ができる不思議な作品である。
描き方も始まりと結末を見せて中間を省略するというもので、その描き方も妙な感覚をもたらす。
もう一つの特徴はセリフが何度も繰り返されたり、行動も必要以上に繰り返し行われるという演出方法である。
そこから受けるものは非現実的な印象でリアリティがない。
映画は雅樹の 小野昌彦がトイレから出てくるところから始まり、再び雅樹がトイレから出てくるところで終わる。
これは私見ではあるが、最初と最後の間に描かれた突拍子もない出来事は雅樹が見た夢、もしくは願望だったのではないかとの思いに至る。
腕力のない者が強い奴をやっつける幻想を抱くのも、思いを寄せる可愛い子とベッドを共にすることを夢想することも十分すぎるほど理解できるものだ。
雅樹はダメ男である。
草野球チームでは補欠で出番もなく便利使いされている。
いつか大逆転のホームランを打って皆を見返してやりたいと思っているのだ。
彼は喫茶店の美人ウエイトレスである 石田ゆり子に秘かな想いを寄せているが声をかけることもできない。
ガソリンスタンドに勤めている彼は、仕事ができるわけではなく仲間から疎んじられているし、クレーマーのような客にも手を焼いているのだろう。
精神的にもまいっている彼は体調を壊して無断欠勤をして神経性の下痢になっている。
そうした鬱積した気持ちは空想の中でしか晴らすことができない。
そんな雅樹像を僕は想像する。
前半は雅樹と井口(ガダルカナル・タカ)が中心で、草野球とアルバイトという日常に、ヤクザがからんだ暴力の非日常が描かれる。
井口は元暴力団の組員でかなりの地位だったようだが今はスナックのマスターをしていて、雅樹が持っていない腕力を持っている。
ヤクザの大友組に絡まれた雅樹は元大友組の顔だった井口に助けてもらうが、その井口もやがて大友組の連中にやられてしまう。
そうなっては雅樹自身が力ずくで解決しなければならない。
その為に繰り広げられるのが後半部分ともいえる沖縄編である。
沖縄では雅樹と和男(ダンカン)の行動と、沖縄連合組長の豊川悦司ともめている上原(ビートたけし)と弟分の玉城(渡嘉敷勝男)の話が繰り広げられる。
沖縄の空港で玉城は雅樹と再会を約束して別れたあと、雅樹が渡された土産を確認する間に上原と共にヤクザに射殺されるシーンが挿入されるのだが、これも雅樹の空想の世界だったように思う。
極めつけは雅樹が石田ゆり子を道連れにしてタンクローリーで大友組の事務所に突っ込むシーンだ。
石田ゆり子が一緒に死んでくれるなんて、雅樹の空想の世界でしかありえない。
全てが雅樹の夢物語だったような気がするのである。
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監督 北野武
出演 小野昌彦 ビートたけし 石田ゆり子 井口薫仁
飯塚実 布施絵里 芦川誠 鈴木浩 青木隆彦
豊川悦司 鶴田忍 小沢仁志 井川比佐志
ベンガル ジョニー大倉 渡嘉敷勝男
ストーリー
ガソリンスタンドに勤めている雅樹は、野球チーム“イーグルス”に所属している。
試合が終わってガソリンスタンドに戻った雅樹は、暴力団大友組組員・金井の車の洗車を押し付けられるが、トロい雅樹はウロウロするばかり。
逆上した金井に殴られた雅樹は、負けじと殴り返そうとするが軽くいなされてしまう。
さらに金井は「骨が折れた!」と騒ぎ出し、ガソリンスタンドをゆするのだった。
そんな時、元大友組組員のスナック“イーグル”のマスター・隆志は、雅樹とガソリンスタンドを救うために立ち上がる決心をするが、逆にやられてしまう。
そして対立は、大友組とイーグルスの抗争に発展する。
雅樹は拳銃を手に入れる為、イーグルスの仲間・和男と共に沖縄へ向かう。
そこでふとしたことから出会った二人のチンピラヤクザ上原と玉城と行動を共にする雅樹らは、上原に金を渡して拳銃の入手を頼み込む。
こうして拳銃を手に入れた雅樹と和男は東京に戻るが、隆志は行方不明。
和男、朗、雅樹の三人は、大友組の様子を探りに行くが、和男と朗がメタメタにやられてしまう。
一人逃げ延びた雅樹は、ガソリンスタンドからタンクローリーを盗み、恋人・サヤカと共に大友組の事務所に突っ込んでいく・・・。
寸評
この映画は色々な解釈ができる不思議な作品である。
描き方も始まりと結末を見せて中間を省略するというもので、その描き方も妙な感覚をもたらす。
もう一つの特徴はセリフが何度も繰り返されたり、行動も必要以上に繰り返し行われるという演出方法である。
そこから受けるものは非現実的な印象でリアリティがない。
映画は雅樹の 小野昌彦がトイレから出てくるところから始まり、再び雅樹がトイレから出てくるところで終わる。
これは私見ではあるが、最初と最後の間に描かれた突拍子もない出来事は雅樹が見た夢、もしくは願望だったのではないかとの思いに至る。
腕力のない者が強い奴をやっつける幻想を抱くのも、思いを寄せる可愛い子とベッドを共にすることを夢想することも十分すぎるほど理解できるものだ。
雅樹はダメ男である。
草野球チームでは補欠で出番もなく便利使いされている。
いつか大逆転のホームランを打って皆を見返してやりたいと思っているのだ。
彼は喫茶店の美人ウエイトレスである 石田ゆり子に秘かな想いを寄せているが声をかけることもできない。
ガソリンスタンドに勤めている彼は、仕事ができるわけではなく仲間から疎んじられているし、クレーマーのような客にも手を焼いているのだろう。
精神的にもまいっている彼は体調を壊して無断欠勤をして神経性の下痢になっている。
そうした鬱積した気持ちは空想の中でしか晴らすことができない。
そんな雅樹像を僕は想像する。
前半は雅樹と井口(ガダルカナル・タカ)が中心で、草野球とアルバイトという日常に、ヤクザがからんだ暴力の非日常が描かれる。
井口は元暴力団の組員でかなりの地位だったようだが今はスナックのマスターをしていて、雅樹が持っていない腕力を持っている。
ヤクザの大友組に絡まれた雅樹は元大友組の顔だった井口に助けてもらうが、その井口もやがて大友組の連中にやられてしまう。
そうなっては雅樹自身が力ずくで解決しなければならない。
その為に繰り広げられるのが後半部分ともいえる沖縄編である。
沖縄では雅樹と和男(ダンカン)の行動と、沖縄連合組長の豊川悦司ともめている上原(ビートたけし)と弟分の玉城(渡嘉敷勝男)の話が繰り広げられる。
沖縄の空港で玉城は雅樹と再会を約束して別れたあと、雅樹が渡された土産を確認する間に上原と共にヤクザに射殺されるシーンが挿入されるのだが、これも雅樹の空想の世界だったように思う。
極めつけは雅樹が石田ゆり子を道連れにしてタンクローリーで大友組の事務所に突っ込むシーンだ。
石田ゆり子が一緒に死んでくれるなんて、雅樹の空想の世界でしかありえない。
全てが雅樹の夢物語だったような気がするのである。