どうしても忘れなれない事がある。
今でも時々思い出す…。
それはまだ私が社会人1年生の頃だからもう20年くらい前の事である。
まだまだ青二才でいきがっていてバイクに乗っていた。
10くらい上の先輩から「うちのチームで走り行くけどついて来るか?」と誘われた。
愛車はSRX6だったがこんなおじさんチームについて行っても面白くないと思った。
バイクは速くないと…、トロトロなんて走っていられるか!
ちょっとだけ腕に自信があったので鼻で笑っていたのだ。
が、思いはスタートしてすぐに崩れ去った。
どんなに追っかけても追っつかない。
みんな30代から50近い親父ばかりなのにまったく相手にしてもらえない。
終いには見えなくなり曲がり角で待ってもらって道案内を請うことに…。
その時初めて自分の独りよがりを知った…。
その後2、3回一緒に走ったがまったく敵わなかったし
無理している自分が解かってきた。
自分とは違うスタイルのバイク乗りなんだ。
そう感じた。
そして一緒に走る事はなくなった。
でも心の中ではいつでも走りの先生だった。
そしてしばらくして
中でも運転がうまく仲間から信頼もあった方が亡くなった。
コーナーで仲間のバイクを抜いて前に出た所に対向車があったのだ。
私はそれ程親しくなかったので葬儀には参加する事はなかったが
先輩は白い煙となって天に昇っていくのを見守ったらしい。
初七日の時、奥様から形見にと普段仕事で使っていたカブを頂いた。
「好きなバイクで逝ったんだから、きっと幸せだったんでしょう」
と言われたと私に語った。
でも私はそれは違うと思った。
私はバイクは大好きだ!
いろんな所に連れってくれるし、素敵な仲間も紹介してくれた。
こけて怪我した事もあったし、雨の中走って風邪をひいた事もあって
辛い思いも嫌な気分にもなった事があったが
でも今まで乗ってきたしこれからもきっと乗り続けるだろう。
だから私は好きなバイクで絶対死んではいけないし
好きなバイクで逝っても満足できる訳が無いと思っている。
だから私は好きなバイクで絶対死なない。
まだまだバイクで行きたい所もあるし、仲間も増やしたいから。
リスクヘッジが難しいバイク
ちょっとだけ大人になって少しは自分自身が解かってきた。
ブラックアウトしそうな自分の手前に自分を見ているもう一人の自分がいるのだ。
気持ちのいい速度は自分の心が知っているのだ。
これからもずっとバイクに乗っていくので自分の速度で乗っていく。
そう、今でも時々思い出す事がある。