4.
遠い昔、トートはアルルの門の前に立った。
トートは礼を守って、蛇状のドラムを使い、紫と金色の衣を着、銀の冠を頭に置いた姿だった。そして、トートは体のまわりを辰砂の円で囲んだ。
トートは両腕をあげ、境界 を越えた界への道を開く祈願を叫んだ。
「二水辺線の主たちよ、三重の門の看守者たちよ、王座にのぼりて己が宝を納める星の如く、一人は右に一人は左に立ちたまえ。しかり、御身アルルの暗黒王子よ。ほの暗く隠れし諸門を開きたまえ。御身が幽閉せし彼女を解き放ちたまえ。」
時間だけが過ぎていった。
「御身よ聞きたまえ。御身よ聞きたまえ。暗黒の主よ。輝ける者よ。その名を我が知りとなえ得る御身たちが秘密の名によりて、聞きてわが意図に従いたまえ」
トートはアルルの主たちの秘密の名に命じた。主たちの秘密の名によってアルルの諸力は屈した。
それからトートは、 辰砂 の円を炎でともし、超越界の空間諸界にいる彼女に呼びかけた。
「光の娘よ、アルルより帰れ。7回また、7回私は火のなかを通過した。わたしは、食物をとらず、水も飲まなかった。私は汝をアルルより、エケルシェガルの王国より呼び出す。光の婦人よ」
トートは断食をして、何回も何回もこの行法を繰り返した。
やがて、トートの前にほの暗い姿が浮かび上がった。アルルの主たちだった。
そして、アルルの主たちの姿がトートの前から消えたとき、あたりが光で包まれた。
光の娘が現れたのだ。ジーン・ウールは、今や夜の主たちから解放され、霊ではなく肉体をもって生きることが出来るようになった。
遠い昔、トートはアルルの門の前に立った。
トートは礼を守って、蛇状のドラムを使い、紫と金色の衣を着、銀の冠を頭に置いた姿だった。そして、トートは体のまわりを辰砂の円で囲んだ。
トートは両腕をあげ、境界 を越えた界への道を開く祈願を叫んだ。
「二水辺線の主たちよ、三重の門の看守者たちよ、王座にのぼりて己が宝を納める星の如く、一人は右に一人は左に立ちたまえ。しかり、御身アルルの暗黒王子よ。ほの暗く隠れし諸門を開きたまえ。御身が幽閉せし彼女を解き放ちたまえ。」
時間だけが過ぎていった。
「御身よ聞きたまえ。御身よ聞きたまえ。暗黒の主よ。輝ける者よ。その名を我が知りとなえ得る御身たちが秘密の名によりて、聞きてわが意図に従いたまえ」
トートはアルルの主たちの秘密の名に命じた。主たちの秘密の名によってアルルの諸力は屈した。
それからトートは、 辰砂 の円を炎でともし、超越界の空間諸界にいる彼女に呼びかけた。
「光の娘よ、アルルより帰れ。7回また、7回私は火のなかを通過した。わたしは、食物をとらず、水も飲まなかった。私は汝をアルルより、エケルシェガルの王国より呼び出す。光の婦人よ」
トートは断食をして、何回も何回もこの行法を繰り返した。
やがて、トートの前にほの暗い姿が浮かび上がった。アルルの主たちだった。
そして、アルルの主たちの姿がトートの前から消えたとき、あたりが光で包まれた。
光の娘が現れたのだ。ジーン・ウールは、今や夜の主たちから解放され、霊ではなく肉体をもって生きることが出来るようになった。