ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

エメラルド・タブレット 9

2006-10-01 21:19:34 | エメラルドタブレット
9.
ジーン・ウールの脳裏に昔のいろいろな出来事が浮かんできた。
いつも何かに守られていた。それは感じていたのだ。
いけない、いけない。ジーン・ウールは頭から誘惑を追い払った。
そのマントラムは、『住者』に禁止されていたマントラムだった。

 アメンティーのホールで権威、強力、強大なことばを沈黙の静けさの中で厳かに聞いた。
『住者』に伴って、諸サイクルの道を開くことば、諸サイクルの歌を聞いた。
そして一瞬かいま見たのだ。巨大な円が天空をよぎり回転し、想像もできない目的に向かって成長していく宇宙サイクルの姿を。

諸サイクルの歌の響きの中に、隠された諸界への道を開く鍵があった。


 風の精のシルフェーが高い空から舞い降りてくる。
荒野に乙女がいた。でも、不思議なことに、あたりは赤茶けた荒野なのに、乙女のまわりには緑が芽吹き、花が咲き、小鳥が歌っていた。
可愛い乙女は花かんむり。小さなカゴにはオリバナムの樹脂のついた小枝を集めていた。透き通ったきれいな歌声が流れてくる。

シルフェーよ、伝えておくれ。
夢に出てくるあの方へ。
黄金のような髪の色。コバルトブルーの深い瞳。
優しい眼差しのあの方は、きっときっと運命のお方。魂の半分。
いつか巡り会えると、約束しておくれ。
心の中で思うだけで、小さなさざ波が、大きく大きく広がってゆく。
きっとあの方に届くわね。
空の星たちも、あの方に伝えてね。
あなたを思う魂の半分が、あなたが現れて助け出して下さることを、祈ります。
シリウスよ。ジーン・ウールの願い、どうぞ叶えて下さいまし。

シルフェーは、乙女のもとから歌声をもらって、また空高く昇っていった。

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