3.
愛らしく美しい娘がいた。空を飛ぶ鳥たちも、野に咲く花の精たちも娘が大好きだった。湖畔にたたずめば湖の魚が寄ってくるほどだった。
嘘のような本当の話だ。
父親は、祭司階級の高官で 目の中に入れてもいいほど娘を可愛がっていた。
娘は、遠くの物音を聞いていた。
最近、不思議な出来事が続いていた。夜になると夜空に光の帯が現れて一晩中生きているように揺れ動いた。物音ひとつしない真夜中の光の乱舞だ。
それが今夜は何かが聞こえる。
「お父様、一体何がおきているのでしょう。」不安げに娘は、父親に聞いた。
「ギオルの者どもが、下位サイクルの力を使おうとしておるのだ。」
「いかん、いかん門を開けてはならん・・・」
「お父様、何の門なのですか?」
「アルルの門じゃ。・・ギオルの者が黒い力を使おうとして、大地が怒っておる。」
父親はわなわなと震えていたように見えた。
娘は夜空を見上げた。
空気までが緊張し、ビシビシ音を立てた。地の底から恐ろしい音が響いてきた。
グゥオン、グゥオン。
そして、夜空で瞬いているすべての星が雨のように流れた。
地球のなかで動いていた光のピラミッドが道を変えたのだ。
磁極はかわり、ぐるりと星が動いた。
北極の氷は暖かい熱帯の太陽に照らされた。
やがて、地球上のすべてが水の中に没した。
トートが、エジプトにやってくるもっと昔の話。ずっと昔だ。
愛らしく美しい娘がいた。空を飛ぶ鳥たちも、野に咲く花の精たちも娘が大好きだった。湖畔にたたずめば湖の魚が寄ってくるほどだった。
嘘のような本当の話だ。
父親は、祭司階級の高官で 目の中に入れてもいいほど娘を可愛がっていた。
娘は、遠くの物音を聞いていた。
最近、不思議な出来事が続いていた。夜になると夜空に光の帯が現れて一晩中生きているように揺れ動いた。物音ひとつしない真夜中の光の乱舞だ。
それが今夜は何かが聞こえる。
「お父様、一体何がおきているのでしょう。」不安げに娘は、父親に聞いた。
「ギオルの者どもが、下位サイクルの力を使おうとしておるのだ。」
「いかん、いかん門を開けてはならん・・・」
「お父様、何の門なのですか?」
「アルルの門じゃ。・・ギオルの者が黒い力を使おうとして、大地が怒っておる。」
父親はわなわなと震えていたように見えた。
娘は夜空を見上げた。
空気までが緊張し、ビシビシ音を立てた。地の底から恐ろしい音が響いてきた。
グゥオン、グゥオン。
そして、夜空で瞬いているすべての星が雨のように流れた。
地球のなかで動いていた光のピラミッドが道を変えたのだ。
磁極はかわり、ぐるりと星が動いた。
北極の氷は暖かい熱帯の太陽に照らされた。
やがて、地球上のすべてが水の中に没した。
トートが、エジプトにやってくるもっと昔の話。ずっと昔だ。