ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

エメラルド・タブレット 6

2006-09-28 06:23:29 | エメラルドタブレット
6.
 今日のジーン・ウールは、ぼんやりと夜空を見上げた。
そして、白く輝いている星、「金星」を見つめた。
 いつも胸騒ぎがする。
なんだか分からないけれど、「金星」にはジーン・ウールを待っている何かがある。

「誰?私を呼ぶのは・・・」
風が通り抜けて答えていく。「私ではありません・・・」

「誰?私を呼ぶのは・・・」
大地がつぶやく。「私ではない。・・・」

川のほとりでも声がする。
「誰?私を呼ぶのは・・・」
川がさざめいて水音をたてる。「私ではありません・・・」

灯火がジジジとかすかな音を立てる。
「誰?私を呼ぶのは・・・」
ランプの灯火がつぶやく。「私ではありません・・・」

「ヘヘヘ、ジーン・ウールさま。私はあなた様の僕(しもべ)でございます」
振り返ると、そこに小さなお爺さんがいた。
暗闇の中にボウと現れたような、小さな年寄りだった。

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