ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

エメラルド・タブレット 7

2006-09-29 06:18:00 | エメラルドタブレット
7.
 ジーン・ウールのいる場所は、誰も来られない筈の秘密の場所だった。
「あなたは、誰?」ジーン・ウールは驚いていった。
老人は、三角頭巾のような帽子を手に取り慇懃に礼をした。
「へい。あなた様は知りますまいが、お父上にお仕えしたものでございます」
老人は、地の精のようだった。
「もしそうであるなら、名前は?」
「・・・・」
「本当の名前を言ってください。あなたの真実の名前を。真実の名前を名乗ればあなたを信用しましょう。」
名前には、通り名と真実の名前がある。真実の名前は誰にも明かしてはならなかった。
「ククブスともうしやす。」
「誰にも会わないこの場所で、どうしてあなたがいるのですか?」
「へいへい。それはあなた様がお望みになったからでございますよ」
「私が、あなたを呼んだというの?」
「へへへ、あなた様は魔法を体得されたではありませんか。何を躊躇しておいでなのです」
「どうゆう事なの?」
「金星をご覧になりたいのでございましょう。わたくしめは知っておりまするぞ」
「いいえ、今目の前に見える金星に行くことだったら、すぐにでも出来るのです。私の知りたいのは、この宇宙の金星ではないのです。未来です。この宇宙が終わって、新しく始まる宇宙です。・・・未来からメッセージが来るのです・・でも私には分からないのです」ジーン・ウールは、悲しそうに目を伏せた。
「ふぉっふぉっふぉっ」老人は歯のない口を開けて笑った。
口の中は真っ暗で、冷たい風が吹いてきたが、ジーン・ウールはその時気がつかなかった。
老人が指さすその先に、古ぼけた一冊の本があった。
「秘密中の秘密、上位サイクルに行く方法が書かれていますわい」
ジーン・ウールが本を手にとって振り返ると、老人はどこにもいなかった。

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