17-346「予兆 散歩する侵略者 劇場版」（日本）

あなたは低レベルな人間ですか
　同僚の浅川みゆきから“家に幽霊がいる”と相談を受けた山際悦子は、夫の辰雄が務める病院の心療内科にみゆきを連れて行き、彼女が“家族”という概念を欠落させている、という不可解な診断結果を聞き当惑する。
　その一方で、病院で遭遇した新任の外科医・真壁司郎に違和感を抱き、彼と行動を共にする辰雄の異変に不安を募らせていく悦子だったが。（「allcinema」より）


　先に公開された「散歩する侵略者」のアナザー・ストーリーとして製作された作品。

　元々はＴＶ放映だったものを劇場用として編集、公開したものである。


　職場で同僚の女性、浅川みゆきから、家に幽霊がいる、と相談される山際悦子。
　
　悦子は自宅へと彼女を連れてくるが、夫である辰雄が帰ってきた時、みゆきは彼の姿を見て、異常に怯える。

　その様子を見た時は、辰雄が体を侵略者に乗っ取られ、侵略者としての雰囲気をみゆきが感じ取ったのかなと思ったな。

　辰雄も冒頭からちょっと様子がおかしい感じで、侵略者なのかなという印象。

　しかし、その後辰雄の勤める病院で、外科医の真壁司郎が現れると、悦子は言いようのない違和感を覚える。

　この真壁が侵略者であり、辰雄はそのガイドとなっていることが判り、辰雄が選んだ相手から真壁が概念を奪っている。

　この真壁を演じたのが、東出昌大。
　オリジナルでも東出昌大は出演しており、話が何か繋がっていくのかなと、ちょっと期待したかな。

　辰雄はガイドをして、選んだ相手が概念を奪われることに身も心も痛みを感じ、苦しんでいく。
　そんな辰雄を何とか救おうとする悦子。

　悦子が何か特別な人間ということで、侵略者と対峙していくことになる終盤。

　果たして、悦子は真壁を退け、辰雄を救うことができるのか。

　地球が侵略されるかもしれないという中で、一人の侵略者と対決することになる悦子。

　なかなか緊迫もして面白い展開の作品だった。


　悦子の職場の上司の妻が現れるシーンの映像は、黒沢監督らしい表現で、恐怖を感じたな。

/５

監督：黒沢清
出演：夏帆、染谷将太、東出昌大、中村映里子、岸井ゆきの、安井順平、石橋けい
　　　　吉岡睦雄、大塚ヒロタ、千葉哲也、諏訪太朗、渡辺真起子、中村まこと、大杉漣
於：新宿ピカデリー