花咲く丘の高校生

平成時代の高校の授業風景を紹介したり、演歌の歌詞などを英語にしてみたり。

一茶英訳-うそうそと

2024-04-18 | 翻訳
うそうそと雨降るなかを春の蝶(小林一茶)

 うそうそと あめふるなかを はるのちょう
 In the restless rain   Look, a spring butterfly is    Fluttering about
直訳:絶え間のない雨のなかで ごらん、春の蝶が ひらひら飛んでいるよ
注:restless[ストレス] 休まない、絶え間ない、落ち着かない、
 flutter[フタ] 羽ばたきする、ひらひら舞う flutter aboutひらひら飛び回る 

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できないことはボケのせい、自分のせいではない

2024-04-05 | 知っておきたい話
『自分が高齢になるということ』和田秀樹(新講社)より、そのまま引用しました

できないことはボケのせい、自分のせいではない
 今の時点で、きちんとみにつけておきたい考え方を一つ、書いておきます。
 認知症を恐れる気持ちは「できないこと」が増えてくるという不安から生まれます。プライドの高い人ほど、この不安も大きいのです。
 でも、男女を問わず、たとえ認知症になっても物怖じすることなくできることをやり続けたり、できないことは遠慮なく周囲の助けを借りて実行している人がいます。そういう人たちに共通するのは、どんなにできないことや不自由に感じることがあっても、それは自分のせいではないと割り切ってしまうことです。
「わたしがダメになったんじゃない。これはボケのせいで、わたしのせいじゃない」この理屈は正しいのです。
 その人が本来備えている能力や技術、できることはすべて、その人の中には変わらずにあります。
 認知症がそれを邪魔しているだけで、べつに本人がダメになったわけではありません。つまり状態は状態、「自分は自分」という割り切りさえ持てれば、たとえボケてもいままでと同じように動いたり、やりたいことに挑戦してみることができるはずです。
 当然、他人に助けてもらうとか教えてもらうということにも抵抗感などありません。どんどん動いて自分の世界を広げていきます。
 そういう人たちに比べたら、ボケてもいないのにプライドにこだわって、他人に教えてもらうのを嫌がる人なんか「小さい、小さい」ですね。本人は誇り高い人間のつもりかもしれませんが、たぶん、元気なボケ老人から笑われてしまうでしょう。



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春秋のさだめ(4/4)

2024-03-27 | 更級日記英訳
更級日記より

春秋のさだめ(4/4)
私(菅原孝標女)の歌:
あさ緑 花もひとつに かすみつつ おぼろに見ゆる 春の夜の月

 資通卿は、私の歌を何回も口の中で繰り返されたあと、
  今宵より のちの命の もしあらば さは春の夜を 形見とおもはむ
 
 すると、秋の夜が好きといった女官が、
  人はみな 春に心を よせつめり 我のみや見む 秋の夜の月

 After Lord Yoshimichi repeated my poem over and over again,
      If I were to live long after    I would think of  spring night 
      As a memento of  meeting   And talking you stories  

 Then the lady-in-waiting who said she liked autumn nights,
      Both of you seem eager about spring    I'll be the only one
      Looking at the moon alone     On an autumn night
すると、資通卿は、
「うん、これは、なかなかおもしろそうだな」と興がって、どちらにつくか、決めかねておいでのようである。お年は38歳。ダンディな男ぶりだが、浮ついたところがなく、しっとりとして、このもしいお人柄に見える。歌や蹴鞠にすぐれ、琵琶の姪shとしても知られる、当代きっての文化人であった。
  Then, Lord Sukemichi became excited and said, "Yes, this looks quite interesting." And seemed unable to decide whch side to take. His age is 38. He is dandy, but has a gentle, pleasant personality without being too pretentious. He excels at poetry and kemari, and is known as a master of biwa. He is one of the most cultural figures in our time.

 資通卿とは、そのまま別れたが、それにしてもずいぶん長話をしたものだ。資通卿は、私が誰かということも、ご存じないままであった。私のほうも、誰とも知られまいとしていた。
 I parted with Lord Sukemichi on the spot, but anyway, we had quite a long talk. He didn't even know  who I was. I didn't want him to know about me either.
                     『春秋のさだめ』終わり
 訪問していただき、ありがとうございました。(ゆ~)
『更級日記』藤原定家写本の原本は皇居三の丸尚蔵館に所蔵されています。
尚蔵館開館記念展が開催されていれば見学できます(令和6年度も企画展が開催されているようです)



   


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春秋のさだめ-(3)

2024-03-24 | 古典英訳
春秋のさだめ(3)       
        菅原孝標女の歌(新古今集56番歌)                          あさ緑 花もひとつに かすみつつ おぼろに見ゆる 春の夜の月                       
「とはいうものの、冬の夜もなかなか捨てがたいものですよ。降り積もった雪の上に寒月が照り映える夜、ひちりきの音がふるえるように聞こえてくると、春も秋もいっぺんに消し飛んでしまうほど、心ひかれますからね」と話し続けたあと、資通卿は私たち二人の顔をながめ、「あなたがたは、どの季節がお好きですか」と聞かれた。一緒にいた女官が、「私は秋ですわ」と答えたので、私は同じことをいうのもつまらないと思い、歌でこう答えた。
  あさ緑 花もひとつに かすみつつ おぼろに見ゆる 春の夜の月
" However,  winter nights are also hard to let go of.  On a night when the cold moon shines on the fallen snow, you hear the trembling sound of a  hichiriki.
 It's so captivating that spring and autumn disappear all at once."  Lord Sukemichi kept saying , and then he looked at both of us , saying,"Which season do you like?"
 The lady-in-waiting with me replied, "I love autumn."
 I thought it would be boring to say the same thing, so I responded in poetry:
       Under the pale green sky   Cherry blossoms appear vaguely
       I love the hazy moon          On spring nights
 
 
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春秋のさだめ(2)

2024-03-14 | 古典英訳
更級日記より・・日本人の繊細な情感を外国の人にもくみ取ってもらえるといいけど...
 すけみち卿の春秋観
(引込思案な私だが、すけみち卿とは話がはずんだ)
すると資通卿は、
「私のまだ知らない、あなたのようなかたがいらっしゃったのですね」と私のことをめずらしがられ、、なかなか席を立たれようとしない。折からぱらついてきた時雨が、木の葉をかきならしていくのを、「今夜のような闇夜も、かえって風情がありますね。月があかるいと、相手の顔が見えすぎて、きまりが悪いこともありますから」といわれ、さらに春や秋の季節の眺めに、話題を移された」
 Then Lord Sukemichi became curious about me and said, "There is someone like you here I don't know yet." and he didn't want to leave his seat. The shower that began to fall then was rustling the leaves of the trees. Listning to it, he said,
"Even on a dark night like tonight, there is rather a certain elegance. When the moon is bright, you can see the other person's face too much and it can be awkward."
 He then moved his topic on to the views of the spring and autumn seasons.

「春はやはり霞がたつのが、いいですね。空がのどかに霞みわたり、月もおぼろで明るくはないけど、すみずみまでが夢まぼろしのように、ぼかされて見える。そんなとき、ゆるやかに弾き鳴らす琵琶の音が、どこからか聞こえてくるのは、ほんとうにいいものですよ」
 "It's nice to see a haze in spring. The sky is balmy and hazy, and the moon is dim and not bright, but every corner seems blurred like an illusion. At such times, it's really nice to hear the gentle sound of biwa being played from somewhere.
秋は秋で、澄み切った月が手に取るばかりで、空に霧などがかかっていても、陰らすことさえできないような夜は、風の音、虫の声さえもかさなって、哀切きわまりない心地にさせられます。
  そんなとき、琴がかき鳴らされ、横笛が吹き澄まされるのを聞くと、「春はどこがいいのだろう」と思ってしまいます。」
 Autumn is autumn, when the clear moon is just on the palm of your hand, and even the fog in the sky cannot hide it, the sound of the wind and the chirps of insects overlap, making you feel extremely sad. 
 At such times, when I hear the koto being strummed and flute being blown clear, I find myself thinking, "What good is spring?"
森山京著『土佐日記・更級日記』よりーSaeko Yamashitaさんの朗読も参考にしていますー


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