ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

キャピタリズム マネーは踊る

2009-11-10 22:55:59 | か行
現在発売中のAERAに
番長の「千年の祈り」(11/14公開)監督インタビュー載ってます。
いい映画です!ぜひ。


で、今日はマイケル・ムーア監督の新作


「キャピタリズム マネーは踊る」79点★★★


一般試写で見たのですが
前の席のお母さんがたがエラくウケてました。
上映後は会場から盛大な拍手。

日本人のドキュメンタリーへの意識と
笑いのセンスもここまで向上したのかと感慨深かったです。


それもこれも

銃問題、ブッシュ政権、医療問題と
さまざまな問題提起を
“笑えるドキュメンタリー”として提供し続ける
ムーア監督の功績でありんす。

本当にエライ!と、実感しました。


しかも今回のテーマはキャピタリズム(資本主義)という
今までにまして根源的で大きな問題。

なぜ金融危機が起こったのか
なぜサブプライム・ローン問題が起こったのか

一見難しそうな話をいつもどおり
わかりやすく伝える手腕は相変わらず冴えている。

そのまんま流せば退屈な専門家のインタビューも
彼の絶妙な間合いの一人突っ込みが入るだけで
生き生きとしてくるんです。


「デリバティブ」について懸命に解説する
金融会社社員の横で
ポカーンと口をあけている
ムーア監督が写るだけで、みんな大爆笑ですから(笑)。


昔の映画やニュース映像からの
皮肉たっぷりの引用もうまく

ユーモアを効かせつつも観客に
シリアスな警告と正しい行動や選択をうながしてます。


さらに最先端の革新派ムーア監督でさえも
オバマ政権誕生までの変化のスピードに驚いている様子が
伝わってくるのも興味深い。

いままでアメリカで起きたことは
数年後に日本で起こると言われてきたけれど
いまやそのタイムラグはほとんどない。

金融危機も格差も失業も
まんま日本の現実。

いままでのどのテーマよりも
シビアに“他人事でなさ”を感じられると思います。


★12/5からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開


公開直前にはムーア監督が初来日!(予定)
うわお!こりゃ生ムーア、見てくるしかないね!
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする