ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

バスキアのすべて

2010-12-13 14:22:36 | は行
昔観た「バスキア」(1996年)より
断然おもしろかったですねえ。

「バスキアのすべて」79点★★★★


1970年~80年代の
NYアートシーンを駆け抜けた
画家バスキアのドキュメンタリーです。


17歳で彗星のごとく現れ
あのウォーホルやマドンナらに
可愛がられた彼が

27歳でこの世を去るまでを

バスキア本人のインタビューや
制作風景を織り交ぜて綴った
非常に貴重なフィルム。


というのも本作は
当時バスキアの友人だった
タムラ・デイビス監督(女性)が撮影したもの。

彼の突然の死でそのままになっていたものを
20年以上経て公開したそうです。


当事者が
70~80年代のアートシーンの熱気を
「いまだから振り返られる」という
客観性があり

またきらめく才能がどのようにして
世に出ていくものなのかがわかって
実におもしろい。


そしてバスキアの落書きのようなアートが
どうやって生み出されるのか
(決して、テキトーにあらず!)

その方法論と制作方法が
本人の言葉と

さらに評論家の解説で
とてもわかりやすく解き明かされている。


ゆえにきちんとした
“美術評論”でもあるところが
本作の素晴らしいところなのです。

彼の作品を
「現代を読みとくメッセージだ」と評する
老評論家の鋭い解説に
しびれました。

評論家って、すごいなぁ。

こうありたいものですねえ。

ちなみに
「バスキア」(96年)を監督したのは
「潜水服は蝶の夢を見る」(07年)のジュリアン・シュナーベル。
彼もインタビューに答えており

なぜバスキアの映画を撮ったか
話しています。

それを見ながら
シュナーベルがこの時代
超人気アーティストだったことも
改めて思い出した次第です。


★12/18からシネマライズで公開。ほか全国順次公開。

「バスキアのすべて」公式サイト

毎度おなじみ『週刊朝日』ツウの一見で
なんと写真家の操上和美さんに
この映画についてお話を伺いました。

当時、NYで活躍していた操上さんにとっても
バスキアの創作風景などは新鮮だったそう。

12/21発売号で掲載予定と思います。
お楽しみに☆
コメント (2)
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