ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日

2013-01-20 01:50:14 | ら行

想像するどんな“動物モノ”とも違いました。
やっぱりアン・リー監督、だからですかね。


「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」3D版 71点★★★★


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カナダ、モントリオール。

あるライター(レイフ・スポール)が
「おもしろい話が聞けるよ」と紹介され
インド系カナダ人のパイ(イルファン・カーン)を訪ねる。

パイが彼に語り始めたのは、
16歳の自分(スラージ・シャルマ)が経験した
途方もない冒険話。

それは少年がトラと漂流した227日間の物語だった――。

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アカデミー賞11部門ノミネートの話題作。
(音楽&視覚効果賞は、いけるんじゃないかな・・・)


しかし
異常な動物好きとして
「悲しい話なんじゃないの?」と正直、敬遠していたんです。
心ちぎれるの、いやなんだんもん。


でも、この映画は
想像するどんな「動物もの」とも違っていました。

まず
冒険が始まるまで30分以上かかります。
長いです(笑)

主人公の少年とトラが島に漂着するのかと思ったら
ホントに海の上で「漂流」してる。


そして安易に思いがちな
「トラと少年の間に絆と友情が・・・」なんて
ファンタジーに足を突っ込んだような
甘っちょろさは一蹴され
そのへんは実にシビア。

それでも残酷な描写などはうまく避けられており、
見やすい。

シビアな現実と“嘘みたいな”寓話性の融合。
そしてそれを裏付けるスケール感と映像美。


これがディズニーの動物モノだったりしたら
まったくこうはならないだろう、という感じで
一筋縄ではいかなさ加減は、さすが
アン・リー監督、なのでしょうね。


なにより映像がキレイ!
3Dなのに明るい!

夜行生物で光輝く夜の海やクジラ遭遇シーンなど、
リアリティあるんだけど
ファンタジックに美しくもあり、
ネイチャー系の美映像が好みな方には大いにおすすめです。

お話も
「なさそうで、ありそうで、やっぱりない?」と
ちょっと不思議な味わいが残りました。


お子さんのいる方に
「見せて大丈夫?」と聞かれましたが
まったくもってOKだと思います。

動物が生き生きと描かれ、
嵐のなかをゆく小舟などアトラクションなみの迫力だし、
残酷すぎず、少しだけ考えさせる。


ただ、ラストも余韻も含め
どちらかといえば大人向けかなと思います。

また、長すぎるのは否めません。
冒頭20分は優に削れそうなので
そこは惜しいです。


1/25(金)から全国で公開。

「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」公式サイト
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