2011年に大ヒットした
「木洩れ日の家で」(07年)監督の新作です。
「明日の空の向こうに」65点★★★☆
*********************
ときは現代。
ポーランドと国境を接する
旧ソ連(ロシア)の貧しい村で
身よりのない6歳の少年ペチャ(オレグ・ルィバ)は
11歳の兄とその友人と、駅舎で暮らしている。
ある日、ペチャは兄たちが
よりよい暮らしを求めて国境を越え、
ポーランドに行く計画を立てていることを知り――?!
*********************
ロシアからポーランドに逃れようとする孤児たちを
子どもたちの目線から描いた作品です。
冒頭、駅で寝起きし
タバコを吸う6歳少年の姿に
まず誰もが「キッド」(1921年)を思い浮かべるのではないでしょうか。
なにしろ
いつの時代だか定かでなく、状況の説明もないので
いきおい「戦争中?」とか思ってしまう感じ。
しかし
少年たちがペットボトルを拾ったりするので
「え。現代なのか?」とわかる。
こんな過酷な状況が
いま現在もあるのだ、とヒヤリとします。
おねだり上手で世渡り上手な年少のペチャ役の子が
魔性ように巧く、見応えがあります。
子役はみな素人さんだそうですが
監督は相当に子ども使いが上手であることもわかります。
彼らの旅の過程にも悲壮感はなく、
風景も陽光溢れていて美しい。
そのなかで厳しい現実を描いているという
手法には共感できます。
ただ
全編、普通のストーリー進行ではなく、
子供の目線で、情感豊かに描かれるスタイルなので
なかなか目的が明確にならない展開にイラッとしなくもなかった(苦笑)。
それでも、ガラス越しの目線や
なにより「子供を救う」というテーマは
前作と共通していると感じました。
ラストも割と好きかな。
★1/26(土)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。
「明日の空の向こうに」公式サイト