ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ビル・カニンガム&ニューヨーク

2013-05-15 19:36:11 | は行

オーバー70の我が父に勧めました。

こんなふうに、まだまだ現役で
生きがい=仕事に邁進してほしいですからね。


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「ビル・カニンガム&ニューヨーク」74点★★★★


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1960年代から、NYのストリートで
一般人のファッションを撮り続け

ニューヨーク・タイムズ紙にコラム連載を持つ、
写真家ビル・カニンガム(84歳)のドキュメンタリーです。


業界人には有名な人物だけど、
その私生活を知ってる人は皆無らしい。

実際、このドキュメンタリーも
彼の承諾を得るまでに8年(!)もかかっているんだそうです。

そしてカメラがとらえた彼の姿は
まあとにかく
エネルギッシュでチャーミング!


雨の日も、風の日も
NYの街をチャリンコで颯爽と流し
瞬間瞬間を「戦場カメラマンのように」切り取っていく。

ファッションショーにも行き
夜はパーティーを撮影し、と
まさにファッション三昧。

あのアナ・ウィンターも
彼にだけは止まってポーズを取り
「彼に撮られることは名誉」と言うからスゴイ。
しかも「ダメだとスルーされる」んだって(笑)

そう、ビル師匠は
顔は広くても、決してセレブと馴れ合うことはせず
センスは厳しいけれど、悪意やいじわる心はゼロ。

小さなアパートに暮らし、
食事はほとんどファストフードのサンドイッチとコーヒー(笑)という
慎ましやかな暮らし。

それらは決して無理をしたストイックさではなく
自分の審美眼に叶う「イケてる」ものを追い求める彼の
誠実さゆえの、最もやりやすいスタイルなのだ。


それを50年以上やり続け、
いまも生き生きと
ファッションに対する情熱を燃やし続ける姿を見ているだけで
こちらが元気をもらえるんです。


そんなビルが
プライベートな話になったとき、
一瞬声をつまらせるシーンには、グッときましたよ。
いろいろ去来する思いはあったんだろうなア。

ああ、こんなふうに
「仕事じゃなくて喜びだ」と語れる人間になりたい!

がんばるぞ!


★5/18(土)から全国で公開。

「ビル・カニンガム&ニューヨーク」公式サイト
コメント
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