ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

くちづけ

2013-05-18 22:09:57 | か行

観てから、
宅間孝行氏演じる“うーやん”の真似が
と、とまらない・・・(笑)


「くちづけ」71点★★★★


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知的障害を持つ人々が集団で生活する「ひまわり荘」。

常にハイテンションのうーやん(宅間孝行)や仙波さん(嶋田久作)ら
個性的な面々が集まり、日々ワイワイと暮らしている。

そんなある日、
ひまわり荘に、住み込みのスタッフとして
いっぽん(竹中直人)が
娘のマコ(貫地谷しほり)とやってくる。

いっぽんはかつてヒット作を生み出した漫画家で
知的障害を持つマコを男手ひとつで育ててきたのだ。

男性をこわがるマコだが
「ひまわり荘」の面々とはすぐに打ち解けて――。

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俳優、脚本家として活躍する宅間孝行氏が
実際の事件にインスパイアされ
自身の劇団「東京セレソンデラックス」のために書き下ろした大ヒット戯曲を

堤幸彦監督が映画化したものです。


ヘビーな題材を
中盤までライトなエンタテインメントにしていて
なかなか見ごたえがありました。

特に舞台となる「ひまわり荘」での
うーやんほか個性的な登場人物たちのやりとりが可笑しく
かなり大笑い。

舞台を意識した演出も
ユニークな味になっていて

ひまわり荘を舞台正面に、
下手からひとつのグループがはけて
ひとつのエピソードが終わると、

上手から別のグループが現れて
さりげなくストーリーをつないでいく。


そして
笑いのなかに、
障害を持つ人が生きていく上での社会の不寛容や
実際の苦労といったシビアな現実を織り交ぜていく。

場がガクンとシリアスに転換する感覚も、
その“演劇”っぽさがうまく作用して不自然でないんです。

竹中直人の鬼気迫る演技と、
脇キャラたちの魅力も大きいですね。

麻生祐未さん、こんなにいい役者だったか。
橋本愛氏も手堅いしねー。


ただ
悲劇へとなだれ込む後半は少々しつこく、
それまでの軽やかな魅力をそいでしまって、やや残念。

“堤節”というか堤流のサービスっぽさが
出てしまった感じですかねえ。

泣ける、との評判どおり
周囲もすすり泣き大合唱でした。

ワシは泣きませんでしたけど。


★5/25(土)から全国で公開。

「くちづけ」公式サイト
コメント (2)
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