中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

スタートアップ向け健保発足

2024年06月03日 | 情報
スタートアップ向け健保発足 国内初、保険料抑え8%台
2024年6月1日  日経

スタートアップで働く人を対象にした国内初の健康保険組合が1日に発足した。
約180社、1万人強が加入する。
月間給与(標準報酬月額)に対する保険料率は8.98%と中小企業が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)より1%程度低く、
保険料負担の軽減につながる。
福利厚生の充実はスタートアップへの人材流入や事業成長の追い風になりそうだ。

「VCスタートアップ健康保険組合」は厚生労働省からこのほど設立の認可を受けた。
現時点で153社のスタートアップと27社のベンチャーキャピタル(VC)が加入し、被保険者や被扶養者が合計1万人強となる。
申し込み待機中の企業も含めて3年以内に加入企業が約500社、加入者が3万人に達する見込みだ。
VCから出資を受けている企業が対象で、業績が赤字でも加入できる。
電動キックボードのシェアリングサービスを手掛けるLuup(ループ、東京・千代田)や、
核融合関連装置を開発する京都フュージョニアリング(同)などが加入した。

加入者の平均年齢は35.5歳と若年層が多い。
業務運用のデジタル化の効果もあり、保険料率は現時点で8.98%だ。
被保険者の平均年齢が約46歳の協会けんぽ(平均10%)と比べて低い。
保険料は企業と従業員が折半して支払う。
従業員38人(40歳未満ベース)、平均年収665万円の企業の場合で試算すると、従業員1人あたりの健康保険料は協会けんぽに比べて毎月6000円弱ほど安くなる。
企業の全従業員に対する支払い負担も年間約130万円軽減され、従業員の手取り額を年間約3万4000円増やすことが可能という。
スタートアップは独自の健康組合がなく、現状は協会けんぽに加入していることが多い。
ただ、協会けんぽは中高年の加入者が多く医療費がかさみがちで、保険料率も高めだ。
こうした負担を重荷と感じるスタートアップは多い。
独自の健保加入で保険料負担が軽減されれば、事業への投資や従業員の給与にも資金を振り向けやすくなる。
健保はスタートアップの実情に合ったサービスの提供も目指す。
若年層の従業員に多いとされるメンタルヘルスの不調の予防・ケアとして、
加入企業に対して就業規則の周知や休職者が復職できる体制づくりを支援する。
若年層のがんや生活習慣病を予防する健診メニューも充実させる。
スタートアップはこれまで大企業に比べて福利厚生が見劣りすることが人材獲得のマイナス要因になっていた。
働きやすさが向上すれば成長が加速し、日本の産業の新陳代謝や人材の流動化にもつながる。
スタートアップ健保の設立は一石を投じそうだ。
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(プラス情報)アタッチメント “生きづらさ”に悩むあなたへ

2024年06月01日 | 情報
アタッチメント “生きづらさ”に悩むあなたへ
初回放送日:2024年5月4日 NHK

今回のテーマは「アタッチメント」。食欲や睡眠欲と同じように、生まれながらに人間に備わっている本能的な欲求だ。人はみな「不安や恐怖を感じた時に誰かにくっつくことで、安心しようとする」。幼少期にこの「安心感」が満たされることが、子どもの健やかな発達や、大人になってからも人間関係や心身の健康に影響を与えることが分かってきた。アタッチメントを正しく知れば、よりよい人間関係を築くヒントが見えてくる。#君の声

アメリカのZ世代を中心にブームとなっている「アタッチメントスタイル」

アタッチメントとは、「不安や恐怖を感じたとき、特定の誰かにくっついて不安を解消し、安心感を得ようとする欲求や行動」のことですが、そのくっつき方には個人差があります。アタッチメントの個人差は、その人の「人間関係の築き方のクセや行動の傾向」に現れ、それを「アタッチメントタイプ」や「アタッチメントスタイル」と呼んでいます。
不安なときに、安心させてほしいと求めるアタッチメントの対象は、幼少期は主に親などの保護者ですが、成長とともに友人や仲間、恋人やパートナーへと移っていきます。
こうしたアタッチメントの対象となる特定の人とのあいだで繰り返されてきたやりとりは、特定の人との関わりだけでなく、一般的な対人関係におけるひな型となります。
相手の表情や、ことばのとらえ方、距離のとり方など、人との関わり方のクセや傾向として現れます。5/4放送のNHKスペシャル「アタッチメント」では、代表的な3つのタイプを紹介しました。
アメリカの若者たちは、自分や友人、パートナーのタイプを理解することで、人と関わるときの不安がなくなり、無駄な衝突を避けられると言っていました。
人間関係において、「なぜそういう行動をとってしまうのか?」「相手のことが気になりすぎてつらい」といった不安や考え方のクセは、私たちの自覚のない意識下で形作られていると、アタッチメント理論では考えられています。
大人のアタッチメントタイプの最も代表的な測定法は、面接を使った方法です。
専門のトレーニングを受けた監修者によるインタビュー形式で、過去の養育者との関係を1時間ほどの面接の中で聞き、それを元にアタッチメントのタイプを評定します。
 もう一つは、質問紙法です。いくつかの種類がありますが、代表的なものでは、現在の人間関係についての質問項目に答えてもらったものを得点化します。番組では、その得点の大小をもとに、便宜的に3つのタイプに分類しました。出演者の皆さんに、同級生や職場の同僚など、日ごろの人間関係のつくり方をイメージしてもらい、9問の質問に答えてもらいました。
正式には、父親・母親・恋人(配偶者)といった「特定の他者」について、それぞれ9項目の質問に回答してもらい、評定します。
いずれの方法も専門家による監修が必要です。質問紙法について詳しい情報を知りたい方は、こちらの論文を参照してください。

アダルト・アタッチメント・スタイル尺度(ECR-RS)
日本語版の妥当性評価1, 2

愛着(アタッチメント)とは、人や動物が、特定の対象に対して形成する、特別な情緒的結びつきのことを指します。
愛着形成のあり方は、乳幼児の発達はもちろんのこと、青年期や成人期などのその後の人格形成にも大きく影響するものとして非常に重要とされています。
愛着に関する研究はさまざまありますが、ここではその中でも代表的なボウルビィ, J.の愛着理論を紹介します。

ボウルビィは、乳幼児が母親やそれに代わる養育者から母性的な養育を受けられなくなることをマターナル・デプリベーション(母性剥奪)と呼び、良好な母子相互作用を欠いた乳幼児は、その発達において種々の障害を生ずるとしました。
このマターナル・デプリベーションの研究から、ボウルビィは母子相互作用の重要性を説き、愛着形成の理論を構築したのです。

ボウルビィによると、母親や養育者への愛着形成は、次の4つの段階に分けられます。
まず最初に、生後3ヶ月頃まで、人に関心を示すものの人を区別した行動は見られない段階があります。
この時期には、周囲の人に対して無差別に微笑みかけたり、手を伸ばしたりといった行動が見られます。

次に、生後6ヶ月頃までの時期、母親とその他の人物を区別した反応が見られるようになります。
ただし、この段階ではまだ母親の不在に泣くというような行動はまだ見られません。
3つ目の段階は生後2~3歳ごろまでの時期で、明らかに愛着が形成され、接近や接触を求める行動が活発になる段階です。
人見知り不安を示し、母親がいなくなると探し求めるなどといった行動が見られるようになります。

最後に、2~3歳以降の時期、愛着対象との身体的接触を必ずしも必要としない段階があります。
この時期になると、愛着対象との身体的接近を必ずしも必要としなくなり、母親がいなくても情緒的な安定を保つことができるようになります。

以上のような段階は、愛着の発達が順調にいった場合ですが、マターナル・デプリベーションに見られるように、実際にはこうした健全な愛着の発達が阻害される場合もあり、愛着にはさまざまなパターンがあると考えられています。
ボウルビィの研究チームの一員であったエインズワース, M.D.S.は、こうした愛着の質を測定する方法として、ストレンジシチュエーション法を開発し、乳幼児の愛着の発達を類型化しました。
この方法では、愛着のパターンを「安定型」「回避型」「葛藤型」の3つのパターンに分けましたが、こうした愛着のパターンは、乳幼児期を過ぎても、個々の人格形成に持続的に影響を与えるもの考えられています。

ウォッチ・ミー・プレイ!は、養育者が、生後間もない赤ちゃんから、8歳くらいまでの子どもを手助けし、一緒にいることを楽しむというシンプルな方法です。
この方法では、養育者は週に2回、可能であればそれ以上、5分から20分の間、赤ちゃんや子どもの遊びを見守り、その遊びについて一緒に話をします。
遊びは、子どもたちの人生にとってとても大切なものです。
遊びを通して、子どもたちは周りの世界を知り、学校で過ごすようになってから役に立つスキルを練習します。
以下の短いビデオでは、養育者が、遊びを通して赤ちゃんや子どものことをより身近に感じるようになり、より自信を持って関われるようになることがわかります。
子どもの遊び方は年齢によって変わりますが、遊びに関する大切な考え方は、乳幼児であっても年長の子どもであっても同じように役立ちます。以下のような考え方です。

静かな場所、シンプルなおもちゃを用意し、5分から20分の時間遊びましょう

赤ちゃんや子どもと1対1の時間を設けましょう

赤ちゃんや子どもに、どのような遊びをするか選んでもらいましょう

赤ちゃんや子どもの遊びについて、一緒に話をしましょう

このウェブサイトでは、より詳しい情報や、無料の資料をご覧いただけます 。

ウォッチ・ミー・プレイ!ガイダンスは、子どもと家族のための様々な支援の中で、家族や専門家によって開発されました。

地域によっては、子どもや家族のための支援や、幼児教育の現場でトレーニングを受けた「ウォッチ・ミー・プレイ!」の実践者が、養育者と一緒に子どもの遊びを眺めたり話し合ったりして支援することができます。「ウォッチ・ミー・プレイ!」は、ご家庭、児童館、クリニック、オンラインで実施することができます。お住まいの地域で、こうした支援をお探しの方は「リンク」のセクションをご覧ください。


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「うつ病」か「更年期障害」か

2024年05月31日 | 情報
「うつ病」か「更年期障害」か 50歳代の男性管理職 
体の不調の原因を見極めるポイント…女性に比べて気づきにくいのはなぜ?
24.5.8 読売(精神科医 夏目誠先生の解説です)

精神科産業医として、企業で実施するストレスチェック検査で「高ストレス」となった人の面談をしていると、
40代後半になると不定愁訴が増えてきます。
イラつき、発汗、のぼせ、意欲低下などです。
女性なら一番に更年期障害を考えますが、実は男性でも更年期障害に苦労する人がいます。
いずれも性ホルモンの減少から生じますが、男女の違いも含めて事例と対処法を紹介します。

更年期の不調、会社では言いにくい
産業医面談に訪れた51歳の女性、中宮春子さん(仮名)の事例を私(産業医)と中宮さんとのやり取りで再現します。

産業医 : 高ストレスの判定ですが、心身症状が多いですね。
疲れやすい、集中出来ない、意欲がわかない、眠れない。また、職場では、上司のサポートが低いと出ています。
中宮さん: 実は……話しにくいのですが、更年期障害ではないかと思っていました。 

産業医 : それで?
中宮さん: のぼせ、ほてりが半年くらい前からあって、これがつらいですね。
でも、生理や女性ホルモンなどの話で、更年期のイメージに抵抗があって、やはり男性の上司や家族に話しにくいです。

産業医 : のぼせやほてりがある。
中宮さん: 汗がドッと出て、イライラする。我慢をしてきました。

ホルモン補充療法で落ち着く
産業医 : のぼせやほてり、発汗をホットフラッシュと言うのはご存じだと思いますが、更年期障害に特有の症状ですね。
中宮さん: どうすれば、いいのでしょうか?

産業医 : 更年期は症状発生の個人差が大きいのですが、あなたの場合、症状が強いので婦人科受診をお勧めします。
中宮さん: 婦人科ですね。

産業医 : 紹介状を書きます。治療すればイライラや集中できないなどのメンタル症状も軽快し、仕事に打ち込みやすくなりますよ。
中宮さんは婦人科を受診し、減少した女性ホルモン、エストロゲンを飲み薬や貼り薬で補うホルモン補充療法を受け、症状は落ち着きました。
婦人科受診の2か月後に中宮さんが相談室を訪れました。

産業医 : 中宮さん、見違えるようです。明るく表情も豊かになってね。
中宮さん: 症状が軽くなって楽になりましたね。更年期の症状は治療で和らげることができるんですね。

ストレスチェック検査で判定された「高ストレス」は、更年期障害の治療で落ち着いたわけです。

気力が衰え、意欲がわかない54歳の男性
男性の場合も、男性ホルモン、テストステロンの減少で、意欲がわかないなど更年期症状が出ることがあります。
しかし女性ホルモンが急減する女性と異なり、男性ホルモンの減少には個人差も大きいので、更年期障害とはなかなか思い至りません。
販売会社経理部次長の岡田太郎さん(仮名、54歳)が相談に来ました。

産業医 : 精神科産業医の夏目です、よろしく。
岡田さん: 経理部勤務の岡田です。病気というほど調子が悪いわけではないの
で、相談に来るのはためらいがあって……。

産業医 : メンタルの不調ではよくありますよ。なにがつらいのですか。
岡田さん: 気力が衰えてきたというか。

産業医 : いつ頃からでしょうか?
岡田さん: 1か月くらい前からです。意欲が出ない。

趣味は今まで通り
産業医 : 好きなことは、どうでしょうか?
岡田さん: 趣味は今まで通りできます。

産業医 : 気分は落ち込みますか?
岡田さん: 少し落ち込んでいるかもしれません。夜中に目覚めることが多いですね。

産業医 : 性欲はどうですか?
岡田さん: 年齢もあるでしょうが、落ちています。

産業医 : かなりですか。
岡田さん: 異性への興味はないです。考えたこともないから。

男性の場合、うつ病か更年期障害か
産業医 : お話を聞いていると、考えられる病名は「うつ病」と「更年期障害」の二つです。
岡田さん: (驚いた表情で)えっ、男なのに更年期障害ですか。 

産業医 : あまり知られていないからね。でも、ありますよ。
岡田さん: 私の場合、可能性があるのですね。

産業医 : そうですね。全体に意欲が低下しているようですが、疲弊しているというほどではなく、好きなことは楽しめるわけですね。
うつ病だと楽しめなくなりますよ。
岡田さん: どうすればい良いのでしょうか?

男性ホルモンの数値を検査
産業医 : 泌尿器科や男性の更年期外来があるクリニックを受診してみませんか。
岡田さん: どこがいいでしょうか?

産業医 : クリニック宛てに、紹介状を書きます。採血して、テストステロンという男性ホルモン値を測定します。
岡田さん: その値でわかるんですか?

産業医 : そうです。数値も参考にしながら、総合的に判断します。
岡田さん: わかりました。

男性もホルモン補充療法で改善
泌尿器科を受診してから、面談に来てくれました。

産業医 : いかがでした?
岡田さん: 男性の更年期障害と診断されました。原因が分かってほっとしました。

産業医 : 治療を受けているのですか。
岡田さん: はい、男性ホルモン補充療法を受けています。

産業医 : 症状は、どうかな?
岡田さん: 意欲が出てきました。

産業医 : 良かったですね。
岡田さん: まさかと思っていましたが。

産業医 : 主治医のOKが出るまで通院を続けてください。

更年期障害に悩む男女の事例を紹介しました。
男性は気づきにくく、うつ病などメンタルの病気と似た症状が出ることがあります。
40歳代後半以降の男性にうつ的な状態が続いた時は、更年期障害も疑って専門医受診をお勧めすることがあります。
男性ホルモンの問題でないと分かれば、メンタル系の医師が対応します。(夏目誠 精神科医)

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職場のハラスメントに関する実態調査・厚労省

2024年05月30日 | 情報
「 職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表します
~全国の企業・労働者等を調査し、ハラスメントの発生状況や予防・解決に向けた取組の主な効果・課題を把握~
令和6年5月17日(金)照会先雇用環境・均等局 雇用機会均等課


令和5年度厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」(調査実施者:PwCコンサルティング合同会社)について、このほど、報告書が取りまとめられましたので公表します。
この調査は、令和2年度に実施した職場のハラスメントに関する実態調査から3年が経過し、ハラスメントの対策に取り組む企業やハラスメントを受けている労働者の状況も変化していると考えられることから実施しました。今回の調査は、全国の企業と労働者等を対象に、令和5年12月~令和6年1月に実施したものです。
この調査結果等を踏まえ、厚生労働省では、引き続き職場のハラスメントの予防・解決に向けた施策を実施していきます。
調査結果の概要は、別添資料をご参照ください。

職場のハラスメントに関する実態調査報告書 概要
•ハラスメントの発生状況・ハラスメントに関する職場の特徴
•ハラスメントの予防・解決のための取組状況、その効果と課題
•ハラスメントを受けた経験
•ハラスメント行為を受けた後の行動、ハラスメントを知った後の勤務先の対応
•ハラスメントを受けていることを認識した後の勤務先の対応 等

〇報告書概要

【企業におけるハラスメントの発生状況】 
⚫ 過去3 年間各ハラスメント(パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為、就活等セクハラ)の相談件数については、セクハラ以外では「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」が最も高かった(「件数の増減は分からない」を除く)。顧客等からの著しい迷惑行為のみ「件数が増加している」の割合の方が「件数は減少している」より高かった。また、該当件数の傾向としては、顧客等からの著しい迷惑行為については「件数が増加している」の方が「件数は減少している」よりも多かったが、それ以外のハラスメントについては「件数は減少している」の方が「件数が増加している」の割合より多かった。 
⚫ 相談件数の多かった業種としては、パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメントでは、「金融業、保険業」、「教育、学習支援業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「医療、福祉」や「生活関連サービス業、娯楽業」が多い傾向にあった。顧客等からの著しい迷惑行為では、「医療、福祉」、「宿泊業、飲食サービス業」、「不動産業、物品賃貸業」(それぞれ53.9%、46.4%、43.4%)が、就活等セクハラについては、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「教育、学習支援業」の順に相談があった企業の割合が多かった(それぞれ2.9%、2.1%、1.4%) 

【企業におけるハラスメントに対する取組状況】 
⚫ パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業・介護休業等ハラスメント、顧客等からの著しい迷惑行為、就活等セクハラに対して予防・解決のために実施している取組として、「相談窓口の設置と周知」の割合が最も高く、約7割以上の企業が実施している。次いで「ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」の割合が高く、約6割以上の企業が実施している。業種別にみると、いずれのハラスメントにおいても、「金融業、保険業」、「複合サービス業」などで、取組を実施している割合が全般的に他の業種より高かった。
⚫ また、顧客等からの著しい迷惑行為に関する取組について業種別にみると、一般消費者との接触頻度が高い「医療、福祉」、「金融業、保険業」、「宿泊業、飲食サービス業」などにおいて、取組を実施している割合が他の業種より高く、また、そうした企業では取組を進める上での課題として「迷惑行為に対応する従業員等の精神的なケアが難しい」との回答が他の業種より多かった。 
⚫ 就活等セクハラに関する取組として実施している取組を業種別にみると、「金融業、保険業」、「情報通信業」などでは、各取組の実施割合が他の業種より高かった。 

【企業におけるハラスメントに対する取組の効果・課題】
⚫ 予防・解決以外の副次的効果としては、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」(39.1%)の割合が最も高く、「会社への信頼感が高まる」(34.7%)が続いた。
⚫ ハラスメントの取組を進める上での課題について、取組を実施している企業では、「ハラスメントかどうかの判断が難しい」(59.6%)が最も高く、取組を実施していない企業においては、「特にない」(42.6%)が最も高かった。 

【今後必要なハラスメントに対する取組】 
⚫ 今後必要なハラスメント予防・解決のための取組としては、「企業の自主的な取組の促進・支援」(54.7%)が最も高く、次いで「ハラスメント(ハラスメントの行為者)に対する規制」(36.5%)が高かった。
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不正を公益通報(続編)

2024年05月29日 | 情報
〇「不正を公益通報」の事例編です。

〇ちょうど、NHKが、報道番組「クローズアップ現代」において三菱電機を好事例として紹介していました。

「“守られない通報者” 内部告発を社会の利益に」
初回放送日:2024年5月21日 NHKTV

会社や組織の不正を通報窓口・行政機関・マスコミなどに通報する「公益通報」。調査によると通報者の3割が「後悔したことがある」と回答。
通報したことで不利益を被ったという訴えが各地でおきている。
職場での嫌がらせ、異動や降格など不当な人事が行われたというのだ。
通報者を守る法律があるにもかかわらず、実態は逆だ。
通報者を守るには何が必要なのか?不正に声をあげる人を表彰する企業も。
通報を社会の利益へ。

〇やっと、三菱電機も改革の一歩を踏み出したのだなと受け取りました。
期待したいのですが、しかし、企業風土は、そう簡単に変えられないのが現実です。
企業風土って、目に見えない魔物なのですね。

〇当該企業には、甚だ失礼ですが事実が事実ですから致し方ありません。
大企業・三菱電機は、「労務問題のデパート」と云っても過言ではない過去があるのです。

〇番組を視聴しての率直な感想です。
時間の制約があるからなのでしょうが、
・社長をはじめとする経営トップが登場しない
・なぜ、取り組んだか理由が語られない

ということは、「大山鳴動して鼠一匹」になりはしないかという印象です。

〇(参考)三菱電機HPより引用
「当社が進める3つの改革の進捗について 」2023年4月14日

・当ブログで好事例としてたびたび取り上げてきましたが、
胆管がん事件を克服し、再生した「SANYO-CYP社」と比較してほしいのです。小職には圧倒的な彼我の差を感じます。

「SANYO-CYP社」 HP

〇(参考報道)
1.名古屋の三菱電機社員、労災認定 長時間労働でうつ発症
23.6.28
三菱電機名古屋製作所でソフトウエア設計開発担当として働いていた男性(35)について、うつ病を発症したのは、長時間労働が原因として、名古屋北労働基準監督署が労災と認定していたことが28日、分かった。代理人の岩井羊一弁護士が明らかにした。
岩井弁護士によると、男性は2013年に入社。16年10月に社内で発生した事故の対応で業務量が大きく増え、時間外労働は1カ月間で約101時間に上り、前月の倍以上になった。同12月に病院を受診し、うつ病と診断され、休職した。
同労基署は21年、労災を認めない決定をした。男性側が労働者災害補償保険審査官に審査請求したところ、労災と認定された。

長時間労働でうつ発症 名古屋北労基署 三菱電社員労災認定 /愛知
毎日新聞 2023/6/29

三菱電機名古屋製作所でソフトウエア設計開発担当として働いていた男性(35)について、うつ病を発症したのは、
長時間労働が原因として、名古屋北労働基準監督署が労災と認定していたことが28日、分かった。代理人の岩井羊一弁護士が明らかにした。
男性は2013年に入社。16年10月に社内で発生した事故の対応で業務量が大きく増え、時間外労働は1カ月間で約101時間に上り、前月の倍以…


2.上司から「飛び降りるのにいい窓」遺書に残す…三菱電機の新入社員自殺、遺族と会社が和解
2022/08/26 読売

三菱電機(東京)の新入社員の男性が2019年8月、上司から「死ね」などと言われたと遺書に記して自殺した問題で、男性の遺族と同社が和解したことがわかった。遺族の代理人弁護士が26日、記者会見を開いて明らかにした。和解は23日付。
代理人弁護士や同社によると、和解の合意書には、同社が遺族に解決金(金額非公表)を支払うほか、再発防止に真剣に取り組むことなどが盛り込まれた。同社は役員や社員を対象にハラスメント防止研修などを行い、今後5年間、再発防止策の実施状況を遺族に報告することなどを誓約した。
男性は19年8月、社員寮近くの公園で自殺。現場に残されていた遺書には、上司から「死ね」「お前が飛び降りるのにちょうどいい窓あるで」などの発言を受けたことが記されていた。尼崎労働基準監督署が21年2月、上司のハラスメントが原因で精神疾患を発症したとして労災認定した。
遺族は「三菱電機は息子の死を無駄にすることなく、二度とこのようなことが起こらないよう改善してほしい」とのコメントを出した。三菱電機は「ハラスメント行為を絶対に許さないとの強い決意のもと、再発防止と組織風土改革に全力で取り組む」としている。

3.他、ここ数年の間においても同様な事例があります。

〇労務問題の再発防止および組織風土改革の取り組みについて
2022 年 8 月 26 日 三菱電機株式会社

2019 年 8 月に当社の新入社員(当時)が亡くなられ、2021 年 2 月に尼崎労働基準監督署より労災認定されました。改めまして故人のご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆さまに心からお詫び申し上げます。
当社は、痛ましい労災事案を重く受け止め、再発防止のための種々の施策を進めておりますが、この度、ご遺族に改めてお詫び申し上げるとともに、労務問題の再発防止を経営の最優先課題として引き続き全力で取り組むことをお誓いし、ご遺族との間で和解に至りました。
当社は、大切な従業員の尊い命が失われた事実を厳粛に受け止め、ハラスメント行為を絶対に許さないとの強い決意の下、2020 年 1 月から「職場風土改革プログラム」を展開し、全従業員が心身の健康を維持し、いきいきと働ける職場環境の実現に向けて、グループをあげて全力で取り組んでいます。
さらに、今年 4 月からは、新しい三菱電機の創生に向けた抜本的な組織風土改革を始動し、「上にものが言える風土」「失敗を許容する風土」「共に課題を解決する風土」の実現に向けて、日々、具体的な取り組みを進めているところです。
風通しのよい企業風土への変革、誰もがいきいきと働ける職場環境の実現に全力で取り組むことで、労務問題の再発防止を徹底するとともに、新しい三菱電機の創生に努めてまいります。

■主な取り組み
・ハラスメント教育強化と管理職任命時の見極め強化、管理職層への 360 度評価の導入
・全役員・全従業員によるハラスメント行為を行わない旨の宣言書提出
・意識調査を活用した定量的な職場風土分析と分析結果に基づく継続的な改善の実行
・個々人の負荷や職場内の人間関係、ストレスの状況などを確認する定期アンケートの実施
・相談窓口の充実(複線化)
・職場におけるハラスメント実態調査の定期的な実施と、申告案件について人事部門に加え外部専門家の窓口を新たに設置し、心理的安全性を確保した実態把握の実施
・ハラスメントに関する懲戒規則の改定、厳罰化と全従業員への周知徹底
・パワーハラスメント事例やパワーハラスメント相談件数等の従業員への適時適切な情報開示
・オープンな風土形成に向けた経営陣自らの変革(社長・執行役によるタウンホールミーティング、全執行役へのコーチングの実施)

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