中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

同僚の前で叱責

2022年01月31日 | 情報

業務上で、精神疾患をり患する原因は、小職流の簡単分類でみると、
①長時間労働、②パワハラ、③移動・転勤、昇進昇格、の3パターンです。
今回の事案では、上述の②パワハラ、③移動・転勤が該当しています。

3つのうち、2つが重なったのですから、労災事案が惹起するのは当然の結果でしょう。
しかし、今回の事案で注目すべきは、記事中の「定年退職後、契約社員として再雇用され、携帯電話の販売」です。
定年退職後、契約社員として再雇用ですから、定年前と定年後との落差に受け入れにくい感情があったはずですし、
同じ「販売職」とはいえ、自動車の販売から携帯電話の販売に変わり、
その結果である業務上のミスが重なっています。
この事案は、企業の労務管理対策に多くの問題提起をしていると考えています。


同僚の前で叱責・ミスおこられ長時間立たされる、60歳男性自殺…「パワハラ」と遺族が提訴
2022/01/27 読売

自動車販売会社「広島トヨペット」(広島市西区)の契約社員だった男性(当時60歳)が自殺したのは、上司からのパワーハラスメントなどによる精神疾患が原因だったとして、遺族が26日、同社と上司に慰謝料などの損害賠償を求めて地裁に提訴した。遺族側は請求額を明らかにしていない。

訴状などによると、男性は1977年に入社。定年退職後、契約社員として再雇用され、携帯電話の販売などの営業を担当していたが、2019年4月に呉市の山中で自殺した。

男性は18年6月頃から、頻繁に同僚のいる前で上司から 叱責しっせき を受け続けた。在庫管理のミスをとがめられて長時間立たされ、膨大な始末書の作成を命じられるなど、長時間労働も強いられた。同僚に「自分は必要とされていない。死にたい」と漏らしたとしている。

広島中央労働基準監督署は昨年10月、「頻繁に厳しい叱責を受け、許容範囲を超える精神的攻撃があった」として労災認定した。

遺族側は「会社は精神的負担を軽減させる措置を取らなかった」と主張。男性の妹(60)はこの日、記者会見し、「忠実に会社勤めをしてきた兄がどうして自殺したのか、真実を知りたい」と訴えた。

同社は「内容を確認させていただいたうえで、 真摯しんし に対応して参ります」としている。

「上司のパワハラが原因で自殺」 遺族が損害賠償求め提訴 広島
1/27(木) テレビ新広島

広島県内の自動車販売会社で働いていた男性が自殺したのは、当時の上司からパワハラを受けていたことなどが原因だとして、26日、遺族が広島地裁に損害賠償を求めて提訴しました。

訴状などによりますと、広島県内の自動車販売会社で携帯電話の販売業務などを担当していた、胡秀義(えびす ひでよし)さん(当時60)は2019年4月、呉市にある灰ヶ峰で自殺しました。

遺族は胡さんが自殺したのは、ミスをしたことで、上司から他の従業員の前で怒鳴られたり、膨大な始末書を書かされるなどの、パワハラや長時間労働が原因だとして、26日、会社と当時の上司を相手取り、広島地裁に損害賠償を求めて提訴しました。

胡さんの自殺する直前1か月の時間外労働時間は40時間近くに上っており、去年10月、労災と認定されています。

提訴後に会見を開いた胡さんの妹・直美さんは、「兄と同じように命を絶つ方が出ないよう、しっかりを真相を明らかにする」と話しました。

自動車販売会社はTSSの取材に対し、「遺族の方にはお悔やみを申し上げます。まだ内容が届いていないので、確認したうえで対応を検討します」とコメントしています。

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休職復職Q&A⑤

2022年01月28日 | 情報

Q6;人事部の管理職です。
主治医の診断に疑問点が多々あり、本人が主治医の受診時に会社スタッフ(上司、人事)を
立ち会わせたいと考えています。どのようにすれば良いでしょうか?

A;何をもってして「主治医の診断に疑問点が多々ある」とおっしゃるのか、理解できません。
一般的に、特に精神疾患の場合には、主治医は患者の申し立てに基づいて診察し、病状を診断します。
患者が自分の都合や理屈に合わない独自の見解で、事実を正しく申し立てていなければ、
主治医の診断も誤ることもあるでしょう。

このようなトラブルや行き違いを避けるためには、休職を必要とする診断書を受け取った後に、
会社は休職者の同行、または休職者の了解のもとに主治医に対して面談を申し込むことが必要です。
面談では、会社の業容、休職者本人の業務内容、休職に至った経過、病状回復後の復職条件等を
説明しておくことが大切です。
最近の精神科領域は多忙ですので、面会を予約の上、30分程度で簡潔に済ませることが大切ですし、
当然に謝礼の支払いも必要になります。

ところで、産業医を委嘱契約していますか?産業医に相談していますか?産業医の見解は?
もしかして、産業医が疑義を呈しているのですか?そんなことはないとはずですが、もしそうならば、
当産業医に主治医への問い合わせを依頼してください。
これが、本来であれば正解なのです。医療職同士ならば、会話が成立するのですね。
非医療職である、人事労務の管理職では、どうにもならないのですね。

ですから、産業医を委嘱する義務のない、50人未満の事業場においても、
努力義務ながら、産業保健上の最優先事項として産業医の委嘱を検討してください。

 

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休職復職Q&A④

2022年01月27日 | 情報

某EAPの情報によると、メンタルヘルス不調者の復職支援は、
企業、事業所の人事・産業保健スタッフにとって、依然として、第1位の課題のようです。

Q5;人事労務担当のグループリーダーをしています。
精神疾患で休職している従業員のことですが、上司や産業医からの電話やメールにも反応しません。
その場合、しばらく連絡を取らない方がよいでしょうか?
それとも何らかのコンタクトを取り続ける努力が必要でしょうか?

A;会社が休職者と1か月以上にわたり、コミュニケーションがないと問題です。

1か月以上(小職註;特に1か月という決まりはありませんが、長期間という意味で
理解して下さい)も何らかのコミュニケーションも取らずに放置しておくことは、
万が一の場合、会社側に安全配慮義務の責任を問われる可能性もあります。
何らかのコンタクトをとる努力をしてください。
また、休職者の自宅を訪問することも、必要になってくるでしょう。

一方で、主治医の中には、「会社・企業」という存在に拒否反応を示す方もいるやに聞いています。
産業医がいれば、産業医から主治医に連絡を取ってもらい、
休職者が主治医を定期的に受診しているか確認してもらうことができます。

万が一の場合、警察のお世話になるかもしれません。
ですから、策を尽くして休職者と連絡をとる努力をしてください。連絡がとれた場合には、
以後の対応・コミュニケーションの取り方などを確約させることが、再発防止上、必要です。
また、原則として、休職する前に休職中のコミュニケーション、連絡の取り方などを決めておくことが求められます。

特に、コロナ下では、会社と従業員、上司とグループ内、従業員間と様々な場面でのコミュニケーションのあり方が
重要視されています。また、重要なのです。
相互の意思疎通に齟齬を来すと、思わぬトラブルに巻き込まれかねません。仕組み作りを入念に行ってください。

 

 

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感染拡大(第6波)続編

2022年01月26日 | 情報

テレワーク下の安全衛生体制について、必要な項目を復習しましょう。

1.情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン 令和元年7月12日付け基発0712第3号
一部改正 基発1201第7号令和3年12月1日

https://www.mhlw.go.jp/content/000539604.pdf

〇情報機器作業による労働者の心身の負担を軽くし、支障なく働けるようにするため、事業者が講ずべき措置をまとめています。

2.具体的には、過重労働対策やメンタルヘルス対策を含む健康確保のための措置を講じること。
・健康診断とその結果等を受けた措置(法66条から66条の7)
・長時間労働者に対する医師による面接指導とその結果等を受けた措置(法666条の8,及び9)
・面接指導の適切な実施のための時間外・休日労働時間の算定と産業医への情報提供(則52条の2)
・ストレスチェックとその結果等を受けた措置(法66条の10)

3.テレワークを行う作業環境について、事務所衛生規則、労働安全衛生規則、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の基準と同等の作業環境となるよう、労働者に助言することが望ましい。

(関連改正)
事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T211201K0020.pdf
令和3年12月1日 基初1201第1号

概要
(1)事務所則の一部改正(改正省令第1条及び第2条関係)
ア 照度等(第10条第1項関係)
① 事業者が適合させなければならない労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の作業面の照度基準に関し、作業の区分を従来の三区分から「一般的な事務作業」及び「付随的な事務作業」の二区分に改めたこと。
② 事業者が適合させなければならない室の作業面の照度基準は、上記 ①の区分に従い、「一般的な事務作業」については300ルクス以上(注改正前は、150ルクス以上)、「付随的な事務作業」については150ルクス以上としたこと。

(注;これまでの基準)https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000700624.pdf

イ 便所(第17条の2関係)
① 便所の設置基準について、同時に就業する労働者が常時10人以内である場合は、便所を男性用と女性用に区別することの例外として、事業者が、男性用と女性用に区別しない四方を壁等で囲まれた一個の便房により構成される便所(以下「独立個室型の便所」という。)を設けることで足りることとしたこと。
 ② 男性用と女性用に区別した便所を設置した上で、独立個室型の便所を設置する場合は、男性用大便所又は女性用便所の便房の数若しくは男性用小便所の箇所数を算定する際に基準とする同時に就業する労働者の数について、独立個室型の便所1個につき男女それぞれ10人ずつ減ずることができることとしたこと。

(2)安衛則の一部改正(改正省令第3条関係)
ア 便所(第628条の2、第677条関係)
(1)のイと同様の改正を行うこととしたこと。併せて、貸与建築物の便所に関する規定について、当該改正に伴う改正を行うこととしたこと。
イ 救急用具(旧第634条関係)
事業者が少なくとも備えなければならない救急用具の品目について定めている規定を削除することとしたこと。

(3)施行期日(改正省令附則関係)
改正省令は、令和3年12月1日から施行することとしたこと。ただし、(1)のアにあっては令和4年12月1日から施行することとしたこと。

〇厚労省リーフレットを、参照してください。

https://www.mhlw.go.jp/content/000857961.pdf

4.情報通信機器を用いた安全衛生委員会の開催
「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基づく安全委員会等の開催について」
令和2年8月27日付 基発0827第1号

ポイント抜粋)
2)項  情報通信機器を用いた安全委員会等の開催に係る留意事項
(1)安全委員会等の開催に用いる情報通信機器について、次のアからウまでの要件を全て満たすこと。
ア 安全委員会等を構成する委員(以下「委員」という。)が容易に利用できること。
イ 映像、音声等の送受信が常時安定しており、委員相互の意見交換等を円滑に実施することが可能なものであること。
ウ 取り扱う個人情報の外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止の措置が講じられていること。

(2)安全委員会等の運営について、次のア又はイのいずれかの要件を満たすこと。
ア 対面により安全委員会等を開催する場合と同様に、情報通信機器を用いた安全委員会等において、委員相互の円滑な意見交換等が即時に行われ、必要な事項についての調査審議が尽くされていること。
なお、音声通信による開催やチャット機能を用いた意見交換等による開催については、調査審議に必要な資料が確認でき、委員相互の円滑な意見交換等及び必要な事項についての十分な調査審議が可能であること。

イ 情報通信機器を用いた安全委員会等はアによって開催することを原則とするが、委員相互の円滑な意見交換等及び必要な事項についての十分な調査審議が可能となるよう、開催期間、各委員への資料の共有方法及び意見の表明方法、委員相互で異なる意見が提出された場合の調整方法、調査審議の結果を踏まえて事業者に対して述べる意見の調整方法等について次の(ア)から(エ)までに掲げる事項に留意の上、予め安全委員会等で定められている場合は、電子メール等を活用した即時性のない方法により開催することとして差し支えないこと。
(ア) 資料の送付等から委員が意見を検討するための十分な期間を設けること。
(イ) 委員からの質問や意見が速やかに他の委員に共有され、委員間で意見の交換等を円滑に行うことができること。その際、十分な調査審議が可能となるよう、委員全員が質問や意見の内容を含む議論の経緯を確認できるようにすること。
(ウ) 委員からの意見表明等がない場合、当該委員に対し、資料の確認状況及び意見提出の意思を確認すること。
(エ) 電子メール等により多数の委員から異なる意見が提出された場合等には委員相互の意見の調整が煩雑となることから、各委員から提出された意見の調整に必要な連絡等を行う担当者を予め定める等、調査審議に支障を来すことがないようにすること。

5.情報通信機器を用いた面接指導

「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項(長時間労働)、
第66条の8の2第1項(研究開発業務従事者の長時間労働) 、
第66条の8の4第1項(高度プロフェッショナル労働者の長時間労働)及び
第66条の10第3項(ストレスチェック)の規定に基づく医師による面接指導の実施について」
基発0915第5号 平成 27年 9月 15日 一部改正基発0704第4号 令和元年7月4日 一部改正 基発1119第2 号 令和2年11月19日)

情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について|安全衛生情報センター (jaish.gr.jp)
または、
202012021428.pdf (mhlw.go.jp)

(以下に主要部分を抜粋)

2 情報通信機器を用いた面接指導の実施に係る留意事項
(1) 事業者は、面接指導を実施する医師に対し、面接指導を受ける労働者が業務に従事している事業場に関する事業概要、業務の内容及び作業環境等に関する情報並びに対象労働者に関する業務の内容、労働時間等の勤務の状況及び作業環境等に関する情報を提供しなければならないこと。また、面接指導を実施する医師が、以下のいずれかの場合に該当することが望ましいこと。
① 面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合
② 面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。
③ 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。
④ 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に指導等を実施したことがある場合。

(2) 面接指導に用いる情報通信機器が、以下の全ての要件を満たすこと。
① 面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。
② 情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。
③ 労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

(3) 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法等について、以下のいずれの要件も満たすこと。
① 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。
② 情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。

(4) 情報通信機器を用いた面接指導において、医師が緊急に対応すべき徴候等を把握した場合に、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応したり、その事業場にいる産業保健スタッフが対応する等の緊急時対応体制が整備されていること。

6.議事録の保存(基発0827第1号令和2年8月 27 日)
(注;4.情報通信機器を用いた安全衛生委員会の開催と同じ通達)
法第 103 条第1項及び労働安全衛生規則(昭和 47年労働省令第 32 号)第 23 条第4項に基づき、書面により記録し、これを保存する。

なお、電磁的記録により作成及び保存する場合には、平成 17 年3月31 日付け基発第 0331014 号「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令について」記の第2の1の(4)において「労働基準局所管法令の規定に基づく書類については、労働基準監督官等の臨検時等、保存文書の閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていることが必要であること」等とされていることに留意する必要があること。

7.情報通信機器を用いた産業医の職務
「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について」
基発0331第4号 令和3年3月31日

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210401K0070.pdf

・労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置(安衛則第14 条第1項第9号関係)
医学に関する専門的知識を踏まえた検討を行うことが求められているものであり、視覚や聴覚を用いた情報収集だけでなく、臭いや皮膚への刺激等嗅覚や触覚による情報を得る必要もあることが想定されることから、原則として、事業場において産業医が実地で作業環境等を確認すること。
報告書等を確認する等により、産業医が実地での作業環境等の確認は不要であると判断した場合には、この限りではない。

・定期巡視(安衛則第15 条関係)
少なくとも毎月1回(安衛則第15 条で定める条件を満たす場合は少なくとも2月に1回)、産業医が実地で実施する必要があること。定期巡視においては、作業場等を巡視し、労働者にとって好ましくない作業環境や作業内容等を把握するとともに、健康診断や健康相談だけからでは得られない労働者の健康に関する情報を得て、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、その場で労働者の健康障害を防止するための必要な措置を講じる必要があること。

・安全衛生委員会等への出席(法第17 条、第18 条及び第19 条関係)
情報通信機器を用いてオンラインで開催される安全衛生委員会等へ出席する際には、「情報通信機器を用いた労働安全衛生法第17 条、第18 条及び第19 条の規定に基づく安全委員会等の開催について」(令和2年8月27 日付け基発0827 第1号)に基づく必要があること。

8.専属産業医が他の事業場の非専属の産業医を兼務することについて
「専属産業医が他の事業場の非専属の産業医を兼務することについて」の一部改正について
基発0331第5号 令和3年3月31日

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T21040

※「基発0331第4号 令和3年3月31日」の発出に伴い「基発第214号 平成9年3月31日」を変更

1). 専属産業医の所属する事業場と非専属事業場とが、[1]労働衛生に関する協議組織が設置されている等労働衛生管理が相互に接し関連して行われていること、[2]労働の態様が類似していること等一体として産業保健活動を行うことが効率的であること。
2). 専属産業医が兼務する事業場の数、対象労働者数については、専属産業医としての趣旨及び非専属事業場への訪問頻度や事業場間の移動に必要な時間を踏まえ、その職務の遂行に支障を生じない範囲内とし、衛生委員会等で調査審議を行うこと。
なお、非専属事業場への訪問頻度として、労働安全衛生規則第15 条に基づき、少なくとも毎月1回(同条で定める条件を満たす場合は少なくとも2月に1回)、産業医が定期巡視を実地で実施する必要があることに留意すること。

3). 対象労働者の総数については、3千人を超えてはならないこと。

9.テレワーク実施時においても、労働基準法上の労働者には、労働基準関係法令が適用される

10.使用者は、労働者の労働時間を適切に管理する義務がある。通常の労働時間については、みなし労働時間制が適用される労働者等を除き、「労働時間の適正な把握のための使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づいた労働時間管理を行わなければならない。同ガイドラインでは、例えば、労働時間を記録する原則的な方法として、パソコンの使用時間の記録等、客観的な記録によることが挙げられている。

11.テレワークを行う労働者に対しても1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は、60分以上の休憩を与えなければならない。また、休憩時間帯は、所属事業場の休憩時間帯と合わせる必要があるが、労使協定により異なる時間帯にすることもできる。

12.テレワーク(在宅勤務)している労働者の自宅は、労基法、安衛法上の「事業場」にはあたらない。
根拠;労働事務次官通達(昭和47年9月18日発基第91号)
そのなかで、例外として、「場所的に分散しているものであっても規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場という程度の独立性が無いものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱う」とされている。

13.テレワークは、働く場所、働き方により主に、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務の3つに分けられる。そのうち、サテライトオフィスは、複数の労働者が勤務することから、事業場として取り扱うことができるが、実態に即しての判断となる。

14.テレワーク(在宅勤務)においても、労災保険は適用される。実際に、適用された事案がすでに複数ある(産保センター情報)。

 

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感染拡大(第6波)

2022年01月25日 | 情報

新型コロナウイルスの感染拡大(第6波)に伴い、再度メンタルヘルス対策の留意点を確認しましょう。

1.テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

https://www.mhlw.go.jp/content/000759469.pdf

8) テレワークにおける安全衛生の確保
(2) 自宅等でテレワークを行う際のメンタルヘルス対策の留意点
テレワークでは、周囲に上司や同僚がいない環境で働くことになるため、
労働者が上司等とコミュニケーションを取りにくい、
上司等が労働者の心身の変調に気づきにくいという状況となる場合が多い。
このような状況のもと、円滑にテレワークを行うためには、事業者は、
別紙1の「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」を活用する等により、
健康相談体制の整備や、コーションの活性化のための措置を実施することが望ましい。

また、事業者は、事業場におけるメンタルヘルス対策に関する計画である「心の健康づくり計画」を
策定することとしており(労働者の心の健康の保持増進のための指針(平成 18 年公示第3号))、
当該計画の策定に当たっては、上記のようなテレワークにより生じやすい状況を念頭に置いた
メンタルヘルス対策についても衛生委員会等による調査審議も含め労使による話し合いを踏まえた上で記載し、
計画的に取り組むことが望ましい。

(重要です)以下の2種のチェックリストを活用してください
(別紙1)テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト【事業者用】 [Excel形式:22KB]
(別紙2)自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト【労働者用】[Excel形式:17KB]

2.職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド第 5 版(修正済)’21.5.12

https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID19guide210512koukai0528revised.pdf

ガイドより、以下にメンタルヘルス対策関連事項を抜粋しました。

◎表 2 在宅勤務における課題

従業員のメリット
 ワークライフバランスが向上する
 通勤がなく時間的・身体的負荷の軽減される
 業務に集中できる環境の確保しやすい(個人が使い慣れている機器や備品)
 育児や介護との両立が可能となる

事業者のメリット
 従業員の感染リスクを低減できる
 労働生産性の向上が期待できる
 オフィス関連コストが削減できる
 人間関係のトラブルが低下する

従業員のデメリット
仕事とプライベートの区別が難しい
 帰属意識の低下を招くことがある
 モチベーションの維持が難しい
 運動不足になりやすい
 上司とのコミュニケーションが取りにくい
 疎外感・適応への困難・昼夜逆転などのメンタルヘルス不全を誘発することがある
 業務に集中できる環境を確保しにくい(椅子・机・照明・静寂などが不十分)

事業者のデメリット
 労務管理が難しい
 双方向の意思疎通が低下しやすい
 情報漏洩リスクが増える可能性がある
 教育育成・業務評価などが難しい
 労働生産性が低下することがある

◎在宅勤務における健康対策
次の様な対策例を参考にして、より良い在宅勤務環境のための整備や工夫を行う。
(1) 業務とプライベートの切り分け
 業務の開始と終わりを、勤務開始時と終了時に上司に連絡する。
 昼休みや休憩をきちんと取る。昼休みは軽く散歩をするなど外出の機会に充てるとよい。
 オフィス勤務時と同様に毎朝の身支度や身繕いはきちんと行う。

(2) コミュニケーション方法の検討
 定期的に電話会議や Web 会議ツールを利用し積極的なコミュニケーションを行う。
 緊急時を除き、勤務時間外の連絡やメールはできるだけ控える。
 可能ならば出勤機会(週 1 回・2 回とか)を設けることも大切である。

(3) 在宅勤務の限界を理解する
 在宅勤務のデメリットに留意しつつ、そのメリットを周囲の者と共有すること。
 在宅勤務で効果を上げるための方法をチームで考え実行する。
 在宅勤務環境の整備が困難な場合は、オフォス勤務時と同じレベルのアウトプットを求めない。

 

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