中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

ユニークな休暇制度

2013年03月29日 | 情報
有給休暇は、なかなか取得しづらい状況にありますが、
会社側が仕掛けることにより、従業員が心身両面の疲労を回復させる機会を作ることは、MH対策でとても重要な施策でしょう。

高島屋のユニークな休暇制度 社員がホッとする配慮とは?
2013/3/24 産経
企業の中にはユニークな休暇制度を導入しているところがあるが、
大手百貨店の高島屋に「スクールイベント休暇」という、ちょっと変わった有給休暇制度がある。
子供の授業参観や運動会など、学校行事への参加を理由に年2回取得できるもの。
昨今、仕事と家庭を両立させるワーク・ライフ・バランスが関心を集めているが、
一般のサラリーマンが休みの日が忙しいのが百貨店の世界。
家族と過ごせるこの休暇は、社員にとってホッとする休日になっているようだ。
.堺店(堺市堺区)で紳士服売り場の課長を務める清水大介さんは、毎年この制度を利用して休みをとる。
昨年4月には、長男の小学校の入学式の日に取得した。
次男がまだ小さく、妻が長男の学校行事に参加するにも、次男の面倒をみないといけないため、
「結局、家族4人で参加することにならざるをえない」からだ。
.小売りの最前線である売り場の責任者である清水さんにとって、たとえ1日でも職場を離れることには不安がある。
しかし、子供にとっては、こちらはこちらで入学式は学校生活への期待と不安でいっぱいだ。
「やはりそんな時こそ、親として子供のそばにいてやりたい」と話す。
.いつも帰宅する頃には、子供たちは夢の中。
それだけに「子供たちががんばっている姿は、その場できちんと見届けたい」という思いも強い。入学式や授業参観は午前中で終わる。
運動会や学芸会なども午後には終了し、その後は家族そろって食事をするなど、親子水入らずのひとときを過ごす。
.この「スクールイベント休暇」という休暇制度は、一般の企業ではあまり見られない。百貨店ならではといえる。
というのも、百貨店は週末が稼ぎ時。学校の行事が週末にあっても、おいそれと有給休暇は取りづらい。
高島屋はかつて水曜日を定休日としていたが、いまは事実上、元日以外は定休日というものはほとんどなくなってしまった。
.そのうえ、「経営の効率化で、従業員の数も年々減っており、休暇をとりたいとは言い出しにくい雰囲気ができてしまった」と、
中川荘一郎・人事政策担当次長は話す。
また、百貨店はもともと女性社員の割合が高い職場だけに、家庭に戻れば母親としての役目もある。
ワーク・ライフ・バランスへの関心が次第に高まっていくなかで、対応が必要になってきたという事情もある。
そこで同社は、育児や介護などの際に取得できる休暇や休職制度を昭和61年から順次導入し、体制を整えていった。
スクールイベント休暇もその一環で、平成19年に導入した。
スクールイベント休暇は正社員だけでなく、アルバイトや契約社員も対象で、希望する取得日の前月上旬までに申請する。
申請を受けて、上司は勤務シフトを調整して休暇を取れるようにする。
.同社にはこの制度以外にも、失効した有給休暇を積み立てて、育児や不妊治療のための休暇にあてられる「リザーブ休暇」、
単身赴任者が一時帰宅のために取得できる「おかえりなさい休暇」といったユニークな休暇制度もある。
清水さんは、休暇を取ることで仕事へのモチベーション(動機付け)が上がったことを実感するという。
.また、仕事を進める上でも、分担しながら協業できる体制を普段から心がけるようになり、
「気軽に休暇が取得できる職場の雰囲気づくりに努めている」と話す。
管理職として大切な仕事である。「子育ての経験で得たスキルを、仕事でも生かしてほしい」と中川次長。
思う存分仕事ができるのは、やはり家族の支えがあってこそ。スクールイベント休暇は、
そうした家族の大切さを再認識する貴重な機会になっている。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130324-00000503-biz_san-nb&p=2

高島屋の取り組み状況
http://www.takashimaya.co.jp/corp/sigoto-seikatu/wlb_1.html

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「中小企業のうつ病対策」のテーマで講演

2013年03月28日 | 情報
先だって、社労士の勉強会で「中小企業のうつ病対策」の講演をしました。
会員のHPにその模様が掲載されましたので、以下に紹介します。

社労士たまごの会の勉強会
http://blog.livedoor.jp/syaroshitamagonokai/archives/25858287.html
(省略)午前は、橋本幸雄先生による『中小企業の「うつ病」対策』。
橋本先生は、長年在籍した企業での実務経験と社労士の知識・体験とを合わせて、メンタルヘルス問題に取り組まれています。
また、千葉県東葛支部メンバーを中心とした「みどり研究所」で、労働安全衛生に係る諸問題について研究・提言をされています。
 精神疾患の中でもその大半を占める「うつ病」に焦点を絞り、「うつ病社員を出さない、つくらない」
「うつ病り患社員を職場復帰させる」ことを目標とした中小企業を対象とするうつ病対策プログラムについてお話いただきました。
 その重要性は認識しつつも、中小企業では十分な対策がなされていないというのが現状。
 ①予防 → ②早期発見+治療 → ③職場復帰+再発防止 の流れを基本に、②の「うつ病患者が出てしまった」ところから、
治療に専念させるための制度や職場復帰のための支援制度、就業規則の整備など、企業がとるべき対策をステップごとに、
また、それらの運用上の注意点なども合わせてお話いただきました。
中でも「主治医への会社状況(業務)の説明」や復帰前の「試し出勤制度」などは、
適切な治療をし、無事に復帰してもらうための重要な対処だと感じました。
 メンタルヘルス対策に適う組織づくりをする上では、
あくまでも他社員との公平性や私企業としての支援の限界を認識しなければならない点も指摘され、
精神科医、産業医、人事担当者、はたまた弁護士など、「うつ病」にそれぞれ個別に関わる多くの専門家を有機的につなぎ、
行政と民間の支援などもうまくコーディネイトしていくべきとのことでした。
これぞ社労士の出番、メンタルヘルスへもっと関わっていかなければと感じました。(以下省略)

橋本社会保険労務士事務所では、企業のMH対策についての講演・セミナーの依頼を承っています。
社労士向けをはじめ、中小企業の経営層、人事労務担当、産業保健スタッフ、一般市民等を
対象にしています。特徴は、AtoZです。時間は90分から120分。詳細は橋本社会保険労務士事務所 s-hashi@ya2.so-net.ne.jpまで。
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法政大学大学院教授 坂本 光司さん

2013年03月27日 | 情報
法政大学大学院政策創造研究科教授 坂本 光司さんの著作が、MH対策にとても役立ちます.
なぜか?それは、社員・従業員・労働者を大切にする企業には、MH問題がないからです。
たくさんの著作がありますが、最も有名で参考になるのが、『日本でいちばん大切にしたい会社』です。
しかし、転載できませんので、その代わりに「日本の人事部」HPより、坂本先生のインタビューを見つけましたので、転載・紹介します。
https://jinjibu.jp/article/detl/keyperson/886/3/

社員を“幸せ”にする企業経営のあり方とは

ベストセラー『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者である、法政大学大学院・坂本光司教授は、
企業経営とは「社員とその家族」「社外社員とその家族」「現在顧客と未来顧客」「地域社会・地域住民」「株主・出資者」の
五人を幸せにすることだと説かれています。
今回はこの中から、坂本先生が第一に幸せにしなければならないとおっしゃる「社員とその家族」を中心に、
企業経営とはどうあるべきなのか、詳しいお話をうかがいました。

「社員とその家族」の幸せを第一に考える理由

―― 坂本先生は企業経営において、まず「社員とその家族」、
そして「社外社員とその家族」「現在顧客と未来顧客」「地域社会・地域住民」「株主・出資者」の
五人を幸せにする必要があると説かれています。一般的には「顧客」を重要視する会社が多いと思うのですが、
なぜ「社員とその家族」を第一に考えるべきなのでしょうか。

大きく二つの理由があります。一つ目は、多くの会社を訪問する中で、良い会社は社員を一番大切にしていることがわかったからです。
業績を高めるよりも、自分の会社に縁あって入社してくれた社員とその家族のために、一生懸命尽くしている事実を目の当たりにしました。
社員第一主義を実践している会社は業績がぶれません。一方で、業績第一主義や株主第一主義で経営を行っている会社は、
残念ながら業績がぶれることが多い。

当初は、社員第一主義を実践している会社があっても、
私としては「少し変わった経営者がいるな」「そういう見方や考え方があるのか」といった認識でした。
しかし、北海道、東北から九州、沖縄まで、全国各地の企業を訪れる中で、そういう会社を多く目にするようになりました。
経営者からすれば、そのような経営を行っているのは業界の中で1~ 2社、あるいは地域でも1~ 2社しかない、という感覚だったでしょう。
実際、利益を追求する従来の経営学の見地からすれば、明らかに考え方が違っています。
そのため、自分たちの行っている経営について、少なからず疑心暗鬼の部分があったと思います。

しかし、会社訪問を続けていくに従って、社員第一主義を貫く経営を行っている会社が相当数に上っていき、
統計的に処理できる数に達した時、「理論」であり、「経営学」であると確信しました。
これは現場から学ばせてもらったものであり、私は横糸を通しただけのことです。
決して、私が新しく提唱した理論や経営学ではありません。
当時は「異端」と言われていた経営者の方たちがコツコツと実践されてきたものを、私は理論化・体系化しただけに過ぎないのです。

このような事実を、多くの会社に対して提示していかなくてはならないと思いました。
なぜ社員とその家族の幸せを考えることが大事なのかという理由も含めて、
社員第一主義を実践している会社の経営について大学で教えていくと同時に、いろいろな場で語ることも始めていきました。

―― 二つ目の理由は何ですか。

お客様に嫌われた会社には、未来がありません。それは商品・サービスも同様で、歴史が証明しています。
だから顧客第一主義という経営学がもてはやされました。しかし、私は「ちょっと待てよ」と思いました。
顧客に嫌われた会社や商品・サービスに未来がないのは事実ですが、
その顧客が満足するような商品・サービスを作るのは社員にほかなりません。
社員が会社組織に対して愛情を持っていなければ、お客様が満足するような商品・サービスを作り出すことはできないでしょう。

日本では松下幸之助氏が「お客様は神様です」と提唱して以来、顧客第一主義が長らく経営における中心的な考え方となっていました。
それを否定はしませんが、お客様に喜んで買ってもらえるような商品やサービスを提供するのは社員です。
果たして社員満足度の低い会社が、お客様の満足度を高めるような経営を行い、商品・サービスを提供できるでしょうか。
お客様が大事だからこそ、社員はもっと大事なのです。

自分が所属する組織や直属の上司に対して不平・不満や不信感を持っている社員が、
組織や上司のために全身全霊で仕事をするかというと、それは難しいでしょう。
逆に、組織や上司が自分のことを大切に思って支援し、尽力してくれたら、それに応えようと一生懸命に働くはずです。
私自身も少しばかりサラリーマン経験があり、何人かの上司の下で働いたことがありますから、このことは実感としてよく分かります。
だからこそ、社員の満足度を高める必要があるのです。これが二つ目の理由です。

社員を大切にし、社員の満足度を高めることは、別に新しい経営学ではありません。
これは王道であり、原理原則、自然の摂理だと思います。

―― そうした考え方に、注目が集まってきたのはいつ頃からですか。

つい最近のことです。1990年代にバブル経済が崩壊した後、日本経済は停滞。
一方で経済のグローバル化が進み、株主第一主義が謳われるようになりました。
成果主義を中心とした経営が行われ、事業再編、M&A、リストラが断行されていき、2008年にはリーマンショックが発生。
多くの人が行き詰まりを感じる中で、2011年に東日本大震災が起き、今までの価値観が大きく揺らぐことになりました。

現在は、厳しい時代であることは事実ですが、皆が大切なことに気づき始めたように思います。
人は、お金のために生きているのではありません。幸せになるために生きているのです。
昭和33年の創業以来増収増益を続けている、寒天メーカーの伊那食品工業の塚越会長は
「これまでも、またこれからも社員のリストラはやりません。なぜなら、人件費はコストではないからです。
人件費は、目的である社員の幸福を実現するための生活費だからです」と仰っています。

一般的に、人件費はコストと考えられます。コストと考えるから、安いほうがいいと考えるわけです。
しかし、目的と考えるなら、そうした考えは出てこないでしょう。企業の経営者の方たちには、
それが理想や理論などと考えるのではなく、実際に実践している企業があり、
高い業績を上げているという事実があることに目を向けてほしい。しかも、近年はそうした会社が社会的にも評価を高めています。

『日本でいちばん大切にしたい会社大賞』が求めるものとは

―― 『日本でいちばん大切にしたい会社大賞』の応募基準や審査基準には、坂本先生のそうした思いが反映されていますね。
またそのことで、多くの人が人を大切にすることの重要性を認識したように思います。

応募基準については「本当にこんなことができる会社があるのか」など、未だに厳し過ぎると言われます。
具体的に言うと、東日本大震災などの自然災害の場合を除き、過去5年以上に渡って以下の五つの条件に該当していることが条件です。

1.人員整理、会社都合による解雇をしていないこと
2.下請企業、仕入先企業へのコストダウンを強制していないこと
3.障がい者雇用率は法定雇用率以上であること
4.黒字経営(経常利益)であること
5.重大な労働災害がないこと

審査基準では「社員と家族」「外注先・仕入れ先」「顧客」「障がい者雇用等社会貢献」「企業継続のための布石」などの項目に
関する細かなチェックリストを設けていますが、「社員と家族」に対するウエートが非常に大きいことが特徴です。
「社員と家族」に関する項目で審査対象になるのは、「離職率」「労働紛争の有無」「残業時間」「正社員比率」
「定年年齢」「教育訓練時間」「自社独自の福利厚生制度の有無」「有給休暇の取得率」など。
他の表彰制度では、あまり見かけることのない項目が数多く並んでいますが、私としてはあるべき姿を打ち出したつもりです。
誠実に生きようとしている人々なら、よくぞ作ってくれたと思うような審査基準です。

実は、2012年3月に経済産業省を退官した方から、「これまで30以上の表彰制度を作ることに参画しましたが、
『日本でいちばん大切にしたい会社大賞』の応募基準と審査基準ほどのものはありませんでした。
どうかこの基準に合う会社を増やすためにご尽力ください。それが私たちの願いです」という内容の手紙をいただきました。
胸がジーンとくると同時に、この賞を大切に育てなくてはいけないと思いました。

リストラを行って業績が改善しても、それは一時的なものです。その後、会社を良くしようと誰が思うでしょうか。
だからリストラをせず、給料を下げてでも雇用を守っていかなければなりません。
ここまで述べてきたような正しい経営を行っていれば、おのずと業績はついてくると信じています。
なぜなら、実際に正しい経営を実践し、何十年間も安定的に業績を伸ばしている会社を何百社も見てきたからです。
厳しい時代だからこそ、五人に対する使命を果たして、人と組織に活力を生み出していくべきです。
『日本でいちばん大切にしたい会社大賞』に該当する企業が多数派を占めるようになれば、日本は再び世界から尊敬されると思います。

―― しかし大企業の経営者だと、どうしても短期的な業績を追わざるを得ないように思います。

サラリーマン経営者が多くなりますから、そういう側面もあるでしょう。
しかし、2年なら2年、4年なら4年という任期の中で、株主第一主義ではなくて、社員第一主義を貫くことは可能だと思います。
事実、第2回『日本でいちばん大切にしたい会社大賞』で経済産業大臣賞を受賞したのは、東証一部上場会社であるツムラでした。
同社の芳井会長は、創業者一族の関係者ではありません。オーナー経営者ならできる、
サラリーマン経営者ではできないということではないのです。重要なのは、経営者に強い意志や決意があるかどうかです。
正しい経営者なら、その想いを貫くはずです。事実、芳井会長は「社員とその家族を大切にする経営を行います。
そして、企業は存続するために、ただ単に利益を出せばよいというものではなく、社会の中で事業を営む以上、
積極的に社会とともに生きていく意識を持つ必要があると社員に語り続けてきました」と仰っています。
このことで社員のモチベーションは高くなり、業績も上がって、ツムラは立て直されていったのです。

会社が赤字だとしても、それは不況が原因ではありません。
「人を大切にする」という正しい経営を行っていないから、社員のモチベーションが低くなり、赤字になるのです。
経営者は業績を高めるのではなく、社員のモチベーションを高めることに力を注ぐことです。そうすれば、自ずと業績は高まっていきます。

―― 近年、顧客重視そして株主重視の考え方から、社員を大切にする経営が徐々に浸透してきているように感じます。

社員の意識も、随分と変わってきたと思います。働く目的が、お金のためだけではなくなっているのです。
賃金や企業名、企業規模、企業としての歴史などへの関心は低くなり、「幸せになる」という軸で企業を見る人が増えています。

―― ところで、一時多くの企業で導入された成果主義については、どのようにお考えですか。

問題なのは、行き過ぎた成果主義です。私は、会社とは足し算ではなく、掛け算の組織であるべきだと思っています。
二人で四人分の付加価値を上げる、四人で八人分の成果を出すといったことができるのが、組織の良いところです。
しかし、行き過ぎた成果主義は、組織におかしな競争原理を導入しました。
足し算や掛け算どころか、社員同士が助け合ったり、協力し合ったりさえしなくなり、組織としての機能が失われてしまいました。

だからこそ、「会社は家族」と考えるべきなのです。社内に、仲間同士のぬくもりがなければいけません。
もともとの日本的な経営の強さとは、仲間同士が助け合い、協力し合って組織としての成果を出していくことです。
会社は家族だと思っていれば、誰かに何かが起こった時でも自分のこととして考え、支えようとすることができます。
場合によっては、自分がその責を負うことも辞さないでしょう。

私の教え子である、熊本県にある機械メーカーの社長は、リーマンショック後に売上高が7割減った時、リストラを行いませんでした。
では何をしたかというと、業績不振の原因は社長自らにあると考え、自分の報酬を1ヵ月1ドルにしたのです。
実質、無報酬です。その後、他の役員の報酬や部課長の給料は下げたそうですが、一般社員の給料は1円たりとも下げませんでした。
社員はこの社長の決断に賛同し、共感し、共鳴しました。「1日も早く社長の報酬を上げなければ」と頑張ったそうです。
結果、1年で業績は回復し、現在では過去最高の売上高を記録しています。社員を家族と思い、大切にしていく。
こうした経営を貫けば、社員は必ず付いてきます。

社員を幸せにするために、人事部が取り組むべきこと

―― 人材教育の重要性と社員の幸せとの関連について、どのようにお考えですか。

人間には、成長したいという欲求があります。その欲求を満たすためには、個人の努力が必要ですが、会社として支援することも重要です。
社員を幸せにすることが会社の目的だからです。人は成長していなければ、幸せと感じることができません。
個人でやるべき問題は別ですが、会社としても個人が成長できる環境を準備するべきです。

具体的には、社員教育に関してもっと費用や時間を取るべきでしょう。というのも、
会社の教育訓練費用、教育訓練時間と会社の業績を調べてみると、正の相関関係があるからです。
考えてみれば、これは当たり前のことです。人を教育することは、人を伸ばすということであり、能力やスキルだけでなく、
人をより魅力的にすることです。
これは良い商品を作るだけでなく、お客様に対して良いサービスを提供し、良い関係を構築していくことにもつながります。
それが結果として、会社の業績を高めることになるのです。

―― 社員を幸せにするために、効果的な福利厚生施策はありますか。

社員とその家族の永遠の幸せを実現するという考えにおいて、福利厚生は非常に大事な要素だと思います。
本人と家族に何かあった時に保障がされている、支援の仕組みがあるというのは、とても重要なことです。
本人だけでなく、家族に対しても大きな支えとなります。

特に、法定外福利厚生に対する気配りがポイントとなります。一例を挙げるなら、「メモリアルデー」。
社員の誕生日にはランチを用意するなどして、職場の皆で祝ってあげます。
また、その日は残業をさせないで、定時に帰ってもらいます。その際、バースデイケーキを持たせてあげるといいでしょう。
さらに、社員の家族の誕生日にも、メッセージカード付きのお祝いの品を贈ってあげることです。
こうしたちょっとした工夫と心配りで、会社が社員とその家族を大切にしていることを理解してもらえます。

また、社員食堂にも力を入れるといいでしょう。日本企業は生産設備にはお金をかけますが、
社員食堂にはあまりお金をかけないケースが多い。
しかし、忘れてならないのは、社員食堂は会社内の「憩いの場」であるということです。
午前中の疲れを癒して午後の仕事に向けての鋭気を養う場であり、社員同士のコミュニケーションの場です。
だからこそ、社員がくつろげるように、できるだけ良い環境を用意したいものです。
会社が社員を大切にしているという想いは、モチベーションにつながります。
これらのようなことからも、福利厚生には大きな意味があると思います。

―― 社員を幸せにしていく上で、人事部門はどのようなことを心がけ、実践していけばいいのでしょうか。

人事部は組織の要となる部門です。私は、人事部の動きによって、組織としての成績が決まると思っています。
なぜなら組織にとって、人ほど大切なものはないからです。

人事部は社員を管理するのではなく、伸ばしていくこと、個性を発揮させることを考えるべきです。
あるいは、困っている時に助けること、そして、何よりも社員を幸せにすることを念頭に置かなければなりません。
その点で、部下と直接的に対峙するライン長とは立場が異なります。

人事部により、社員は活かされもしますが、活かされなくなることもあります。
だからこそ、一人ひとりの社員が幸せだと感じられるような人事施策を行ってほしいと思います。
そのためにも、1年に1度は「社員満足度調査」を実施するべきです。場合によっては、嫌な結果が出てくるかもしれません。
しかし、そうした「事実」をつかんでおくことが重要なのです。できれば記名にして、どんどん意見を言ってもらうことです。
もし私が人事担当ならば、厳しい意見を書いた人には、詳しい説明を聞きに行きます。
そして、それを組織や制度の改善・改革へと活用していくことを考えます。もし実行に移されれば、社員は大きな感動を覚えるでしょう。
また、自分の意見を聞いてくれたことで、人事部に対する信頼も高まるでしょう。
人事の皆さんには、社員の幸せのためにも、このような取り組みをぜひ行ってほしいと思います。

―― 本日はお忙しい中、貴重なお話をうかがうことができました。ありがとうございました。
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職場復帰支援を成功させるには

2013年03月26日 | 情報
いま、MH対策で最も重要で、注目されているのが、「職場復帰支援対策」です。
しかし、企業・組織の人事労務担当の、アタマを悩ませている課題でもあります。

この課題を解決するには、大まかに、
・EAPに委託する
・厚労省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を手掛かりに、自社に相応しい対策を社内で構築する
・そして、橋本社会保険労務士事務所のアドバイスを求める
でしょう。

長短を考えると、EAPに委託する場合は、コストの問題があります。
厚労省のマニュアルは、参考にはなりますが、この手引きだけでは、自社に相応しい対策を構築することは無理でしょう。
たとえ、顧問の弁護士や社労士の先生がいても、MH問題に精通しているわけではありませんので。
そこで、コストをかけないで何とかならないか、という中小企業の担当者の皆さんに、いい情報を見つけました。
それは、鳥取県がサイト上に公開している「復職支援制度の手引」です。
検討のきっかけにはなるでしょう。
http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/450587/fukushokusientebiki.pdf#search=
'%E9%B3%A5%E5%8F%96%E7%9C%8C%E5%BE%A9%E8%81%B7%E6%94%AF%E6%8F%B4%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%89%8B%E5%BC%95%E3%81%8D'

この手引を参考にして、御社の職場復帰支援制度を考えてみてはどうでしょう。
疑問や不足分は、橋本社会保険労務士事務所がお手伝いします。
もちろん、「職場復帰支援対策」のAtoZについても、EAPよりずっと安価でアドバイスいたします。
お問い合わせは、s-hashi@ya2.so-net.ne.jpまで、どうぞ。
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「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」

2013年03月25日 | 情報
厚労省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」は、
争いにおける判決理由に引用されるようになり、企業の人事労務担当や健康管理部門の担当者が
「知らない・読んでいない・理解していない」では、もはや、通用しなくなりました。
あらためてもう一度、精読・熟読してください。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/101004-1.html
なお、拙著「中小企業のうつ病対策」にも全文を掲載しています。それくらい重要な通達です。

休職中の検査技師に対する解雇の相当性と賃金請求権の範囲を争った、大阪府保健医療財団事件の判決(大阪地判平成18・3・24)に
この「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引」が引用されたことから、
本手引きの重要性・位置づけに変化が起こり、平成21年3月、本手引きの改訂に繋がりました。

さらに、建設技術研究所事件(大阪地判平24.2.15)の判決においても
「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引」が引用されたことから、
今後、当手引きの重要性がますます高まることになります。
当手引きに従い、企業・組織のMH対策を推進するよう努めることが当然のこととなるでしょう。

ただ、当手引きの考えを、企業・組織の「就業規則」に翻訳するには相当の手間暇と知識が必要です。
さらに、現実の事業所において惹起する、職場復帰支援を運用するためには、
この「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」でも間に合いません。
その理由は、実際に実務をご担当される皆様には、ごく当たり前に理解頂けることと思います。
それでは、どうするのか?

御社自身で、顧問弁護士・産業医・社労士等の知恵やアドバイスを借りて、御社の企業文化に相応しい職場復帰支援制度と
その運用マニュアルを制定する、
または、EAPに丸投げして実現する、
あるいは、職場復帰に関する就業規則・復帰マニュアル・そのための運用マニュアルまで準備している、
橋本社会保険労務士事務所がお手伝いする、このいずれかでしょう。
メール等による質問・問い合わせには無料で対応させていただきます。s-hashi@ya2.so-net.ne.jpまで。




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