中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

パワハラに罰則含め法規制

2017年08月31日 | 情報

早急に法制化されることを期待します。
過労⇒うつ病発症⇒自死、という流れには、長時間労働が原因という報道が主流です。
しかし、電通自死事件も、先の新国立競技場工事における自死事件も、
報道に接する限り、長時間労働に「パワハラ」が重なっていると推定できます。
パワハラは、言った言わない、やったやらない、の水掛け論に陥る場合が多いのです。
法制化できれば、それだけでも抑止効果が期待できます。

パワハラに罰則含め法規制 政府検討 対象の線引きに課題
8/27(日) 産経

職場におけるいじめや嫌がらせなどのパワーハラスメント(パワハラ)に対し、
政府が罰則を含めた法規制の検討に着手したことが26日、分かった。
パワハラを原因とする「心の病」が増えており、最悪の場合には自殺に至る恐れもあることから、労働者側から規制導入の声があった。
ただ、どのような行為が規制対象になるかは線引きが難しく、導入に向けて紆余(うよ)曲折が予想される。
厚生労働省によると、パワハラは労働者の生産性や意欲の低下を招き、個人にとっても会社側にも「大きな損失」と認識。
これまでも対策マニュアルを作成したり、ポスターの掲示やセミナーの開催などで啓発に努めてきた。
しかし、パワハラの悩みは年々、深刻化している。
都道府県の労働局に寄せられたパワハラ相談は平成14年度に6600件ほどだったが、
21年度に3万5759件、28年度は7万917件と、認知度の高まりとともに急増。
28年度に精神疾患にかかり労災認定された498件のうち、原因で最も多かったのが「嫌がらせやいじめ、暴行」(74件)だった。
27年末に過労自殺した電通の新入社員、高橋まつりさん=当時(24)=も、
「君の残業時間は無駄だ」などと上司のパワハラをうかがわせるメッセージを残していた。
現状では、労働基準監督署には会社に対し改善を促す強制力が与えられておらず、
具体的な取り組みは会社側の自主的努力に委ねられている。
このため、政府は拘束力のある法規制の導入を検討しているが、厚労省によると、人によりパワハラの受け止め方が異なり、
業務上の「指導」とみられるケースもあることから、会社側の責任を明確に問うのは難しいという。
むしろ事前予防の方が重要で、事後的な「制裁」という形になると、社内に監視カメラを設置したり、
互いの疑心暗鬼を生む結果になりかねないことを危惧している。
すでにセクハラ(性的嫌がらせ)やマタハラ(妊娠・出産を理由とする嫌がらせ)は法律で定義され、
企業には防止策や体制整備が義務付けられている。
また英国、フランス、ベルギーなどには、パワハラに刑事罰を科したり、防止策を義務化したりするなどの法制度がある。

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29.30日は、休載です

2017年08月28日 | 情報

29.30日は、出張のため、休載です。
再開は、31日です。

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残業が月188時間

2017年08月28日 | 情報

記事中に「過酷な勤務で次第に食欲をなくし、やつれていく様子を妻(32)は見ていた。
普段は弱音を吐かないのに、「仕事を辞めたい」と漏らしたこともあったという
。」とあります。
関係者の皆様には申し訳ないのですが、報道によれば異変の兆候が随所に出ていました。
部外者が何を言うのかとの批判を承知の上で、今になって思えば、なのですが、異変に気付いてあげたいですね。
うつ病は、本人に病識(病気だという自覚症状)がないのが、特長です。

残業が月188時間 幼子2人を残し、夫は命を絶った
17.8.23 朝日

2015年12月に自殺した、小樽掖済(えきさい)会病院(北海道小樽市)の臨床検査技師の男性(当時34)は、
直前の1カ月間の時間外労働が188時間だった。遺族の申請を受けた小樽労働基準監督署が労災認定。
遺族は今年2月、損害賠償を求めて提訴した。遺族は「責任の所在をはっきりさせたい」と言う。
訴状によると、男性は2005年に同病院に就職。15年7月ごろから、
病院の新築移転に伴って導入される電子システムの構築作業などを任されて残業が常態化した。
うつ病を発症し、同年12月に病院の屋上から飛び降りて自殺した。
小樽労基署の認定では、自殺直前の半年間で時間外労働が100時間を超えた月が4回あった。
遺族は今年2月、病院を運営する一般社団法人日本海員掖済会に約1億2566万円の損害賠償を求め札幌地裁小樽支部に提訴した。
訴状で、原告側は「被告は過酷な長時間労働を把握していながら放置し、業務量を調整する安全配慮義務を怠った」と主張している。
小樽掖済会病院は取材に「労災認定を受けたことは真摯(しんし)に受け止めており、
残業時間を短縮するなど労働環境の改善を進めている。詳細な主張などは係争中のためコメントできない」としている。
月188時間にのぼった時間外労働。過酷な勤務で次第に食欲をなくし、やつれていく様子を妻(32)は見ていた。
普段は弱音を吐かないのに、「仕事を辞めたい」と漏らしたこともあったという

幼い子ども2人を残し、自ら命を絶つまで追い詰められたのはなぜなのか。「裁判で責任の所在をはっきりさせたい」と妻は話す。
真面目で優しい夫だった。列車ではお年寄りに席を譲り、子どもが夜泣きをしたときは必ず起きてきて面倒をみてくれた。
「責任感が強く、任された仕事を断れなかったのかもしれない」と思う。
帰宅はどんどん遅くなり、入浴中に寝てしまうこともあった。食事を残すようになり、ほおはこけていった。
子どものことをいつも一番に考えていた。夢は成長した息子と2人でキャンプに行くこと。
テントも買っていたが、かなわなくなった。夫の棺とともに帰宅すると、自宅に手紙が届いた。
夫からで、「結婚して子どもが生まれて幸せだった」「ごめんね。今までありがとう」と書いてあった。
自殺の数週間後、息子を叱ると、「パパー」と声をあげて泣き続けた。夫はもういないと実感し、悲しみがこみ上げた。
「ごめんね」と息子を抱きしめた。
病院から謝罪はないという。「優しい夫が大好きで、ずっと一緒に生きていくと思っていた。
幸せな時間だったのに奪われてしまった。とにかくその責任を取ってほしい」(布田一樹)

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(参考)「労働法は守れなくて当然」はもう通用しない

2017年08月27日 | 情報

「労働法は守れなくて当然」はもう通用しない
8/2(水) 東洋経済  倉重 公太朗 :安西法律事務所 弁護士

昨今、「働き方改革」の必要性が叫ばれていますが、一方でこれまではあまり注目されていなかった、「企業が犯している労働法違反」が摘発されるリスクが高まっています。これまで、労働法に反する時間外の長時間労働やサービス残業などは、「ある程度は仕方ない」「現実は法律と違う」といった理屈で、野放しになっていたのが現実です。
しかし、時代は完全に変わりました。長時間労働に関する労災事件などがニュースバリューを持ち、厚生労働省が労基法違反企業の名称を公表するとそれが報道されるようになりました。また、これまで労働時間の上限については法的規制がなかったところに、今後法改正による労働時間の上限規制が行われ、刑事罰も科される可能性があるなど、労働時間をめぐる問題は大きく変化しています。

■「知らなかった」では済まされない
近時の長時間労働による健康被害に関する報道状況や社会的関心からすれば、労働時間の問題は、どのような規模の企業にとっても、コンプライアンス(法令順守)における最上位項目と言っても過言ではありません。これまでは意識が低かった経営層も、もはや「そんなことが違法になるなんて知らなかった」では済まされないのです。
人事担当者のみならず、経営幹部、管理職が知っておくべき長時間労働のリスクについて、改めて整理しておきたいと思います。特に長時間労働の放置に関しては、労働基準監督署(労基署)からのリスクのみならず多方面にわたります。
これまでは、労働時間の問題は「人事(総務)に任せた」という考えの経営者の方は多かったと思います。しかし、今後は知らないことが最大のリスクになります。また、労働時間を実際に運用・管理するのは現場の管理職です。したがって、人事・総務・法務などの管理部門ではなく、現場管理職の方が問題を理解する必要があるのです。もちろん、すべての働く方にとっても、長時間労働のリスクを理解し、仮に会社が無理解であれば、会社の考え方を改めてもらうよう働きかけることもまた重要でしょう。
まずは、行政責任について見ていきましょう。長時間労働による行政責任として大きいのは「労災責任」です。うつ病などの精神疾患について、厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めています。この基準を満たすと、「業務上災害」として労災保険給付が支給されることになります。長時間労働については、同認定基準において残業時間(1カ月当たりの法定労働時間を超える残業時間数)80時間を超えると労災が認められやすくなり、100時間を超えると相当程度の確率で認められ、160時間を超えるとそれだけで労災認定がなされるという関係にあります。
近時の労災認定における「労働時間」のとらえ方は、会社に滞在する「在社時間」=「労働時間」とされるケースが多く(本来在社時間と労働時間は別物ではあるはずですが)長時間労働が認められやすい傾向にあります。

■自社名が「ブラック企業」として検索上位に
そして、最近の行政の動きとして怖いのは、「企業名の公表」です。過労死が発生したり、100時間を超える長時間労働が一定割合認められ、労基法違反があるなどの場合には、厚生労働省HPに企業名が出ることがあります。これがウェブメディアで「国が認めたブラック企業リスト!」などのタイトルで記事化され、ついには配信先であるヤフーニュースなどの大きなメディアにも露出してしまうことも少なくありません。そうすると、一般の人が会社名で検索をかけた時、ネガティブなニュースやまとめサイトが多数に上位表示させるようになってしまうのです。
インターネット上の情報は、一度テキストとして残されてしまうと、消えることなく残り続けます。こうした事態を招くと、企業イメージに与えるダメージは深刻です。具体的には、新規取引の停止や既存契約の解除、官公庁の入札停止、銀行融資ストップや引き揚げなどがありえます。新卒採用にも影響する例があり、会社説明会を開催しても誰も学生が来なかったり、大学から出席を拒否される例も見られます。こうした損害を数値化することは難しいですが、本業利益に直結し、場合によれば次に述べる民事損害賠償責任よりもよほど大きいというケースもあります。近年はもっとも重要な観点です。
次に、民事責任です。労災が認められた事案では、ほぼ例外なく、後に長時間労働を原因とする安全配慮義務違反の損害賠償請求が企業に対して行われます。労災保険給付により一定の金銭給付がなされたとしても、労災保険ではカバーされない範囲の損害が存在しますが、企業はこの点について賠償責任があるからです。
労災保険ではカバーされない典型的なものとしては、精神的損害に関する慰謝料や、将来稼いだであろう収入相当額の逸失利益が挙げられます。損害額は、年齢と年収によって金額が定まりますが、事案によっては賠償額が億単位となることも珍しくありません。数千万~億単位の賠償となれば、「1年分の利益が吹き飛ぶ」という会社もあるでしょう。
民事は金銭の問題ですが、労基法違反はそれに留まらず、刑事の問題にもなりえます。ここでの刑罰は罰金刑が多いですが、これは軽微な交通違反のいわゆる罰金とは異なり、「前科」の対象にもなります。長時間労働における刑事処分としては、時間外労働割増賃金(残業代)未払いや36(サブロク)協定違反によるものが多く見られます。
なお、労基法違反は法人としての処分のみならず、個人に対する刑罰もあることには注意が必要です。処罰の対象は、時間外労働を命令する直属上司が最も可能性が高いですが、現場の方だけではなく、人事責任者、役員、場合によれば社長も対象となる事案もあります。会社の方針でやっていることだから、自分が責任を追及されることはありえないと思っている人は多いのではないでしょうか。しかし、現実には刑事罰というあまりにも大きい制裁がありうるのです。

■長時間労働対策として最も重要なこと
最後に一言だけ、長時間労働などの法違反を是正するために必要な考え方について、述べておきたいと思います。それは人事が「ノー残業デー」を企画することでも、現場に「労働時間を減らせ!」と檄を飛ばすことでもありません。そもそも、労働時間を減らすには、人を増やすか、仕事を減らすか、生産性を上げるしかないのです。しかし、生産性を上げるには限界がありますし、人や仕事を変えないままに「労働時間を減らせ!」という掛け声だけでは、サービス残業の温床になったり、上司の思いを「忖度(そんたく)」して労働時間を隠してしまう事態となります。
業務を減らすということは、具体的には「○時以降の問い合わせには翌日回答する」「納期○日以内は無理」「これ以上のサービスは行わない」という判断を行うことです。つまり、最終的には「仕事を減らす」=「売り上げの数字を減らしても良いのか」という判断が求められますが、これは正に経営判断です。
そうだとすれば、経営層が現場と一体となり、「何をどこまでやるか」「何をやらないか」という線引きを行うことが最も重要なことなのです。実例として、ある企業の社長は、労働時間短縮のためにあるアフターサービスを廃止した際に、取引先に対して自らお詫びと説明行脚を行いました。このように、経営層が本気で取り組むこと、これが長時間労働対策として最も重要なことです。もはや「知らなかった」では済まされないのです。現在のコンプライアンスの最上位項目として本気で取り組む企業が増えることを願っています。

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復職不可は違法

2017年08月25日 | 情報

当事案は、精神障がいによる係争ではありませんが、参考になりますので取り上げました。
新聞各紙の報道内容からの考えですが、結論から云えば、原告勝訴。
ですから、早期に話し合いで解決してほしいと思います。
まず、参考判例として、当ブログでも再三紹介している片山組事件(最一小判平10.4.9労判736号15頁)があります。
他にも、類似の判例がありますが、当判例に従えば、主治医の診断書があることや、原告が復職に意思を示していること、
等から、争いの余地はないように思えます。
さらには、障害者枠での継続雇用も可能なのですから、不当解雇になるのではと考えます。
しかし、代理人弁護士として、当然の知識、対応のはずですから、報道からは窺えない何かがあったのでしょうね。

事故で障害「復職不可は違法」元社員、日東電工を提訴へ
2017年8月16日 朝日

事故で重い障害を負ったあと、会社が復職を認めず退職させたのは違法として、
電子部品大手の日東電工(大阪市)の元男性社員(43)が近く、大阪地裁に裁判を起こす。
雇用の継続と障害への配慮などを求める考えだ。
人生の途中で障害者となった社員に企業はどう対応すべきかを問う裁判になりそうだ。
代理人弁護士によると、男性は1999年に正社員として採用された。
広島県尾道市の事業所で研究開発に携わっていた2014年5月、休日にバイクを運転中、衝突事故に遭い、首の骨を骨折。
下半身が完全にまひし、上半身も十分動かせなくなって車いすを使うようになった。
休職し、昨年7月、通院に便利な神戸市内に転居した。
リハビリの結果、時間はかかるがパソコンを使えるようになり、昨年8月、復職を申し出た。
会社側には、週の半分は在宅勤務▽それが不可でも週1日は昼に早退
▽自宅から尾道市内の職場までの新幹線と介護タクシー代で1日あたり計約1万5千円の支給などを求めた一方、
給与が下がってもやむをえないとも伝えたという。
しかし同社は今年1月に「復職不可」と決定。2月には休職期間満了とし、退職扱いにした。理由は説明されなかったという
男性側は訴状で、早退を認めることや交通費支給が、「企業規模からして過大な負担を及ぼすとは言えない」と主張。
「企業には障害のある社員に配慮する法的義務がある。
復職は可能だったのに退職扱いとしたのは解雇権の乱用だ」と訴えている。
16年4月施行の改正障害者雇用促進法は、企業に「労働者の障害の特性に配慮した施設の整備や必要な措置」を
義務づけている。厚生労働省の指針は「企業は過重な負担にならない範囲で措置を講じる」としており、
裁判では退職させた日東電工の対応の適否が争点になりそうだ。
男性は朝日新聞の取材に「会社には柔軟な対応をしてほしかった。
復職を希望するほかの中途障害者の後押しになる判決が出ることを願っている」と述べた。
同社は「個人情報に関係することもありコメントは差し控える」としている。(釆沢嘉高)

長瀬修・立命館大学生存学研究センター教授(障害学)の話  
障害者雇用促進法の改正で、企業は「過重な負担」がない範囲で障害者の社員が働きやすい環境へと
変更する「合理的配慮」をしなければならなくなった。
しかし何が「過重な負担」なのか明確な基準はなく、判例も不十分だ。障害の状況は一人ひとり異なり、
企業の対応を画一的に決めにくい。今回のような裁判は、企業と障害者が協議する際の目安を示すことになり、
社会的影響や意義は大きい。

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