中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

衛生委員会で、会社は儲かる

2012年02月29日 | 情報
普通に考えれば、衛生委員会は、生産手段ではないですから、
商品を作り出すことに関与することは出来ません。
「費用(コスト)でしょう」というのが常識的な回答でしょう。
しかし、はたしてそうでしょうか?

結論から云うと、「リスクマネージメント」であると理解しましょう。
つまり、企業にとっては、「先行投資」なのです。

D事件(最高裁第2小 H12.3.24、労判779-13)では、
会社側は、16,800万円を支払って解決しています。
その他類似の裁判例はたくさんあって、会社側が敗訴すると、
1億円前後の賠償命令が出されています。

衛生委員会で、長時間残業の実態を共有化し、長時間労働の削減を実行していれば、
うつ病をはじめとする精神疾患の発症を防ぐことが可能になります。
会社には、役員会や人事労務部門の会議、労使協議会などで、
長時間労働について討議することができますが、
衛生委員会は、労働安全衛生の観点から、一般従業員や組合員の視点で、
労使が一体となって、討議できることにメリットがあります。

次に、うつ病をはじめとする精神疾患の発症が労災であると認定され、
会社が民事損害賠償責任を問われた場合、一次予防をしっかりと実施していれば、
会社にとって過失相殺の割合が有利になります。
衛生委員会を開催し、調査・審議し、記録を保存し、決議事項を実行しておくことは、
重要な一次予防対策です。

さらに、貴重な人材を失うことは、会社にとって大きな損失です。
採用から、数年かけて教育して、一人前の人材に育てるまでには、多くのコストを投入されています。
社員が1年間休職すると、その社員の年収の3倍の損失が、発生するとの試算もあります。
会社が元気になるためには、従業員一人一人が元気でなければなりません。
衛生委員会は、会社を、従業員を、元気にする会議体であると位置づけるのです。

経営者のみなさま、人事労務担当部門のみなさま、
厳しい経済環境にあっては、売上を伸ばして収益を確保することも重要ですが、
無駄なコストの発生を抑制するとともに、
従業員が元気に働くことができるような環境をつくることに、
経営の焦点を当てることが大切ではないでしょうか。
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衛生委員会は、機能してますか?

2012年02月28日 | 情報
衛生委員会を、月1回以上開催してますか?

衛生委員会は、実質、機能していない
衛生委員会において、審議する議題がない
委員の衛生委員会への出席率が悪い等
の意見を多く聞きます。

衛生委員会は、月1回以上の開催を義務付けられています。
安衛則22条  事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を
毎月一回以上開催するようにしなければならない。

衛生委員会で調査・審議する事項は、法律で決まっています。
安衛法18条、安衛則22条です。

一  労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二  労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
三  労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
四  前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
1.衛生に関する規程の作成に関すること。
2.法第28条の2第1項 の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、
 衛生に係るものに関すること。
3.安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
4.衛生教育の実施計画の作成に関すること。
5.法第57条の3第1項 及び第57条の4第1項の規定により行われる有害性の調査並びに
 その結果に対する対策の樹立に関すること。
6.法第65条第1項 又は第5項 の規定により行われる作業環境測定の結果及び
 その結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
7.定期に行われる健康診断、法第66条第4項 の規定による指示を受けて行われる
 臨時の健康診断、法第66条の2の自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に
 基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
8.労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
9.長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
10.労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
11.厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は
 労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、
 労働者の健康障害の防止に関すること。

これだけしなければならないのですよ。
いままでは、おざなりになっていた理由も理解できます。
しかし、MH問題がこれだけ大きくなると、(安全)衛生委員会の役割・位置づけも
衛生管理者同様に、重要になって然るべきでしょう。

それでも、なぜ、実施しないのか?
(安全)衛生委員会を開催し、調査審議すれば、
「会社は儲かるのか?」という疑問に答えられないからです。


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衛生管理者は、「花形」?

2012年02月27日 | 情報
御社における衛生管理者の位置づけ、現状はどうですか?

法律で決まっているから、仕方なく配置している、という事業所・企業が多いのでは?
本来の業務の他に、片手間でやっているのでは?
場合によっては、最近の試験は難しくなっているので、法令通りに配置していないのでは?

衛生管理者の仕事は、安衛法で規定されています。
安衛法12条、安衛則第11条  
衛生管理者は、少なくとも毎週一回作業場等を巡視し、
設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、
直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

加えて
(1) 健康に異常がある者の発見及び措置
(2) 作業環境の衛生上の調査
(3) 作業条件、施設等の衛生上の改善
(4) 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
(5) 衛生教育、健康相談、その他労働者の健康保持に必要な事項
(6) 労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び異動に関する統計の作成
(7) その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において
  行われる場合における衛生に関し必要な措置
(8) その他衛生日誌の記載等業務上の記録の整備等
行わなければなりません。

これだけの業務が法令で定められています。
ですから、企業・事業所において、衛生管理者は、名誉ある業務、「花形」の業務で
なければなりません。
できれば、衛生管理者手当の新設も検討してください。
以上、第2種衛生管理者を念頭において記述しましたが、第1種衛生管理者、安全管理者も
同様にとらえて、対策を検討してください。


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全国一斉メンタル労災・いじめ対策無料電話相談

2012年02月24日 | 情報
全国一斉メンタル労災・いじめ対策無料電話相談

― 労災認定から予防対策まで ―

2012年 2月24日(金)~25日(土)午前10時から午後6時

フリーダイヤル 0120-63-1202 

全国労働安全衛生センター連絡会議は、上記日程で日本全国どこからでも
無料のフリーダイヤルで、うつ病などの精神障害の労災認定やいじめ対策などを
中心に労働者の相談に応じるホットラインを開設します。
なお、ホットラインの2日間は(新潟、山形、高知は24日のみ)、
その場に待機したスタッフが対応しますが、それ以降も、フリーダイヤルは常設化されており、
各地のセンターが分担して、相談を受けております。

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試し出勤制度

2012年02月24日 | 情報
企業・団体の人事労務担当がメンタルヘルス対策を具体化するうえで、
最も必要としている情報・資料は、「試し出勤制度」、「リハビリ出社制度」です。
ところが、企業・団体の人事労務担当が必要としている
「試し出勤制度」、「リハビリ出社制度」を解説した資料がないのが現状でした。

また、拙著執筆中に、ある公的機関が主催した1000人規模のメンタルヘルスセミナーで、
事前アンケート結果の紹介がありました。
それによると、参加者からの質問が最も多かったのは、「試し出勤制度」だそうです。
セミナー内で、弁護士の先生から、「試し出勤制度」の問題点・課題の指摘はありました。
その他は、、「試し出勤制度」、「リハビリ出社制度」に触れることは全くありませんでした。
セミナーは主催者からのアンケート結果の紹介だけで終わってしまいまいたので、
参加者にとっては消化不良のような結果に終わったのではないかと推測しました。

さらに、厚労省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」にも
詳細な(現場で役立つ)記述はありません。
新聞報道(08.5.27読売)によれば、厚労省は、今後も試し出勤制度の
具体的な対策・手引き等を発表しないとのことです。
このことは、行政当局にも確認しましたが、意に沿うような回答はありませんでした。

最近になって社労士の先生から、「試し出勤制度」についての問い合わせもいただきました。
「試し出勤制度」、「リハビリ出社制度」を解説した資料がないとのことでした。

この「試し出勤制度」を詳述している唯一の文献が、拙著です。

試し出勤制度は、類書にも記述がほとんどありません。
試し出勤制度を設計することは、とても難しい課題なのです。
なぜなら、制度設計上、法律のほかクリアしなければならないハードルがたくさんあるからです。

しかし、中程度以上のうつ病罹患者等が職場復帰をする場合、
わが国の労働環境を考慮すると、どうしても試し出勤制度が必要と考えています。

拙著『中小企業の「うつ病」対策』は、
・うつ病対策のAtoZを記載していること
・人事労務担当や関係者が理解すべき最低限の「うつ病」の情報を掲載
・試し出勤制度を、詳説していること
・中小企業には、これ一冊で
が特長です。



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