中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

無理な発注・時間外の会議「控えます」

2017年09月29日 | 情報

宣言した以上、経団連をはじめ諸団体のトップが率先垂範して、「控えて」ほしいものです。

無理な発注・時間外の会議「控えます」 経団連など宣言
9/19(火) 朝日

経団連は全国の経済団体と連名で19日、下請けいじめや深夜の労働につながる
旧弊や商慣行の是正に取り組むことを内容とした「共同宣言」を発表した。
今後は加盟企業に残業につながる無理な発注や勤務時間外の会議を控えるよう促していくという。
共同宣言は、長時間労働につながる納期が短い発注や急な仕様変更を「非効率な商慣行」として問題視。
労働基準法が決めたルールを守り、取引先にも違反させない配慮を経営者に求めた。
短い納期や追加発注が必要になった際はサービスに見合う価格で契約することなども求めている。
経済同友会や日本商工会議所のほか、全国銀行協会や日本建設業連合会、全日本トラック協会など計110団体が加わったが、
呼びかけに応じなかったり「参加できない」と回答したりした団体もあったという。(山口博敬)

■長時間労働「させません」宣言
(1)関係法令・ルールの順守に加え、取引先が労働基準関連法令に違反しないよう、配慮する。
(2)発注内容があいまいな契約を結ばないよう、契約条件(発注業務・納期・価格など)の明示を徹底する。
(3)契約時の適正な納期の設定に加え、仕様変更・追加発注を行った場合の納期の見直しなどに適切に対応する。
(4)取引先の休日労働や深夜労働につながる納品など、不要不急の時間・曜日指定による発注は控える。
(5)取引先の営業時間外の打ち合わせや電話は極力控える。
(6)短納期・追加発注・高品質など、サービスの価値に見合う適正な価格で契約・取引する。

<経済団体>長時間労働是正の共同宣言
9/19(火) 毎日

経団連と経済同友会、日本商工会議所など全国110の経済団体は
「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」を初めてまとめた。
経団連などが22日に連合と開くシンポジウムで宣言する。
広告最大手・電通の新入社員が長時間労働で過労自殺した事件などを受け、
経済界全体で「長時間労働を前提とした企業風土や職場慣行を見直す」のが狙いという。
宣言は、大企業が取引先の中小企業に金曜深夜に電話して、月曜朝までの納品を要求するケースなどを想定。
(1)取引先の休日・深夜労働につながる納品など、不要不急の時間・曜日指定の発注は控える
(2)取引先の営業時間外の打ち合わせや電話は極力控える
(3)発注内容があいまいな契約を結ばないよう契約条件の明示を徹底する--など6項目を具体的に定めた。
日本自動車工業会、全国建設業協会、日本チェーンストア協会など業種別団体や都道府県の経済団体が参加しており、
一企業では解決が難しい商慣行の見直しに業界横断で取り組む。
22日のシンポジウムでは加盟企業の先進的な取り組みも公表する。

経団連HPより転載です
http://www.keidanren.or.jp/announce/2017/0920.html

(労法)発第736号 2017年9月20日
会員代表者 各位
一般社団法人 日本経済団体連合会
会長  榊原定征

長時間労働削減をはじめとする「働き方改革」に向けた取組に関する要請について

拝啓 時下ますますご清祥のことと存じあげます。
会員各位におかれましては、働き方改革の推進に向けた経団連の活動にご理解とご協力をいただき厚く御礼申しあげます。
さて、ご高承のとおり、政府は、長時間労働・過重労働の防止に向けて、
監督指導の強化や働き方改革を進める企業への支援を行っております。
こうしたなか、厚生労働省より、10月の「年次有給休暇取得促進期間」および
11月の「過重労働解消キャンペーン期間」を前に、経団連に対して標記の要請がございました。
各社におかれましては、すでに様々な取り組みを進められていることと存じますが、
改めて別添の要請書をご高覧の上、恒常的な長時間労働の見直しや年休取得促進などの取り組みを
進めていただきますようお願い申しあげます。敬具

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過半数で組織

2017年09月28日 | 情報

「社員一人ひとりの残業時間を毎日管理するよう改めた」⇒至極、当たり前のことなのですが。
報道によると、当該企業では日常的に、法令に則った労務管理が出来ていないことが明らかになりました。
法令実務に明るい従業員や、労働法専門の弁護士、勤務または顧問の社労士が全くいないということでしょうか。
さらに、過半数代表者がいないということは、その他の労使協定もすべて無効ということでしょうか?
業界トップで、日本を代表する大企業として、法令遵守が疎かになっているのは、問題でしょう。
もっとも、大企業だからコンプライアンスがしっかりとしているかというと、意外とそうでもないのが現実のようです。

御社の労使協定書には、過半数代表者のサインがありますか。
定性情報では、意外と出来ていない企業が多いようです。
確かに、従業員組合が組織されていない中小規模の企業においては、
労使協定書すら締結していない場合が多々あるのですから、過半数代表者と言われても、ということが多いようです。

1400人の違法残業ゼロに=東京五輪の指名停止恐れ―電通初公判で検察指摘
17.9.22 時事

大手広告代理店電通の違法残業事件で、東京五輪・パラリンピック関連事業の入札指名停止を恐れ、
同社が無効と知らずに残業時間に関する労使協定(三六協定)の改定を繰り返していたことが22日、分かった。
サービス残業が横行した結果にもかかわらず、約1400人いた違法残業の社員がゼロになったとするなど、
ずさんな労務管理の実態も判明した。
東京簡裁で同日に開かれた初公判の冒頭陳述で、検察側が明らかにした。
冒頭陳述によると、電通は2014年6月に関西支社が労働基準監督署から違法残業で是正勧告を受けた。
副社長ら幹部は指名停止処分などで東京五輪関連の受注機会を失う事態を懸念した。
このため、例外的に認められる残業を25時間から50時間に増やすなど、三六協定を2回改定した。
ただ、同社の労働組合は社員の過半数で組織されていないため、協定自体が本来無効だった。
電通では社員がコンピューターに勤務時間を入力して申告するが、
違法残業していた社員は14年度で毎月約1400人に達していた。
同社は増員や業務量の見直しなど抜本的な対策を取らないまま、15年度中に違法残業をゼロとする方針を決めた。
同年10月に本社では違法残業は表面上なくなったが、実際は残業代が支払われないサービス残業が繰り返されていたという。
山本敏博社長は被告人質問で、検察官から形式的な対策だったのではないかと問われ、「その通りです」と返答。
「労働時間短縮とサービス品質向上が両立しないとの思い込みが社内全体にあった。
(事件後は)社員一人ひとりの残業時間を毎日管理するよう改めた」と述べた。 

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勤務間インターバル制

2017年09月27日 | 情報

長野県庁HPより転載です。
http://www.pref.nagano.lg.jp/jinji/0921press.html

県庁において「勤務間インターバル制」の試行を実施します
県では、働き方改革による総労働時間の短縮や職員のワークライフバランスの推進に取り組んでいます。

1 実施期間・所属
○平成29年10月2日(月)から12月28日(木)までの3ヶ月間
○県警本部を除く本庁所属(知事部局、教育委員会、企業局等)において実施[対象約1,800人]
(本庁試行の状況を踏まえて現地機関の試行を検討)
この一環で、職員が十分な生活時間や睡眠時間を確保し、健康を維持しながら生産性の高い働き方を可能とするため、
仕事を終えてから次に働き始めるまでの休息時間(インターバル)を
一定時間確保する新たな視点からの取組「勤務間インターバル制」を試行します。

2 実施内容
○災害などの臨時業務を除き、休息時間は最低でも11時間を確保します。
○やむを得ず21時30分以降の時間外勤務を行う場合は、原則遅出勤務を実施します。
※遅出勤務:X勤務(9:00~17:45)、Y勤務(9:30~18:15)、Z勤務(10:00~18:45)を活用
10時の勤務開始が再遅であることから、11時間前である23時以降の時間外勤務は原則NG
○ 試行の状況等を踏まえ、試行後の対応について検討します。
※行政サービスが低下しないよう執務時間(8:30~17:15)や窓口の開設時間は変更しません。

終業から始業、最低でも11時間…長野県が試行
9/22(金) 読売

長野県は21日、県庁で勤務する職員を対象に、終業から翌日の始業まで一定時間を空ける「勤務間インターバル制度」を、
10月から試験導入すると発表した。
同制度は、政府が「働き方改革」の一環として普及に取り組んでいるが、県によると、都道府県職員への導入は初めて。
県警などを除く約1800人が対象で、終業から最低でも11時間の休息を確保する。
通常勤務は午前8時半~午後5時15分だが、例えば、午後10時まで働いた場合、翌日は午前9時開始となる。
県の規定で、勤務開始は遅くとも午前10時となっているため、前日の午後11時以降の勤務は原則として認められない。
窓口の開設時間は変更せず、県民向けのサービスを維持する。
12月末までの試行期間の状況を踏まえ、出先機関に広げていくことも検討する。
阿部守一知事は「課題を検証しながら、他県に先駆けて進めていきたい」と話している。

職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)
厚労省HPより転載です。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html

概要
労働時間等の設定の改善(※1)を図り、過重労働の防止及び長時間労働の抑制に向け勤務間インターバル(※2) の導入に
取り組んだ際に、その実施に要した費用の一部を助成するものです。
※1 労働時間等の設定の改善とは、労働時間、年次有給休暇等に関する事項について、
労働者の生活と健康に配慮するとともに、多様な働き方に対応して、労働時間等をより良いものとしていくことをいいます。
※2 本助成金でいう「勤務間インターバル」とは、休息時間数を問わず、
就業規則等において「終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているもの」を指します

なお、就業規則等において、○時以降の残業を禁止し、かつ○時以前の始業を禁止する旨の定めや、
所定外労働を行わない旨の定めがある等により、終業から次の始業までの休息時間が確保される場合においては、
当該労働者について勤務間インターバルを導入しているものとします。
一方で、○時以降の残業を禁止、○時以前の始業を禁止とするなどの定めのみの場合には、
勤務間インターバルを導入していないものとします。

 

 

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是正勧告

2017年09月26日 | 情報

是正勧告が、新聞報道される時代なのですね、しかも労基法第36条(36協定)違反関係が多いようです。

<労基法違反>長時間残業セコムに勧告 指令役社員協定超え
9/21(木) 毎日

警備員に指令を出す「管制員」の社員数人に労使協定の上限を超える長時間残業をさせたとして、
警備業最大手のセコム(東京都)が、東京労働局渋谷労働基準監督署から労働基準法違反(労働時間)で
是正勧告を受けたことが分かった。勧告は7月5日付。
同社によると、労働組合と変形労働時間制の労使協定を結び、残業の上限を3カ月で120時間以内、
繁忙期(合計半年間)は同230時間以内と定めていた。
しかし、2016年度に東京都世田谷区内の同社施設に勤務する管制員数人に対し、
繁忙期以外にも3カ月で120時間を超える残業をさせたと指摘された。
同社は今月5日、労基署に「離職や人事異動、(天災などの)突発的な業務量の増大が原因」と報告。
人員を増やし、今月末までに違法状態は解消される見通しだとしている。
変形労働時間制は時期や季節によって仕事量の差が大きい場合に、
期間中(セコムの場合3カ月間)の労働が平均で週40時間以内なら、
特定の日や週に法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えても残業代を払わなくてよい制度。
同社コーポレート広報部は「是正勧告を受け止め、全国の職場で再発防止に取り組んでいる」と話している。【早川健人】

日経新聞に是正勧告、残業時間を超過 中央労働基準監督署
2017.6.26 産経

日本経済新聞東京本社(東京都千代田区)が社員に長時間労働をさせていたとして、
中央労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが26日、分かった。勧告は5月30日付。
日本経済新聞社によると、是正勧告を受けたのは同本社の総務・経理部門などで、
社員に労使協定で定めた残業時間を超過する長時間勤務をさせていたという。
同社広報室は、「再発防止に向けた取り組みを進めています」とコメントした。

北海道電力HPより
http://www.hepco.co.jp/info/2016/1206561_1693.html

2017.1.20
当社は、労働基準法に基づき労働組合と締結のうえ労働基準監督署へ届出している「時間外および休日労働に関する協定」
(以下、36協定という。)に基づく時間外労働について、
本日、札幌中央労働基準監督署より是正勧告および指導を受けましたので、お知らせいたします。
当社は、今回の是正勧告などを真摯に受け止め、今後、同様の事案を発生させることのないよう、
労働基準監督署の指導のもと改善措置を行い、再発防止に努めてまいります。
【是正勧告の内容】
労働基準法第32条違反による是正勧告(時間外労働に関する協定で定める限度時間を超えて時間外労働させたこと※)
※36協定届出書類の一部に不備(時間外労働の限度時間除外に関する書類の添付漏れ)があることが判明し、
その結果、労働時間が限度時間を超過
【指導の内容】
過重労働による健康障害防止に関する指導(時間外・休日労働時間を1カ月あたり80時間以内とするために
具体的方策の検討・実施等)
36協定届出書類に関する記載内容の明確化等の指導

 

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病院職員の過労自殺

2017年09月25日 | 情報

医師だけではなく、職員も過重労働による事故が相次いでいます。
記事中には「当直明けから翌日深夜まで連続39時間近く勤務した日」とあります。
勤務間インターバル規制が導入される所以です。

元病院職員の自殺、労災認定…国体優勝者
毎日新聞2017年9月20日

岐阜県で2012年に開かれた「ぎふ清流国体」のライフル射撃競技で優勝し、
14年に自殺した長崎県出身の元病院職員、鈴田潤さん(当時26歳)について、
多治見労働基準監督署(岐阜県多治見市)が労働災害と認定していたことが20日、遺族への取材で分かった。
遺族は、長時間労働の結果、うつ病を発症したと指摘していた。
遺族が16年12月に労災認定を請求し、今月4日付で認定の通知を受けた。
国体強化選手の鈴田さんは大学卒業後、JAグループの県厚生農業協同組合連合会(JA岐阜厚生連)に就職した。
13年からJA岐阜厚生連が運営する岐阜県瑞浪市の東濃厚生病院で、駐車券処理や夜間の当直勤務をしていた。
14年1月に自殺しているのが見つかった。
遺族らが当直勤務の記録などを調べたところ、亡くなる3カ月前の残業時間は最大148時間で、
当直明けから翌日深夜まで連続39時間近く勤務した日もあった。
長崎市に住む鈴田さんの父俊信さん(64)は「病院側がなぜ長時間労働をさせ、
本当はどのようなことがあったのか真実を明らかにしてほしい」と話した。

遺族が9000万円求め賠償提訴
毎日 17.9.21

◇病院を運営するJA岐阜厚生連を相手取り
岐阜県瑞浪市の病院に勤めていた鈴田潤さん(当時26歳)が自殺したのは、長時間労働でうつ病を発症したためだとして、
両親が21日、病院を運営するJAグループの県厚生農業協同組合連合会(JA岐阜厚生連)に
約9000万円の損害賠償を求め岐阜地裁に提訴した。
国体強化指定選手だった鈴田さんは長崎県出身。大学卒業後、JA岐阜厚生連に就職。
岐阜で2012年にあった国体のライフル射撃で優勝した。
訴状によると、鈴田さんは13年から瑞浪市の東濃厚生病院に勤め、救急外来の対応など長時間働かされた。
当直明けから翌日深夜まで連続39時間近く勤めた日もあった。うつ病を発症し、14年1月に自殺しているのが見つかった。
病院側が安全配慮義務を怠ったと訴えている。
多治見労働基準監督署は自殺を労働災害と認定している。
父俊信さん(64)は「責任の所在を明確にし、それ相応の責任を取っていただきたい」、
母京子さん(62)は「人命を助ける病院で職員、医師の長時間労働は許されるのか」とのコメントを代理人弁護士を通じ発表した。
同厚生連は「訴状が届いておらず、コメントは差し控える」としている。【沼田亮】

病院職員の過労自殺、労災認定 時間外が月188時間
2017年8月22日 朝日

北海道小樽市の小樽掖済(えきさい)会病院の臨床検査技師の男性(当時34)が2015年12月に自殺し、
小樽労働基準監督署が長時間労働によるうつ病が原因として労災認定していたことがわかった。
自殺直前の1カ月間の時間外労働は188時間だったという。
遺族は今年2月、病院側に約1億2566万円の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁小樽支部に提訴した。
訴状によると、05年に同病院に就職した男性は15年7月ごろから、
病院の新築移転に伴って導入される電子システムの構築などを任され残業が常態化。
うつ病を発症し、同年12月に病院の屋上から飛び降りて自殺した。
小樽労基署の認定では、自殺直前の半年間で時間外労働が100時間を超えた月は4回あった。
月80時間超は「過労死ライン」とされる。原告側は「被告は過酷な長時間労働を把握していながら放置し、
業務量を調整する安全配慮義務を怠った」と主張している。

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