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八代弁護士、検察庁法改正案に反対…「このまま通すべき法案じゃない

2020年05月14日 20時06分21秒 | 政治のこと
八代弁護士、検察庁法改正案に反対…「このまま通すべき法案じゃない
14日放送のTBS系情報番組「ひるおび!」(月~金曜・前10時25分)で、検察官の定年延長を可能にする検察庁法の改正案について、野党が衆院内閣委員会で質疑を行ったことを報じた。

 委員会には、同法を所管する森雅子法相が不在で武田良太行政改革担当相が答弁に立った。野党側から、1月に閣議決定された黒川弘務・東京高検検事長の定年延長の根拠を後付けでつくるための法改正ではないかとの質問が相次いだが、武田氏は「本来ならば、法務省からお答えすべきだと思う」などと述べるなど、質疑はかみ合わず委員会は紛糾。野党は質問を打ち切り、退席した。

 コメンテーターで弁護士の八代英輝氏は、今回の法改正案に、検察の改革しなければならない点を指摘した上で「コロナにこの政権は全精力を集中してもらいたい。三権分立にかかわる重大な法案について、担当大臣である法務大臣を隠してこの法案を通そうとする、非常に姑息な態勢であること」との理由で法案に反対する姿勢を示した。

 さらに法案が「去年の秋バージョンから春バージョンに変えるにあたって、検察庁の幹部に対して内閣の関与がより一層強めたバージョンに変えた変更を、しれっと通そうとすることは許されることじゃない」と指摘した。

  その上で「私たち、裁判官をやっていた時、政権の中枢に切りこんだ事件を担当しても憲法による身分保障があったので、自分たちは怖いことはなかったんですけど、検察は行政機関ですから政府からにらまれることがあっては決してならない」とし、「この法律はこのまま決して通すべき法案じゃない」とコメントしていた


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慈恵医大のPCR検査>即日1件700〜800円」のPCR、驚愕の全貌「上手い」「速い」「安い」の3拍子揃ったPCRが誕生するまで

2020年05月14日 17時15分41秒 | 医療のこと
即日1件700〜800円」のPCR、驚愕の全貌「上手い」「速い」「安い」の3拍子揃ったPCRが誕生するまで

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡り、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査をすべきか、せざるべきか。1年前にはほとんど馴染みなかったはずの、バイオテクノロジー分野の検査であるPCRに大きな関心が寄せられている。専門家の間でも、その実施をめぐって見解が分かれており、経済の停滞への懸念が高まる中でもあり、議論百出の状況になっている。  

 こうした中、都内港区の東京慈恵会医科大学が集中的にPCRを実施できるセンターを設置した。そのコストパフォーマンス、スピードが圧倒的だ。同大学が設置した自前の「Team COVID-19 PCRセンター」では、1検体当たり実費700~800円で検査を行うことができる。検査依頼から完了までわずか半日だ。新型コロナウイルス感染症を対象とした保険適用の検査は最低1万3500円。日本全国で、PCRの所要日数が3~5日などと報告される中で、圧倒的なコストとスピードになっている。

 現在、国内ではいくつかの議論がある。1.保健所が必要と判断した事例に対してPCRを行う。2.医師が必要と判断した事例に限ってPCRを行う。3.患者が必要とした事例についてPCRを行う──。このような段階があり、最近は、ドライブスルーでの検査を導入する方向になっている。

 こうした状況の中で、大学で保険適用の枠組みにとらわれず、PCRを必要とあらば実施し、病院をサポートする慈恵医大の形は、院内の疑い例を広く対象とするという面で、2番と3番の中間的な位置づけとなる。PCRをどう実施していくのか、あるいは経済の停滞が大きな関心事となる中で、日本の検査の形をどのように構築していくのかを考える上で、ヒントを与えてくれそうだ。
  

 センターが説明する「上手い」「速い」「安い」はどういう経緯から進められているのか。今回、センターを率いる同大学熱帯医学講座教授の嘉糠洋陸氏にも話を聞き、これからの日本の進むべき方向性について考察した。

保険適用で検査しない理由
 慈恵医大のPCRのセンターで検査をバックアップするのは、感染症系の熱帯医学、ウイルス学、細菌学のスタッフだ。月曜日から土曜日までの毎日午前に、病院内で感染を疑われる人の鼻咽頭に綿棒を使ってスワブ検体が採取されている。センターが受け付けてPCR検査の結果をその日の夕方までに出す。数日かかる公的機関や民間検査会社と比較すれば、その利は計り知れないとセンターは説明する。
 
 センターは「上手い」としているが、「現在の基礎医学研究において、遺伝子レベルの解析は日常茶飯事であり、携わる研究者は普段からその取扱に長けています」(センター)と説明する。PCR検査はとても難しい検査のように見られているかもしれないが、プロセスは決して複雑なものではない。特に、その作業に慣れている研究者が行うことで、円滑に検査結果を出せるというわけだ。感染性の検体を使うことに、病原体を扱う研究者が慣れているのは重要だろう。今回の慈恵医大のように、ウイルスや細菌の専門家が集まる医学部の基礎講座はまさに適任だ。
 センターが原価を明かしているのも特徴的だ。大学の人件費の中で対応しているとはいえ、1検体当たり700~800円と説明する。保険適応の範囲を考慮することなく、“攻め”の検査ができますと指摘している。日本の保険適用の検査では、施設内では1検体で1万3500円、施設外だと1万8000円としている。それに比べれば、圧倒的に安い。
 慈恵医大が保険適用の中で検査しないのは、グレーゾーンが存在するからだ。あまり知られていないが、保険診療の中では健康診断が禁止されている。健康保険法等の遵守事項を定める厚生労働省令「保険医療機関及び保険医療養担当規則」では、保険診療の中で、健康診断を行うことは禁止している。平たく言えば、病気でもない人を対象に、保険診療をしてはいけないと定めているのだ。症状のない人などに新型コロナウイルス感染症の検査を保険診療で実施するのにはグレーゾーンがある。
  

 慈恵医大は、誰が保険診療で誰がそうではないかを区別する手間はないと判断し、すべてを持ち出しで行うことに決めた。入院医療を守る目的を踏まえると、PCRでかかるコストは微々たるものと考えられるからだ。嘉糠氏は、「どんな病院でも入院医療が止まれば相当なダメージになる。それを避けられるならば、PCRの経費は十分に無視できるものになる」と解説する。慈恵医大は、検査の結果、新型コロナウイルス感染症が判明したものに限って保険請求をするといった工夫によりグレーゾーンを乗り越える経営的な工夫もしている。
 経済活動を止めずいかに感染症と向き合うか。嘉糠氏は、今後の検査などの対応体制については、全体で大きく3カテゴリーに分かれるのではないかと考えている。
慈恵医大が考える今後の検査体制とは
 まず、一般の人々への検査の適用については、大きく2カテゴリーに分かれる。一つは、ある一定の年齢よりも上の層と、よく指摘されるように高血圧や糖尿病などの基礎疾患のある人々で、彼らに対しては「ステイホーム」を求める。もう一つのカテゴリーは、そのほかの一定年齢よりも若く、基礎疾患のない人たちで、彼らには感染対策をしつつ、経済活動に当たってもらう。
 嘉糠氏は、「一般の人たちには、全体にPCRで検査をしてウイルスの有無を確認するのは現実的ではない。目下、東日本大震災と同じように災害医療に当たっているところで、安心のための検査を行うこともできない。今は抗体検査が出てきており、一般の人々については抗体検査で感染状況を確認していく形が現実的だろう」と述べる。
 その上で、嘉糠氏がもう一つのカテゴリーと見るのが、病院での検査だ。ここはPCRセンターを設けた慈恵医大のようにPCRの体制を厚くして、「病院を守ることが大事だ」と強調する。慈恵医大でPCRを駆使して、感染症を封じ込めた経験を踏まえ、嘉糠氏は病院ではなるべく範囲を広げた形でPCR検査を実施することが大切だと訴える。「PCRの感度の問題がよく指摘されるが、実際に検査装置でウイルス検出の感度の低さ自体は感じていない。問題になるのは、検査装置に来るまでの段階。鼻咽頭スワブを取るときに、粘膜のウイルスの含有量にムラがある。左と右の鼻でも違う。これは技術的に改善できる」。スワブを取るための衛生物資が不足していることが問題になるが、嘉糠氏はアクリル板を使うなどすれば対応はできるとする。
 医学部をはじめ、大学が一丸となって、検査体制を形作るのが重要だと嘉糠氏は言う。「PCRの診療報酬は2004年のSARSの時の3〜4倍に設定された。この診療報酬の説明会でも、設備投資ができるように決めたと聞いている。国は既に環境を整えている。あとは医学部をはじめ、医療機関が動くことだ」と話す。国内でも一部大学など体制強化に乗り出しているが、動きは鈍い。
 PCRセンターを設置できない施設においてはPCR検査での対応は現実的ではなく、PCRの出る幕はないというのが嘉糠氏の見方だ。よって、診療所など小規模な医療機関は前述の抗体検査を使いつつ、オンライン診療や在宅医療を強化するなど感染リスクを踏まえたポストコロナ時代の診療対応が求められる可能性がある。

コロナで生きる獣医学の視点
 個人的な話で恐縮だが、嘉糠氏の経歴を見て驚いていた。というのは、著者と同じ、東京大学獣医学課程の出身だったからだ。私自身はそれを知らずに、慈恵医大がPCRセンターを設立したという動きを知り、注目したのだが、その後にセンター長の経歴を知り合点がいくところがあった。
 
 もともと新型コロナウイルス感染症が拡大する中、この感染症が動物由来である可能性はほぼ間違いないと見られるようになっている。だからこそ、獣医学の分野の専門家が対策を提言するなりすべきだろうと考えてきたからだ。
 牛の狂牛病や口蹄疫、豚の豚熱ウイルスの発生が記憶に新しいが、感染症は動物で一般的な問題であり、重要な問題となっている。例えば、獣医師国家試験の出題基準を見ると、獣医領域の感染症としては約400疾患が挙げられている。これに加えて、人と動物とで共通した感染症である人獣共通感染症として約100疾患が挙げられる。牛、豚、馬、山羊、羊、鶏、犬、猫の感染症を網羅的に理解する必要がある。このほかにも実験動物と魚、ミツバチの感染症についても別に学ぶ必要があり、その数は合計で600種類に近くなる。医師国家試験の要項にある「感染性疾患」に示されているのは約80であるから、その差は歴然だ。人の感染症だけを知っていればいいのと、動物全体を視野に入れることの違いは明確だ。
 重要なのは、感染症の病原体にとっては、人だろうが、動物だろうが、感染する先は関係ないということ。人獣共通感染症という言葉がキーワードと言えるが、新型コロナウイルス感染症は、まさに動物と人との間の垣根を越えてきたもの。この特殊な状況だからこそ、人の医療に混乱をもたらしたのであり、一方で、こうした状況だからこそ、獣医学の専門家が関わるのは至極、当然と考えられた。今回の感染症対策で発言を積極的にしている京都大学のウイルス学者である宮沢孝幸氏も、著者と同じ、東京大学獣医学課程の出身であるのは偶然ではない。嘉糠氏は、「宮沢氏が言っている考え方は私も同じ。死にたくなかったらステイホーム」と話す。経済の停滞を防ぐため、前述のような3カテゴリーでの国の方向性を早期に作っていくことが大切だと、著者も考えている。

注目の「レムデシビル」は猫コロナの関連薬
 今、新型コロナウイルス感染症の治療薬として注目されているレムデシビルも動物との視点から見ると、全く新しい見方をすることができる。
 レムデシビルの開発元であるギリアド・サイエンシズは、猫のコロナウイルスによる感染症の一つ、伝染性腹膜炎の治療薬として、「GS-441524」という薬の開発を進めている。猫のコロナウイルス感染症である伝染性腹膜炎は、猫の不治の病としてよく知られている。猫コロナウイルス感染症という下痢を起こす病気があるが、このウイルスが突然変異を起こしたときに凶悪化して起こる病気だ。発生の頻度は決して多くはないが、いったん発症すると従来は薬がないために、猫の飼い主は治癒を諦めざるを得なかった。
 このGS-441524が、レムデシビルの活性代謝物なのである。平たく言えば、レムデシビルが化学変化したもので、同類の薬と考えられる。核酸アナログといって、ウイルスが自分の部品として間違って利用して、まともにコピーを作れなくなるという仕組みによりウイルスの増殖を防ぐ。重要なこととして、2019年の段階で既にGS-441524という薬剤が、猫の致死的な病気である伝染性腹膜炎に安全かつ、有効に使えそうであると論文報告されている。さらに言えば、中国のNantong Mutian Biotechnology社が「Mutian X」という商品名で同様な薬剤を開発している。この薬も原理はGS-441524と同様と論文報告されている。要は、コロナウイルスの治療薬をめぐって米中で開発競争が以前から起きていた。
 レムデシビルはこれら薬剤と同類であり、2013年から2015年の西アフリカのエボラ出血熱に有効だとして、開発の初期段階にもかかわらず使われていた。ここから人間への使用実績があるために、今回、新型コロナウイルス感染症への使用が俎上に上がった。猫のコロナウイルスへの実績も併せて考えると、新型コロナウイルス感染症にレムデシビルの使用が浮かび上がったのはごく自然な流れと見えてくる。動物医療の観点を踏まえると、人の医療はより前進させることができる。
 現在、PCRの検査体制が問題になっているが、ここは知恵の絞りどころだ。慈恵医大が進める挑戦は、日本のこれからに一石を投じるものだと考えている。


体制作りは2月から始まった
 始まりは2月である。慈恵医大では、多くの新型コロナウイルス感染者が出たダイヤモンド・プリンセス号で発症した3人の感染症患者を2月11日に収容。それ以降、新型コロナウイルス感染症の治療に取り組んだ。2月上旬には、大学では、行政での検査体制作りが遅れるだろうと予測。感染症を含めて、基本的な医学原理の研究を手がけている基礎研究関連の講座に、自前の検査体制構築を打診することになった。早速、2月14日には熱帯医学講座が新型コロナウイルス検査体制での対応に着手。以来PCR検査を自院内で実施する体制を構築した。

 転機となったのは、入院患者が新型コロナウイルス感染症を発症し、それを起点に院内21人でPCR検査陽性と確認される院内感染が発生した4月2日だ。入院のほか、外来や救急を制限し、PCR検査を拡大したのだ。検査の結果を参考にして感染防止の対策を行い、封じ込めに成功。こうした経緯から、慈恵医大では700人以上のPCRを院内で実施するに至った。その後、1日50件ほどの検査に対応するようになり、4月末には大学直轄の「PCRセンター」に発展した。

 嘉糠氏は、「慈恵医大では病院の中央検査部が通常はPCRを担う。ただ、ほかの検査があるため、時間を捻出してPCRをやろうとしても、1日で検査できる検体数は限られている。別にセンターを作り、中央検査部を支援する形にして、対応件数を引き上げた」と説明する。



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恐怖の電車通勤…新型肺炎“丸腰”サラリーマンはどうすれば!? 

2020年05月14日 16時15分04秒 | 医療のこと
恐怖の電車通勤…新型肺炎“丸腰”サラリーマンはどうすれば!? スマホは消毒、免疫力向上には睡眠がカギ


東京マラソンの一般参加が中止になるなど拡大一途の新型肺炎。恐れていたパンデミックの様相になりつつあるが、われわれサラリーマンはそれでも密閉された満員電車やバスで通勤するしかない。マスクも在庫切れが続き、ほぼ“丸腰”状態だが、そんな状況でも見えない敵を撃退し、乗り切る方法はないのか。そこで専門家を改めて直撃。やるべきこと、さほど効果がないこと、意外な盲点とは-。


 厚生労働相は17日、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染予防に向けた「相談・受診の目安」を公表した。風邪の症状や37・5度以上の熱が4日以上続くか、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合は、全国の保健所などに設けられた「帰国者・接触者相談センター」に相談するよう求めた。持病がある人や妊婦、高齢者は症状が2日程度続く場合は相談するよううながしている。

 この「相談・受診の目安」を意識するような状況にならないよう、あらゆる手段で防御するのが重要で、特にサラリーマンは満員電車やバスなど通勤時の密閉空間をどうしのいでいくか、毎日がサバイバルとも言える。

 「とにかく、口や目にウイルスが接触できないようにするのが第一」と指摘するのは、帝京大学アジア国際感染症制御研究所所長の鈴木和男教授だ。一般的にウイルスが付着した手で、口や鼻に触れると「接触感染」を起こしやすい。

 

 
 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長で医師の上昌広氏も、「手すりやつり革を触ったままの手で口や鼻に触れない。電車を降りたときや会社、学校に着いたときに必ず手を洗うこと」。気になるなら、手袋を着用するテもあると勧める。





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【速報】元検事総長らが定年延長に反対 検察庁法改正案で意見書提出へ

2020年05月14日 14時07分07秒 | 政治のこと
【速報】元検事総長らが定年延長に反対 検察庁法改正案で意見書提出へ
松尾邦弘元検事総長ら検察OBが15日、法務省に対して、検察官の定年延長を可能とする検察庁法改正案に反対する意見書を提出することが14日、分かった。

 
 松尾邦弘元検事総長ら検察OBが15日、法務省に対し、検察官の定年延長を可能とする検察庁法改正案に反対する意見書を提出することが14日、分かった。意見書には、ロッキード事件の捜査に従事した元検事ら十数人が賛同する。
 「検察の独立性がゆがめられる」と強い批判を浴びる法案を巡る動きは、検察OBらも反対の姿勢を示すことで異例の事態に発展する見通しとなった。

 松尾氏は1968年に任官。東京地検特捜部に在籍し、ロッキード事件の捜査に当たった。2004年に検事総長に就任。裁判員裁判制度の準備など司法制度改革に尽力したほか、ライブドア事件などの大型経済事件を指揮した。


共同通信
2020/5/14 12:47 (JST)


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検察官定年延長法案が「絶対に許容できない」理由 #検察庁法改正案に抗議します

2020年05月14日 12時30分47秒 | 政治のこと

検察官の退職後の処遇の現状からしても、検察官に定年延長を導入する必要性は全くない。それを、強引に導入しようとしているのは、安倍政権が、違法な黒川検事長定年延長を閣議決定して検事総長人事に介入しようとしたことを正当化するため、事後的に国会の意思に反していないことを示そうとしているとしか思えない。

5月8日に、反対する野党が欠席する中、自民党、公明党の与党と「疑似与党」の日本維新の会だけで、「検察庁法改正案」が強引に審議入りしたことに対して、ネットで「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグで、昨夜の段階で470万件ものツイートが行われるなど、国民が一斉に反発している。多くの芸能人や文化人が抗議の声を上げている。 


今回の法案は、国公法の改正と併せて、検察庁法を改正して、検事総長を除く検察官の定年を63歳から65歳に引き上げ、63歳になったら検事長・次長検事・検事正などの幹部には就けない役職定年制を導入するのに加えて、定年を迎えても、内閣や法相が必要と認めれば、最長で3年間、そのポストにとどまれるとするものだ。それによって、検察官についても、内閣が「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由がある」と認めるときは、定年前の職を占めたまま勤務させることができることになる。 

これは、安倍内閣が、検察庁法に違反して、黒川検事長の定年延長を強行したことと同じことを、検察庁法上「合法に」行われるようにしようというものだ。これによって、違法な閣議決定が、その後の法改正によって事実上、正当化されることになる。 

このような法案を、法務大臣も、法務省も関わらず、「内閣委員会」で審議をして、成立させようとしているのである。 

このようなやり方は、検察庁法の立法趣旨に著しく反するものである。

 
検察庁法が定める検察官の職務と、検察庁の組織の性格は、一般の官庁とは異なる。一般の官公庁では、大臣の権限を各部局が分掌するという形で、権限が行使されるが、検察庁において、検察官は、担当する事件に関して、独立して事務を取り扱う立場にある一方で、検事総長・検事長・検事正には、各検察官に対する指揮監督権があり、各検察官の事務の引取移転権(部下が担当している事件に関する事務を自ら引き取って処理したり、他の検察官に割り替えたりできること)がある。それによって「検察官同一体の原則」が維持され、検察官が権限に基づいて行う刑事事件の処分・公判活動等について、検察全体としての統一性が図られている。 


検察官の処分等について、主任検察官がその権限において行うとされる一方、上司の決裁による権限行使に対するチェックが行われており、事件の重大性によっては、主任検察官の権限行使が、主任検察官が所属する検察庁の上司だけでなく、管轄する高等検察庁や最高検察庁の了承の下に行われるようになっている。 


少なくとも、検察官の職務については、常に上司が自ら引き取って処理したり、他の検察官に割り替えたりできるという意味で「属人的」なものではない。特定の職務が、特定の検察官個人の能力・識見に依存するということは、もともと予定されていないのである。 


黒川弘務東京高検検事長の「閣議決定による定年延長」は、定年後の「勤務延長」を規定する現行の国家公務員法81条の3の「職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるとき」という規定に基づいて行われたものだが、検察庁という組織の性格上には、そのようなことが生じることは、もともと想定されていない。それを検察庁法の改正によって法律の明文で認めようとするのであれば、検察庁法が規定する検察官や検察庁の在り方自体について議論を行うのが当然であり、国会でそれを行うのであれば、「内閣委員会」ではなく、法務大臣が出席し、法務省の事務方が関わる「法務委員会」で審議すべきである。 


これに対して、いわゆるネトウヨと呼ばれる安倍首相支持者の人達が、ネット上で必死の抵抗を試みている。高橋洋一氏は、以下のようなツイートで、この法案は、国家公務員一般の定年延長に関する国家公務員法(国公法)の改正案であり、それに伴って、検察官の定年延長を制度化するのは当然であるかのように言って、法案を正当化しようとしている。 


しかし、高橋氏が言う、「検察官だけが定年延長できないのは不当な差別」というのは、検察官の職務の実態を全く知らない的はずれの意見だ。 
そもそも、検察官には、法曹資格が必要とされており、退職しても、能力があれば、弁護士として仕事をすることが可能だ。そして、それに加えて、法務省では、従来から、退官後の処遇を行ってきた。 


検察庁法上、現在の検察官の定年は、検事総長が65歳、それ以外は63歳だが、実際には、検事正以下の一般の検察官の場合は、60歳前後で、いわゆる「肩叩き」が行われ、それに従って退官すると、「公証人」のポストが与えられる。公証人の収入は、勤務する公証人役場の所在地によるが、概ね2000万円程度の年収になる。そして、認証官である最高検の次長検事、高検の検事長の職を務めた場合には、63歳の定年近くまで勤務して退官し、この場合は公証人のポストが与えられることはないが、証券取引等監視委員会委員長など、過去に検事長経験者が就任することが慣例化しているポストもあるし、検事長経験者は、弁護士となった場合、大企業の社外役員等に就任する場合が多い。 
検察官の退職後の処遇については、上記のような相当な処遇が行われているのであり、一般の公務員のように、定年後、年金受給までの生活に困ることは、まずない。 

だからこそ、今回、国家公務員法改正での定年延長制度の導入に併せて、検察官の定年延長を根本的に変えてしまうのであれば、従来行われてきた検察官の退職後の処遇の在り方も根本的に見直すことになる。それを、違法な定年延長を行って批判を受けたからといって拙速に行い、しかも、その審議に、法務大臣も法務省の事務方も関わらないなどということは、全くあり得ないやり方だ。 

検察官の退職後の処遇の現状からしても、検察官に定年延長を導入する必要性は全くない。それを、強引に導入しようとしているのは、安倍政権が、違法な黒川検事長定年延長を閣議決定して検事総長人事に介入しようとしたことを正当化するため、事後的に国会の意思に反していないことを示そうとしているとしか思えない。 

それは、どんな不当・違法なことも、国会の多数の力さえあれば、あらゆるものが正当化できるという、安倍政権の傲慢さそのものである。 
このような法改正は、絶対に認めてはならない。


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