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「あのラクダは売れたよ」
店を訪れたオグに、ウニが無愛想に言った。
「なら、代わりのラクダをくれ」
オグはみるみる不機嫌になった。
「それはダメだ。今いるのは俺のラクダだ。お前のラクダを売った代金の半分をやろう。預かり賃はもう、貰っているからな」
「そのお金でラクダを売ってくれ」
「俺のラクダは、その金の二倍半だ」
「じゃあ、ラクダを貸してくれ」
怒りを圧し殺してオグが言う。
「案内人が足りないんだ。それも無理だね」
ウニは平然としている。
「おい、あんた」
オグが掴みかかろうとした時、入り口から声が聞こえた。
「こんにちは、ウニさん」
オグが手を止め、二人で声の主を見る。
「やあ、ルージュサン。今日はどうしたの?」
ウニが満面の笑みで迎えた。
「ラクダを貸して頂きたいんです」
「あいにく案内人が何人も怪我してな、出払ってるんだ。何処に行くんだ?」
「東に抜けます」
「じゃあオバニに預けておいてくれればいい。今ラクダを連れてくる」
「ずいぶん話が違うじゃないか」
オグがウニの袖を掴んで引き留める。
「当たり前だ。お前は友人と始めての客を同じに扱うのか?」
「友人?そんな話聞いてないぞ。」
オグがルージュサンを見る。
「お前、ルージュサンの知り合いなのか?」
ウニが意外そうにオグを見た。
「旅の連れだ」
「連れ?」
ウニが目を丸くして、首を横に振った。
「ラクダの代金は全部お前にやろう。それとも代わりのラクダを持って行くか?友人の連れから手間賃は取れない」
「私こそ、友人の生業の邪魔は出来ません。きちんと手間賃を取って下さい。ラクダを貸して頂けるだけで十分です。案内人付きの料金にして下さいね」
ルージュサンがにっこりと、お財布を取り出した。
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