クロの里山生活

愛犬クロの目を通して描く千葉の里山暮らしの日々

志駒の長者さまー俳優断念

2014-07-03 22:08:24 | 日記

(里山に咲く一輪の花)

 

山村総に目をかけられて耕一は役者の卵になった。

蟹工船では助監督のかたわら、最下層でうごめく労働者の端役として初めて映画に出演した。

その後、当時の人気俳優であった河津清三郎主演の「魚河岸の石松」という人気シリーズものの映画に、チンピラ役で数回出演した。

石松にぶんなぐられて海に落ちるチンピラの役をやったことがある。

何度やっても監督のOKが出ない。

何度も石松になぐられたふりをして、何度も海に落ちて海水を飲んだ。

OKが出たのは、本当に石松のパンチが顔面に当たって、気を失いながら海に落ちた時であった。

この映画には当時まだ新人であった金子信雄や沢村貞子などが出演していた。

華やかな映画の世界を垣間見た耕一は、しかしそこは自分が住む世界ではないと感じた。

自分に目をかけてくれている山村聡は東京帝国大学文学部卒のインテリであり、その取り巻きの仲代達也や佐藤允にしても進歩的思想劇団に所属するインテリ青年達である。

そんな彼らと、のんびり政治・思想談議や演技談義などしている暇はない、と耕一は思ったのだ。

半年後、耕一はまた北海の魚場へう漁船に乗り込んでいた。

 北へ向かう船の甲板の上で、耕一は夜空を見上げた。かなたに北斗七星が見えた。

夜空の星のまたたきを眺めながら、彼はおのれの数奇な人生を振り返っていた。

「あのブロンドの女将校は今頃どうしているだろうか・・・・」

 

続く・・・・・・・。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

志駒の長者さまー俳優になる

2014-07-03 09:22:42 | 日記

(北海道出身の友人から届いた「ほべつメロン」)

 

長者さまが夜中にベッドから落ちて鎖骨を打撲されたというので、ご主人様は届いたほべつメロンとヒマラヤの蜂蜜を持って志駒のお屋敷を訪ねた。

(長者さまのゲストハウス)

 

長者さまはアクション映画のような夢をみたらしい。

アメリカのある街で、ゴルゴ14(この夢の中ではこの名前で登場して頂く)はマフィアの一味に追われていた。「ビューン、ビユーン」とマフィアが撃つ拳銃の弾が彼の耳元をかすめて行く。

ビルの陰に身を寄せたゴルゴ14を、奴らは今度はビルの上の方から狙撃してきた。

ゴルゴ14は前方に駐車していたキャデラックを目がけて走り、そしてその屋根に飛び乗り、そのままボンネットをお尻から滑り降りて車の下にもぐりこもうとした。

その瞬間、長者さま激痛と共に目が覚めた。

寝ていたベッドから転がり落ち、ベッドの脇にあったテーブルの角に胸(鎖骨部分)を打ちつけたらしい。

幸い大事には至らず、薬箱にあった湿布薬を貼って様子をみていたら痛みはとれたそうだ。

そんな話を長者さまはニコニコ笑いながらご主人様に話した。

しかし、それにしても80過ぎたご老人がそんな夢をみて、なおかつベッドの上から転がり落ちるものだろうか・・・。

ご主人様は唖然と口を開けたまま、長者さまの顔を見つめていた。

 

さて、こらからが本題であります。

この元気過ぎる長者さまは、若い頃、山村聡(昭和の大俳優)に可愛がられ一時俳優をやっていたことがあるという。

戦後、世の中が少しづつ落ち着きを取り戻し始めた頃、山村聡は蟹工船という映画を監督して作った。その時、北洋漁業に詳しい人物を助監督とするため募集広告を出した。その募集に長者さまの友人が勝手に長者さまの履歴書を送ったという。

面接の案内が来たので耕一青年(これからは長者さまはこの名前(仮名)で登場して頂く)面白半分に出かけて行ったら、即採用となった。彼がまだ館山の夜の帝王になる前の話しである。

耕一はその頃、機関士として漁船に乗り込みソ連国境に近い北洋漁場に出かけていた。従って蟹工船の世界は良く知っていたのであった。

助監督として採用された耕一はルックスも良く魅力的な青年であったので、山村監督は彼を可愛がり俳優として育てようとした。

 そしてそれから、彼は横浜にあった山村邸に出入りするようになった。その当時、その屋敷に出入りしていた俳優の卵の中には後年有名になった仲代達也や佐藤允などがいた。

 

続く・・・・・・。

 

 

 

 

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする