障がい者支援に生かすファイナンシャルプランナーの専門性

2014年10月08日 | 日記

FP(ファイナンシャルプランナー)ジャーナル10月号に、高知県の石川智(いしかわ・さとし)さんが「障がい者のご家族へのアドバイスこそ、今FPに求められていること」のタイトルで投稿されていました。石川さんは2010年にFP事業所・オフィス石川を開業し、通常の相談業務と並行して、障がい者支援施設や社会福祉協議会などでも「障がい者とお金」の研修を実施しています。

障がい者の家族が感じるお金の不安とは、ずばり「成人後のお金の不安」と「親亡き後の不安」だといいます。

例えば知的障がい者(2級の障害基礎年金を受給中)がいる家族で考えると、本人は成人後、就労継続支援事業所(作業所)で働くことになるが、1か月の工賃は2万円前後が多いそうです。年金月額約6万5000円と合わせると、「入ってくるお金は8万50000円」です。FPとしてこの収入状況をどう感じるか。親の気持ちで考えたら?おそらく多くの人が「漠然とした不安を感じたはず」です。その不安は、体調面などで仕事ができなくなったときに、その後の人生でお金に困らないだろうか?という中・長期的な不安です。これは障がい者に限らず、不安定な雇用形態で働いている多くの人にもいえることだと思います。働き続けているうちはいいけど、ちょっとしたきっかけで働けなくなると、生活がたちまち行き詰まってしまう人がこの豊かな日本という国にも数多くいることは、周知のとおりです。

2つ目の不安である「親亡き後の不安」は、亡くなる以外にも、病気や要介護状態になったときなどもです。自宅以外で生活することになった場合、今まで本人は負担していなかった光熱費や食費・住居費を自分で支払っていけるのか。亡くなった場合の相続はどうすればいいのか。兄弟がいる場合、どのように分配すれば「争続」にならないか。この不安にこたえることこそがFPの仕事であり、FPの持つ中・長期的な視点がまさに求められているそうです。石川さん自身、キャッシュフロー表での説明がこれほど不安を解消することになるとは、取り組み始めた当初は予想していなかったと言います。

石川さんによれば、高知県民の県民性として家計はほぼざる勘定で、家計相談をお金を払ってするなんて一般的ではなく、家計のことを真剣に考えるのは、行政や社福協が支援に入るとき、すなわち「ほんとうに崩壊寸前の家計」になっているときぐらいだそうです。このようなことは高知県民だけではないはず…

FPと障がい者支援はなんかあんまり縁がないようにみえます。石川さんの投稿を目にしたとき正直いって意外だな…と思いました。他のFPの方も同じようです。「障がい者支援は難しいのでは?」「そもそもビジネスとして成立しないのでは?」「そのような福祉分野でのサービス提供は必要ないのでは?」と誤解している人が多いそうですが、石川さんは断言しています。障がい者支援にはFPの専門性が求められているというのが事実であると。

新しい観点です。こうやって取り組みを報告してくれる会員の方はほんとうにありがたいです。

 

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