逮捕送検がいやなのは企業も公務員も同じじゃないかなぁ

2021年11月18日 | 社労士
見よう見ようと思いつつ先延ばしにしていた、KiteRaの「労働問題に関する司法と行政の視点とその対策術~使用者側弁護士と元労働基準監督官とのパネルディスカッション」をようやく視聴した。

いくつかのテーマを司法と行政、それぞれの視点で弁護士、元労働基準監督官が語るのだが、なんか、視点のズレ具合というか、かみ合わなさがギャグみたいで面白かった。

最初のテーマは、年休5日の時季指定怠り送検、取得申請に応じずについてだった。

給食管理をしている食品会社の3事業場の店長3人が書類送検されているが、視聴者からの「なぜ店長なのか?」という質問に対し、元監督官は、証拠の立証がなんたらかんたら、エリアマネジャーとかの指揮監督者は立証が難しいとか小難しいことを言っていたが、弁護士からはすかさず、これって、悪いのは社長じゃないのか?というのが質問の趣旨だと思うんですよ。現場では有休を与えたかったけど与えることができないってことあるじゃないですか?とツッコまれていた。現場の店長がなんで犠牲になるんだ?ってことですよね。社長はなんで送検対象にならないんでしょうか?と弁護士に聞かれ、証拠不十分だった可能性があるし、両罰規定があるので、法人も罰を受けるので、店長さんだけが罰せられるわけじゃないとか答えていたが、後半答えになってないだろ。法人と社長じゃなくて、なんで法人と店長なんだって聞いてんだから、結局店長でいくしかなかったってことですね、元監督官。

長時間労働事業場に対する監督指導について、どうやって労働時間を管理するのかっていう話がでましたが、ここも面白かったです。

「現認」というのは、使用者が直接確認することですが、誰もが一番不思議に思っているとこです。だって、いつ来ていつ帰ったかって、サイレンと同時に開始、ラジオ体操して、ウイ~んとサイレン鳴って終わる工場ならともかく、そんなとこほとんどないし、一番よくわかんない管理方法だと思う。なのに、元監督官は、現認は現認なんでいいとして~みたいなかんじであっさりスルーして、やはり弁護士からは、自分現認してるの今まで一度も見たことないし、やってる使用者いないですよ。そんなことは無理ですよ、できませんよとツッコまれていた。

最後のほうで、送検されると、後に不起訴となっても、新聞とかに載ってしまうので名誉回復は難しい、地方では致命的な損害となるという話がでていて、弁護士が言うには東京は「上品」でそういうことはないが、地方だと「送検」で脅してくる監督署があり、新聞社と連携してニュースにしてしまう、すごく迷惑だと言っていた。元監督官によるとやはり、そこからしか情報は行かないので、地元新聞社に情報は流すとのこと。
視聴者からの名誉回復はできるか、どうしたらいいかという質問に対しては、弁護士は無理!新聞は書くだけ書いて知らん顔だ、不起訴になったなどと書いてくれない。そういうことチラつかせる監督官とかいたら、社労士や弁護士は、こいつはそういうやつだと心してかからないといけないとか…

公務員が現行犯逮捕とかされると、もうそれだけで公務員をやめることになる。不起訴になれば懲戒免職とかにはならないかもしれないけど、結局退職するしかない。いったんニュースになったら、たとえ不起訴になっても、小さい字で不起訴処分とか書かれるか、書かれないか。
逮捕だの送検だのが嫌なのは、大変迷惑なのは企業も公務員も同じ。

最後に、監督官には年1回以上の送検ノルマがあるというのは本当か?の質問に対しては、そういう噂があるのなら本当かもしれない…とのこと。

あってもおかしくはない。じゃないと、仕事をしない監督官もいるだろうし。

労働基準監督官から社労士に転向した人は多いと思うが、その後の仕事ぶりはそれぞれである。

私は元監督官としては原諭氏が好きである。

安全衛生を専門としていることや、元監督官であることを売りにしていないこと、自分自身のことを素直に話していること、監督官の仕事をわかりやすく説明していることなど、いろいろと理由はある。(雇用環境均等室が嫌いなこととかも…)


天下り的なことをしている人もあるだろうが(そういう価値はあるので)、監督官として培った知識・経験を活かしてくれる人は本当に貴重である。

KeiteRaさん、ありがとうございました。


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